私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

江戸の女性像

2011-09-28 10:10:15 | Weblog
 ビスカイノ一行が持参したイスパニア国王や王妃の肖像画を見た秀忠はその夫人(お江さんです)にも見せています。その秀忠についてビスカイノは、さも不思議とでも思ったのでしょうが、次のように書いています。
 「此皇太子(秀忠)については種々善行聞こえたるが唯一人の夫人を有することも其一なり」と。

 此の最愛の夫人に、寄贈されたイスパニア国王とその妃の肖像画をみせます。すると
「・・・・其綺麗なること及び装飾は皇太子妃並に宮中の貴婦人等の皆驚きたる」 
 とあります。

 それから彼はその時であったのかどうかは分からないのですが、日本の婦人を見てその感想も書いています。

 「妃より最も賤しき婦人に至るまで彼等の着するは甚だ薄き絹のキモンと帯の下方には女の下袴の如き下衣にしてキモンの上には種々の色及び絵ある人形の外套(内掛け)の如きものを着し、頭には不思議なる形を束ねたる髪を頂窩に戴けるに過ぎざるが故なり」

 日本女性の着物の美しさに目を見張ったのでしょう「絵ある人形の外套の如き」と書いています。内掛けのような衣装の習慣を始めて目にしたのでしょうか、大変な驚きようだったのではなかったかと思われます。 

    

 この絵は御殿女中の浮世絵です。お江さんとビスカイノは逢ってはいないのですが、絹の着物をお城の女性は総て着ていたと云うのも亦大いなる驚きであったことでしょう。

 このように宮中で秀忠と会見して後、再び、宿泊に指定された旅館に戻りますが、その道中も亦多くの見学者で満ち溢れていたのです。その道筋で、ビスカイノ一行は、その旅館に着くまで一時間にわたって、その持っている鉄砲を空に向って打ち続けたのだそうです。お陰で「火薬1樽を消費せり」と書いています。

 その往来の素晴らしかった事を、また、
 「若し道あらば只此一日を見んが為めローマより江戸の市まで徒歩にて来る者あるべし」
 とも書いています。