水の門

体内をながれるもの。ことば。音楽。飲みもの。スピリット。

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澤本佳歩歌集『カインの祈り』
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2/18【NHK短歌】入選歌(題:病気)

2018年02月20日 15時36分10秒 | 投稿歌
2月18日(日)午前6時より、Eテレで放送の【NHK短歌】で私の短歌が入選歌として紹介されました。
題は「病気(テーマ詠)」。選者は黒瀬珂瀾さんで、ゲストはデーモン閣下。司会は剣幸さんです。
(2015年12月18日 作歌)    


閣下「これは、前に検査して何年か経って来て下さいって言われて、さあどうなってるかなぁって緊迫のところなんだけれど、先生がなかなか何か言ってくれないって。これ多分うちに帰った後に印象に残ったことを歌に詠んだんでしょうけど、あの瞬間の、『ン"ッ!』って言う先生の、それが凄く印象に残っているっていう。人は面白いものが一番印象に残るんだなぁっていう切り口が面白いなと思いました」

黒瀬先生「そうですね。例えば癌の再検査について話をしたとかそういうことかもしれないなぁと思いました。普通ね、お医者さんの方が言うんだけれども、なかなかこういうことって上手く、そのまさにさっき言った息が合わないと、言い出せない、お互い言い出せない。そこで思い切って患者であるこっちから言ってみた。そしたら、何か、あ、ちょっと渡りに船だったかなぁ、みたいな感じで。ちょっとそこで一旦『ン"ッ』って言って、空気を変えて、医者として喋ろうという。そういう不思議な人間関係の呼吸みたいなものが出ていて」

閣下「結果がどうだったかは何も書いていないんですね」
黒瀬先生「そこがいい」
剣さん「咳払いが一番(笑)」
黒瀬先生「そこがいい」

*  *  *  *  *

テーマがテーマだけに重い内容の歌が多かった中で、ちょっと力の抜けた拙歌には閣下もコメントしやすかったようです。
黒瀬先生も、医師と私との微妙な間合いを的確に解釈してくださいました。私は当然このシチュエーションに居合わせていたけれど、主治医の心理はあまりよく分かっていなかったなぁ…と思いました。
長いこと人から自分の歌の批評や鑑賞を受けていなかったので、嬉しいひと時でした。
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【NHK短歌】で拙歌が放送されます!

2018年02月11日 15時38分19秒 | 投稿歌
2月18日(日)午前6時からEテレ(2チャンネル)で放送の【NHK短歌】で、私の歌が入選歌として紹介されます。
(再放送は2月20日(火)午後3時〜)
本名での投稿です。歌の中に「検査」の語が出てくる山梨の投稿者が私です。
大雪で大変なところ富山から東京まで収録にいらした選者の黒瀬珂瀾先生に感謝!
ゲストはデーモン閣下です。

よろしければご覧くださいませ。
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文化展、かすりもせず…でも。

2016年10月02日 02時08分48秒 | 投稿歌
9月の初めに山梨県障害者文化展が開かれました。昨年度は逸る気持ちをグッと堪えて出展を見送り、今年満を持して短歌の連作を出しました。でも結果はかすりもせず。
今回は、約三年前に始めた代読ボランティアについて折々に詠んだ歌で構成しました。こういう作品でした。

   影になって

巧い歌いま詠うまい痛いうた詠い今際もうたっていたい

階下へと洩れた発声 冷や汗の滲む思いに耳立てる母

信条に背く一語を含む題に目を瞠(みは)りつつその場に開く

初見にて読む内容の六割は目から舌へと抜けゆくばかり

先の語を追いかけ息を継がぬ読みはミットの前で伸びる投球

週間の予想気温の字がかすむ代読始めた頃にもまして


   *  *  *  *

単なる歌の技巧の出来不出来といったものを超えた、謂わば自らの生き方を世に問うような作品に仕上げたという自負が強かったので、空振りだったことを知った時の落胆は大きかったです。
けれど、【社会福祉法人 山梨県障害者福祉協会】のサイトに先頃アップされた『共生』という機関紙の最新号を見て、ストンと腑に落ちました。二番目の記事、協会理事長の竹内氏による「生き方の道筋の向こう」から抜粋します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 天明六家の一人、幽松庵青蘿(ゆうしょうあんせいら)は、次の句を遺しています。
散ればさく 春に今朝逢う 命かな
 芸術文化は人間のライフステージの佇まいに似て、……己れの季節を迎えるごとに結実・開花を繰り返し、……新たな生命を生み出していきます。
 とりわけ障害者の芸術文化は、障害を可能性実現の弾みにして、生き方の道筋の向こうに、……確かな夢と希望の果実を稔らせずにいない……(中略)。
 先人のテーマや作品から触発は受けても、決して模倣に傾がることなく、既成の概念に囚われることなく、生まれたままを持ち続けた感性に火を懸ける、その潔さに掛け替えない値打ちがあると思います。
 ことしの障害者文化展と障害者芸術・文化祭は、例年にない参加当事者の覚悟と心意気をみました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

