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今年は初詣も仮想的




20歳の頃から、外国と日本とで生活するようになった。

中東、北米、ヨーロッパ大陸、そして流れ着いたブリテン島。

氏神様に初詣に出かけるタイミングも逃すことが増えたので、その土地でその土地の神様に初詣する習慣ができてはや数十年。

その土地の神様とは、教会などの神殿施設、美術館や博物館の神像、あるいは日の出や月を見上げたり、クラシックのコンサートや、この世ならぬものが登場するバレエ...八百万の神の世界に生まれた人間らしく、神性を感じられるものならなんでもいいマイ・ルールにしてきた。

お正月から、こちらで日本のお正月を再現するのは無理があるので、うちではなんでも「見立て」、「ありもの」「なんちゃって」ですます...という話をしてきたように、初詣もそうなの!


去年2020年の初めは、(上写真)大英博物館に、お客さんをお連れしつつ参ったのだった。
ギリシャのパンテオンの東部分ペディメント(破風)に飾られた三柱の女神、左からHestia, Dione, Aphrodite。

ヘスティーアーは家庭生活の豊かさの中心となる炉の女神で、ゼウスやポセンドンの兄妹、

ディオーネーはアフロディーテーの母にして天空の女神(ゼウスの女性形)、

アフロディーテーは愛と美の女神、

ちなみにこの左にあるグループはアテーナーが父親ゼウスの頭から生まれる様子を表しており、有翼の女神はもちろんアテーナー、知恵と芸術の女神。

新年にふさわしい女神たちだ。八百万の神めでたや、

などと。




神馬。




また、芸能の神が鎮座する、ロンドン・コロシアムにイングリッシュ・ナショナル・バレエの『海賊』、ロイヤル・オペラ・ハウスに『眠れる森の美女』を観に行き、ひとり「これで三社参りだ」などと満足して、新年を寿いだのだった。


今年はその「お参り」すらもお預け状態だ。
今週はバービカンで内田光子さんのシューマンピアノコンチェルトの予定だったのに...あああ。
特に内田さんの精神性、神官のような雰囲気を愛している。




今朝、冬の庭の裸根の薔薇に新芽が出てい、包丁を入れたアボカドが完璧で、家の中に快適に暖房が効き、心臓が規則正しく動いていて、数十年行方不明だった友達からメールで連絡が来(インターネットの魔法)、人間の世界で起こっていることに責任を持ちできる限りのことをしている人たちに心からの尊敬と感謝を捧げる。
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