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冬の日の幻想、チャイコフスキーで




昨日、わたしの住んでいる英国南部地方は冬でもここ数年は気温10度前後ある...という話を書いた。
英国は地図で見ると小さく見えるかもしれないが、北海道と四国を除いたくらいの面積があり、南北に長めで、北と南では気候が全然違う。

しかし今朝は寒かった。気温2度。

朝7時、久しぶりに食料品や必需品の買い出しに出かけた。人の少ない時間帯、朝の開店時に行くことにしている。

目下イングランドは3回目のロックダウンにある。
外出は生活必需品の買い物、医療や教育を受けるなどのためのみ、散歩やエクササイズもローカルで、と決められている。
昨日はついに「15人以上で集まるハウス・パーティー禁止。罰金800ポンド(日本円で10万円ほど)」という罰則が出た。クリスマスからこっち、どうにも抑え込めない感染者と死者数を鑑みての対策だ。つまり、この後に及んで家のドアの向こうでパーティーをしている人が目につくほどいるということなんですね...

昨日発表の数字では、

感染者合計がすでに35万人以上。
新型コロナ関係の死者は昨日1日で1200人以上。死者合計ほとんど9万5千人。
現在入院者数3万8千人以上。
感染者数と入院患者数は減少しつつあるが、死者数は減っていない。

一方、ワクチンを受けた人は500万人弱。
人口の11パーセントが受けたことになる。


家を出た7時の時点では、まだ真っ暗で何も見えなかったのが、帰り道には青い空を朱色が焼き、フィールド一面に霜が降りているのが見えた。
風は霜をゆっくりと舞いあげ、フィールドは白く薄いベールを被ったようになっている。
BBCのニュースを止め、チェイコフスキーの『冬の日の幻想』をかけた。

帰宅後、朝の日差しが集まる庭にテラスからコーヒーテーブルを移動させ、久しぶりに身体を伸ばして日向ぼっこをした。
薔薇や楓に新しい芽が出ている。
ロビンやヒガラが明るい声で鳴き、忙しそうに低空を飛んでいる。
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audrey: the 60s




イングランド3回目のロックダウン下、しかも毎日暗く(暗いがわたしの住んでいる地方は寒くはない。毎日10度前後)、先の予定も立てにくく、古い映画などを見たりして「昔はよかった」という気分になりがちだという話を書いた。

オードリー・ヘップバーンの『シャレード』や『おしゃれ泥棒』(上写真。リッツのバアでピーター・オトゥールに会うシーン)などを久しぶりに見て、ジバンシーの服飾やカルティエのジュエリー、車などのデザインの美しさや、パリの全然変わらない街並み、エレガントな男性...流石にこの頃はわたしもまだ生まれていないのだが、ぜひ言いたい、あの頃は楽しかった(に違いない)!

昭和は遠くになりにけり。




写真はすべて、Audrey: the 60sという写真集から。
わたしが持っている唯一の彼女の写真集だ。
素敵な写真だけでなく、新聞からの引用や、有名人のオードリー談、彼女自身の言葉など盛り沢山で、オードリー絶賛本。

彼女が不世出の大スターなのは当然として、わたしはジバンシーの服の方に興味がある。
しかしジバンシーの服もハンガーにかかっているだけの状態で魅力100だとしたら、オードリーが着こなして200...「幸せなマリアージュ」とはこのことだ。




『ティファニーで朝食を』原作者のカポーティーが

「彼女はスリムでクールな黒いドレス、黒のサンダル、真珠のチョーカーを身につけていた。シックなほどの痩身に、朝食シリアルのような健全さと、石鹸やレモンのような清潔さ...」

というのがいいな、さすが作家である。
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l'année dernière à bruges




去年2020年の今頃はブルージュへ帰省し、最高に好きなレストランHertog Janでご飯を食べ、ロンドンでロイヤル・バレエ『オネーギン』を見るためにトンボ帰り、すぐにブルージュへ戻って、次はパリへレオナルド特別展を見に行く...