私の連作の冒頭の歌には、確かに下敷きがあります。
代読ボランティアの養成講座で配布された発声練習のための早口言葉のプリントに、次の一文があるのです。

  歌うたいが来て歌うたえというが、歌うたいぐらい歌うたえれば歌うたうが、歌うたいぐらい歌うたえぬから歌うたわぬ。

一首目の歌はパクリと言われれば、そうかもしれません。でも、底に自分の生き方を忍ばせたつもりです。連作をまとめるに当たっても、最終的に九つの案を編みました。いよいよ作品提出という土壇場になって浮上してきたのが、頭の一首をこの“言葉遊び”的な歌にする案でした。それまでは、どういう感じで代読をするに至ったのか、歌を時系列で並べたような、説明臭がやや鼻につく連作しかできておらず、自身あまり納得が行っていませんでした。しかしこの一首を初っ端に持ってきたことで、いきなり本題に入るような緊迫感が生まれ、これ以外の案は一気に霞んで見えてきました。

   *  *  *  *

文化展(と芸文祭)を振り返っての前掲のような講評は、今までの『共生』には見られなかったものです。
文化展が終わって、正直もう作品を出すのはやめにしようという気持ちになっていました。
ですが私はこの講評を読んで、竹内理事長からもっと高いハードルを個人的に示されたような気がしました。
拙速に陥るのでなくドンと構えて、「生き方の道筋の向こう」が見える作品がいつか作れれば…と新たな野心を燃やしつつあります。
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障害者文化展で入選しました。

2014年09月10日 20時38分50秒 | 投稿歌
9月4日~8日まで開かれていた山梨県障害者文化展に出した短歌作品が〔入選〕をいただきました。

*************************

      遠くは近い

「どなたですか」身じろぎをせず君の問う抜け毛に帽子まとう私に

キリスト教書店の所在尋ねきた会話がまさか終になるとは

小春日に隣村へと墓参り五十二歳で逝った仲間の

十年を納戸にしまっていた洋書読まないままに旧知に返す

再発のあらば治療を諦むとテレビ観ながら母に呟く

わが言を反芻しながら鼻すする母あり木の芽時の食卓

*************************

私は初日に独りで見学に行ったのですが、後日ご来場くださった作業所の指導員さんから、次のような感想を頂戴しました。
「◯◯さんは一昨年大きな手術をしたにもかかわらず、とても気丈に振る舞っている様子が印象的でした。けれども作品を読むと、死と向き合い辛い思いを胸に秘めていたんだと感じ、目頭が熱くなりました。」


お忙しいところ見学にお越しいただき、心のこもったご感想をお聞かせくださり、ありがとうございました。
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テレビ・七首

2013年11月04日 11時03分46秒 | 投稿歌
「梅干の料理をやっているわよ」と嬉しげな母に解らぬ恐れ

テロップに慣れて台詞が聞き取れずボリューム上げる「坂の上の雲」

気に入りの番組の曜日覚えずにテレビ嫌いのわれに確かむ

テレビで観るたびに散歩の効能をわれに説きつつ自らはせず

NHK短歌に笑い声を立て寝床の母に弟(おと)と紛(まが)わる

勝敗の映る画面に木村山の不在呟く決まり文句に

「なじょして」と山本八重を真似たるに母は返せり「なじょしない」とぞ


(2013年9月10日締め切り分、『樹海』2013年11月号掲載)
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キッチン周り・七首

2013年10月04日 11時28分50秒 | 投稿歌
裾分けを時に疎める母親に「今日は要るか」と電話をかける

キッチンに皿を洗えるさま映すボウルに母の忌む祖母がいる

キッチンに入るなと言い粕漬けをそっと差し出す夕べを母の

箸を持つ右手小指の立つ癖に繰り返される母の苦口

出涸らしを好まぬ母が一晩を置きたるペーパーフィルター惜しむ

フロスしてさっぱりした歯に不似合いなマグの茶渋を粗塩に磨ぐ

フレンチに満ち足らいても夕餉には筑前煮の香に鼻くすぐらる


(2013年8月10日締め切り分、『樹海』2013年10月号掲載)
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初夏(2)・七首

