鈴鹿川の傍を遡り、坂下の宿に着いたのは「夜もようよう更け行けば」。冬の日は釣る瓶落としです。今の時刻なら、午後7時ごろだろうと思います。気がつけば、辺りはすっかり冬の闇夜です。着いた場所は、坂下宿のあの豪壮な本陣ですが、綱政侯は、そこを、敢て、「かりねの小筵」と書いています。遠く来たものだと言う思いが、夜の闇の中に交じりこんでいたのでしょう、少々感傷的にもなっていたのでしょうか、「小筵」と書いています。
「鈴鹿川の岩ばしる波の音、夜もすがら聞き明しぬ。峯には狐の声、山彦にこたえて淋しく、物のすさまじきに」
峯、多分明日越すだろう鈴鹿の峠辺りに鳴く狐だろうか、その声もの淋しげなこととおもわれたのでしょう。ひょっとして、あの鈴鹿御前の話を思い出されたのかもしれません、河音と一緒になって、眠れない夜であったことは確かです。
いつしかも 聞きもならはぬ 鈴鹿川
川音そへて きつねなくなり
「鈴鹿川の岩ばしる波の音、夜もすがら聞き明しぬ。峯には狐の声、山彦にこたえて淋しく、物のすさまじきに」
峯、多分明日越すだろう鈴鹿の峠辺りに鳴く狐だろうか、その声もの淋しげなこととおもわれたのでしょう。ひょっとして、あの鈴鹿御前の話を思い出されたのかもしれません、河音と一緒になって、眠れない夜であったことは確かです。
いつしかも 聞きもならはぬ 鈴鹿川
川音そへて きつねなくなり