私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

浦川でのイスパニアとの約束事

2011-09-09 09:52:37 | Weblog
 浦川に着いた翌朝、ビスカイノ達は上陸します。それを出迎えたのは江戸からやって来た幕府の船舶司令官向井正綱です。
 この港で一番良い旅館で会見します。この時会見した人は
 「同所の長官、船舶司令官と大使」だと書いてあります。同所の長官とは水戸藩主徳川頼房ではなく、此の浦川にいた水戸藩の家老級の人ではないかと思います。

 日本人とイスパニア人との間に平和が保たれ、喧嘩や騒擾が起らないような取り決めを結んでいます。日本だ最初の条約ではないでしょうか???
  その取り決め
 「1)イスパニア人は日本人に対して剣又は他の武器に手を掛くべからず
  2)日本婦人に暴行を加ふべからず
  3)何品たりとも其意に反して之を取るべからず
   若し之に背く者は死刑に処すべき旨命令を発せしめたり」
 と書かれてあります。

 なお、ビスカイノは船舶司令官向井氏の同意を得て其の会見が行われた旅館にイスパニアの国旗を掲げ、毎日太鼓を打ったのだそうです。
 どうです。この条約を見る限りでは、イスパニア人の日本人に対する派違反行為だけしか書かれてはいないのですが、日本人のイスパニア人に対する不法行為についても、当然あったとは思いますが、これには何も書かれていません。習慣の違いにより不法行為が起きるのではと懸念されるのですが????。

 それから後、此のイスパニアの船には、多くの日本人が見学に押し掛けたようです、それに対して、ビスカイノは「寝食の暇をも得ざりき」と書かれています。特に、藩の御偉方に対しては、これを「Tonos(殿達)即ち、我がカバリエロ(貴族)に対しては席を与えて菓子を供し、ヘレス酒を以て湿せるが、既に・・・・彼らは之を好み・・」

 このように大使ビスカイノが心を配って接待したので、日本人は一般的に言うと、安易に人に物を人に与えない風習があるが、この大使に対しては
 「鶏魚果物其他土地の産物を多量に贈れり」
 と書いてあります。

 「人にものを贈る習慣がない」と書いているのですが、日本人の生活習慣を余り知りもせずに、中元やお歳暮等の贈答習慣がいっぱいにあるのを知らないで書いたのではないかと思われます。