というような生活をしていたようである(何がうらやましいと言って、わたしはホテル暮らしが好きなのである)。

新型コロナウイルスの暗い影が世界にひたひたと忍び寄っていたころだ。まさか一年たってもこのような状況にあるとは想像できなかった。
もし、今年2021年も、新型コロナウイルス禍のない年だったのなら、おそらく同じようなパターンの生活をしていただろう。

来年の今頃はどこでどうしているだろう。
予想をはおもしろいので(自分のブラインド・スポットがどこかがわかる)書いておく。

ワクチンの接種が進み(英国は2021年9月までに18歳以上の成人全員への摂取を完了するのが目標)、先進国では普段の生活を取り戻しつつあるが、緩いロックダウンがたまにあり、マスク着用がスタンダードになり、貧富の差や教育の差はさらに拡大、東京オリンピックは開催されず、ブレグジットで英国の経済力はさらに低下...

はい、おもしろいです。わたしの想像力は半径5メートルで、今ある情報の焼き直しでしかないというのがすでに判明しました。


英国内では、最も豊かな1パーセントが全体の25パーセントの富を独占しているという吐き気を催すような現実をどうにかしてほしい。これはチャリティや善意どうのこうのではなく、税制の問題である。政府が取り組むべき問題。
学校給食がなくなることによって飢える子供が少なからず、学校閉鎖下の遠隔授業でも、コンピューターをはじめラップトップやタブレット、あるいは十分なインターネット接続へのアクセスがなかったり、親が勉強を見てやれない子供がいるのがこの1年間で明らかになっているのにもかかわらず、十分な対策はされていない。
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埃及。




埃(ほこり)、及(およぶ)。
誰が考えたか漢字表記。あの国はそんな土地...

葡萄牙(ポルトガル)や瑞西(スイス)などの漢字表記もいいけれど、埃及、というセンスの良さにしびれる。


例年はしばしば旅をする生活をしているのだが、2020年は年明けから3月のロックダウンまでに、ベルギー、フランス、日本、そして8月から9月にかけて南仏でバカンスを過ごしただけになった。

カレンダーを見返すと、夫は1月にニューヨーク、3月にLA、ドイツ出張もしており、そうだ、出張について行くかどうか逡巡したのだったと思い出した。行っておけばよかった...

日本一時帰国予定は、2020年9月の予定が10月に延期、11月に延期...今の時点で4月に設定してある。
それまでにワクチンが効果的に摂取できたら行くかと思っている。会いたい人がたくさんいるものの、英国から帰国したと聞けば誰も会ってくれないかも...
利他的に決めたい。

3月は結婚記念日にスペインのマヨルカ島とメノルカ島に行く予定が、予約していた飛行機の便が先日キャンセルされ、延期したばかり。

常ならばどうということもない旅行延期も、今はロックダウン下にあることと、欧州の冬の暗さのせいで倍以上に堪える。
灰色の世界は季節性情動障害を引き起こし、突然涙のダムを崩壊させたりもする。自分が役立たずである、と感じる時の虚しさ悲しさよ。

毎日勉強に雪崩のように襲われている娘も、楽しみの予定もなく、終わりのない雪かきのような勉強を続けるのは精神的に参ると訴えてきた。


そこで太陽の光と青い空を夢見、夏休みの計画を立て始めた。
人間は、光なしでは生きていられないのである。

わたしはヨルダン希望だったが、多数決でプランAはエジプト。
こんな時期なのでプランBもある。Bはイスラエル。
プランCはセイシェルかハワイ。
近場ならギリシャ。


今は暇がいくらでもあるので、いつもはそれぞれ書斎に閉じこもっている二人、ダイニングテーブルでお互いのラップトップを向かい合わせに座り、前から目をつけていたオベロイのクルーズを中心に、訪れたい場所をリストアップ。一挙に2週間が埋まる。