2013年09月06日 14時31分32秒 | 投稿歌
今朝 郵便受けに『樹海』9月号が入っていました。
まだ自分の歌しかチェックしていませんが、その中だけでも二箇所 誤植がありますねぇ…。(勿論、正しい方をこちらには掲載しますが。)結社に歌稿を出そうというモチヴェーションが下がるのは言うまでもありません。


薔薇の枝と葉を整える掃除婦の眼差(まなざし)熱き市役所トイレ

小夜更けて蛙鳴きつぎ水張田の面にこだまが輪を描きおり

ラジオよりカーペンターズ流れ来て寝ぼけ眼に雨と知る朝

半ドンの昼餉に朋が手際良く拵(こしら)えくれたラディッシュの汁

ラディッシュの味噌汁のなべ卓に置き湯気を囲んで笑みの膨らむ

モルディブの青を取り込むパソコンに離り住む君を偲びていたり

ギャルソンのワンピースに空く虫食いに遠ざかりゆく春の後姿(うしろで)


(2013年7月10日締め切り分、『樹海』2013年9月号掲載)
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牧師・七首

2013年08月03日 14時42分22秒 | 投稿歌
今日、『樹海』8月号が届きました。
3ヶ月半ほど結社の歌稿をupしていませんでしたので、不審に思われていた方もいらっしゃるかもしれませんが、ちょっと考えるところがあって、結社誌が配布されてから ブログに歌稿(添削済みのもの)をupするように方針を変えました。
しかし、いきなりですよ…!四首目の下の句、「スマイルと◯とVサインにて」となっているじゃないですか!!しかも、「◯」なんて、「まる」とルビまでふってあるし…(怒)。
私は短歌も紙と鉛筆で作ったことはありません。携帯からブログにメール投稿して作っています。それをまるで、「OKという絵文字なんて、存在しないじゃない!」と、訳知り顔の年長者に馬鹿にされたようで頭に来ました。「若輩者の歌は 適当に改変していいと舐められている気がします。これでは、歌稿を出し続けたいとは思えません」と先生にクレームの電話を入れました。


御言葉(みことば)をわれより知りて喜べる友に牧師の苦口利くとう

柿・林檎あまた携え教会に寄るを牧師の送りくれたり

弔いの雨に皺める讃美歌を牧師に返す夕べに聞く訃

快諾のメールに絵文字三連発 スマイル、OK、Vサインにて

説教を録音したるわが影に緊張すると牧師の洩らす

チラシ類一手に作り来し負担分かつ根回し牧師の給う

ことごとに母の様子を問いかける牧師を往(い)なすわが不信仰


(2013年6月10日締め切り分、『樹海』2013年8月号掲載)

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ボランティアの先生・十一首

2013年04月13日 10時27分30秒 | 投稿歌
先程、来月十日締め切り分の歌稿を投函してきました。
今回は、一昨年の文化展の舞台裏のエピソードといった一連です。ネガティヴな内容なので、短歌の範囲を超えて解説することは控えます。


ボランティアの国語教師に依頼しつ文化展への歌稿の筆書き

新語への違和も露わな先生に取り入り歌を平たく直す

面識の無い「フォロワー」の翻案に「友」と訳して勘違い受く

障害をつぶやき友の減ると詠む吾に食事の会設けらる

フレンチの個室に臆し黙すなか高く響かうナイフの刃音

作業所の後を訊かれて卒業はせぬと告げるに師の目の澱む

「片言の英会話ならできるでしょ」出身明かせず曖昧に笑む

違和感をつき進めずに人と和す幸を説かれて身を振り返る

見比べて吾を持ち上げた師のありて嫉み買いたる日の蘇る

道すがら「わたし馬鹿だから」と繰り返す友宥めつつ師を恨みいる

失礼と知りつつ吾が意貫くと詫び状書いて初稿を通す


(2013年5月10日締め切り分、『樹海』2013年7月号掲載予定)
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一進一退・十一首

2013年03月14日 10時27分36秒 | 投稿歌
今朝、来月十日締め切り分の歌稿を投函してきました。今回は、就職がらみのことにまつわる一進一退を詠んだ歌でまとめてみました。
気に入っている歌もありますが、やはり色々難点もあり…
四首目、「面接に砕け」という表現が今ひとつだし、その後「降り立つ」とさらに動詞を繋げたのが何とも巧くない。
七首目、「意志を壊さぬ」という表現が叙情味に欠ける。
十首目は、上の句を読んだだけでは 事情がちんぷんかんぷん。まぁ、これは「已むなく」という言葉を使って巳年の年賀状向けに試作していた際にできた歌なんで、こんな形なのですが…。歌稿を清書する段になってそのマズさに気付いたけれど、面倒臭くてそのままに(汗)。
さて、どう添削されて返って来ますやら…?



