私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

浦川に着く

2011-09-07 19:45:50 | Weblog
 六月十日漸くにして目的地に到着したのです。ビスカイノ達の船から、到着を祝う大砲が撃たれます。その音を聞いた陸上にいた日本人が、その音をいかに聞いたか迄は書いてありませんが、

 「同夜夜八時我等入港せしめたり。此時船に多数の燈を掲げたれば陸上の人特にキリシタン等は大いに満悦し・・・」と書かれています。此の水戸藩に、当時、既に、キリシタンがいたかどうかは分からないのですが、是も推測の域を出ないのですが、大きな船の至る所にある灯を付けたのです。あたかも花火を見るような美しさだったのではないでしょうか。だからこれを見学していた大勢の人々感嘆の声を上げたのではないかと思われます。余りの嬉しがりようでその嬉しがりをキリシタンの信者と勘違いしたのだろうと思うのですが????

 浦川の港に着いた司令官は、早速使いを江戸にいる日本の皇帝とその皇太子に向けて送り出します。徳川家康と徳川秀忠にです。

 なお、船が浦川の港に着いた時にその船を出迎えたのは向井兵庫頭正綱と云う人です。この人は幕府の御座船・国一丸を預かり、将軍徳川家康を送迎する御召船奉行という特別職に就いていました。この人が出迎えたと云うことは、此の船を、幕府を代表として、イスパニア国王からの使節を公式に迎え入れると云う儀式を意味します。慶長十六年(1611年)まだ、江戸幕府が鎖国政策を敷く前のことです。僅かばかりの期間でしたが、日本とイスパニアの蜜月時代でもあった、知られざる、これも、また、日本歴史の1ページなのです。