ホテルは迷わずエジプト御三家、カイロのメナ・ハウス、ルクソールのウィンター・パレス、アスワンのカタラック(なぜならばアガサ・クリスティの『ナイル川殺人事件』ごっこをしたいからだ)。
夫は、団体観光も、いちいち値段交渉するのも絶対に嫌だと言うので、個人の観光ガイドと運転手の手配。
クルーズはキャンセルになる可能性を見越して、その間ホテルもおさえた。

目下の楽しみは古代エジプト史の新たな研究結果を読むこと(一昨日はサッカラで木製棺が50も発見されたとニュースになった)。
新型コロナ禍で公開が延期になっているケネス・ブラナーの『ナイル川殺人事件』。
それからどんな帽子をかぶるか、どんな服を着るか、である。馬鹿馬鹿しいと思われる方もおられるかもしれないが、シチュエーションごとにどんな服を着るのかという妄想は、旅行そのものと同じくらい楽しい。まるで映画を編集しているような気分になれるのである。


エジプトには過去3回行ったことがある。
最初は86年開けたばかり、プラザ合意のすぐ後だった。

ギリシャのアテネからオリンピック航空でエジプト入りした時のあの気持ちよ...
夜中に生ぬるい空気のカイロ空港に到着し、ホテルからの迎えの車に乗り、チェックインした後、夜食が出され、薄暗い部屋で妖艶なアラブの曲にのって高校生になったばかりの妹とバカ踊りしたのだった。Mさんならこの踊りを『髪結の亭主』踊り、とおっしゃるだろう。

カイロからルクソールまで10時間以上かけて汚れた電車で往復し、村の食堂でコシャリを食べ比べ、ファルッカでハシシを勧められ、ギザで馬を暴走させ、おきまりの、「結婚してくれるなら結納に家畜をこれだけ用意します」と言う男...

赤い複写紙の航空券、トラベラーズ・チェック、紙の時刻表と地図、ガイドブック、各国のコイン...


2回目は中東に住んでいる時、3回目は最初の夫と旅行。もうあれは25年以上も前のことだ。

何千年もの歴史を誇るエジプトにしたら25年なんか表面の傷にもならない時間単位なのだろうが、それでもいろいろ変わっただろうなと思う。

ラッキーならば2021年に開館が延期された「大エジプト博物館」が見られそう。
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薔薇に罪なし




全然好みじゃない色の薔薇をもらったらどうします?!

夫が「今日は花の種類が少なくて、こういう色しかなかった」と買ってきた、35本の濃いピンク、口紅の色のような薔薇。

全然好みでないので写真はオイルランプの灯の中で撮った。

花に罪はない。どんな花も美しい。けどね...

薔薇水でも作ってみようか。この種類の薔薇は香りが弱いができるのかな。あるいは薔薇風呂だな。


...


日本の友達が今朝、時事通信の記事「英、中高年の旅行予約殺到 ワクチン効果? 業界に朗報」を送ってくれ、「夏? 大丈夫?」と。

そのニュース興味深い(笑)。
実はわたしたちがまさに太陽の光を渇望する中高年で、一昨日夏休みエジプト旅行を予約したからだ(笑)。もちろん旅行保険もがっつりかけて。

3月に予定していた結婚記念日のマヨルカ・メノルカ旅行が、一昨日、飛行機がキャンセルになったことによって自動的に延期になり、その腹いせもある。

とりあえず予約、行けなくなった場合それはそれでというつもりながら、もちろん大きな期待も抱いている。
欧州の冬はとても暗く、季節性情動障害に見舞われたりなど、太陽と青空への強烈な憧憬がふくらむ時期でもある。ましてやロックダウン下で外出もできないとなったら...わたし自身も理由なくブルーになることも。

さらに医学部3年生の娘の年間の休みが短くなる。2週間以上旅行に行こうと思ったらもうこの時期しかない。エジプトはこの時期、最も暑いのだが、のんびり旅するつもり。

もうこういう楽しみでもなければやっていけないような、イングランド3回めのロックダウン下なのです。
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