図書館の求人の跡をウェブに見る如月六日木枯らしが吹く

面接の知らせに頬を上気させ花もも小脇に家路を急ぐ

「山梨は田舎でしょう」と遜る面接官に苦笑いする

面接に砕け降り立つホームにて春のコートが風に膨らむ

バンクーバー閉幕の夜のニノ・ロータ「道」を微熱にぼんやりと聞く

週五日早出遅番ある職を落ちて内心人心地つく

起き抜けにストンと落ちてきた意志を壊さぬように詠まないでおく

司書資格思い立てるを閉ざすごとすんなり決まる適応訓練

ウェブ管理を頼まれながらその実は瓶にひたすらラベル貼る日々

やむなくて作業所にまた通い出す癌の治療に社会適応訓練(しゃてき)を辞めて

ダンボールの組み立てさえも褒めくれる作業所にいて優しさに馴る


(2013年4月10日締め切り分、『樹海』2013年6月号掲載予定)
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携帯・十一首

2013年02月12日 07時59分53秒 | 投稿歌
今朝早く、来月十日締め切り分の歌稿を投函してきました。
三年ほど前に一度、「手紙&メール」で歌稿をまとめたこともありましたが、今回は「携帯」を題材に据えました。たった三年ほどでも携帯事情は様変わりしています。また後で振り返ると、感慨深いものがあるかもしれません。
今回ちょっと自分でも引っかかっているのは、三首目。結句「世相を学ぶ」って、大袈裟かなぁ…と。さぁ、どう添削されて返って来ますやら…?


もの哀しき着メロ幾度繰り返す闇が夕雲呑み込むまでに

iPhoneに障害者割始まると知りて氷雨も弾んで聞こゆ

iPhoneに「二日」と打てば「酔い」と続く入力候補に世相を学ぶ

iPhoneに替えると友の言いながら文字化けデコメ懲りずに寄越す

iPhoneをいじくり回し眼裏にアプリの影がちらつく午睡

上京を見送ってなお身支度を促す携帯アラームむなし

聖堂に響く着信にふためきて電源切るも信徒からなり

礼拝のさなか電話に出る信徒あらずと初老の人に釘刺す

鮮やかな赤と焦げ茶のバイカラーに惹かれてスマホケースを求む

iPhone5が新(さら)のケースに入るかと首から提げてショップに向かう

ぎりぎりのところでフックが留まらずにぎこちなく笑み店を去(い)にけり


(2013年3月10日締め切り分、『樹海』2013年5月号掲載予定)
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バス旅行~作業所だより・十首

2013年01月15日 13時49分44秒 | 投稿歌
先ほど、来月十日締め切り分の歌稿を投函してきました。
今回は、11月末に作業所から出掛けたバス旅行と その後に作成した作業所だよりについて詠んだ歌で、歌稿をまとめてみました。
最近、三句切れ・四句切れに「たり」「おり」を安易に使ってしまう癖がついてきていて、良くない傾向だなぁ…と反省しています。もっと色んな歌集を読んで 勉強しなきゃ…。


朝霧高原(あさぎり)の展望台の冷え冷えと富士を顕たしめ開けていたり

黒き富士写す手許の悴(かじか)みて展望台に吐く息くもる

ゆくりなく寄りたる沼津SA(サービスエリア)にてガスパール・パフェを嬉々と頬張る

舟盛りを平らげたあとスタッフが「撮り忘れた」と慌てふためく

桜海老大き袋に売られおり店主の出なる三陸産の

道中のカラオケに喉嗄れきたり砂糖菓子舐(な)め次に備える

原稿を仕上げておくと約した日の朝に机に向かうスタッフ

顔文字の入った所長の原稿を直しゆきたり手加減をせず

みかん捥(も)ぐ写影モノクロ映えするに使用の許可を本人に得る

二日にて仕上げた「ドリーム通信」にこなれぬ文末見つけ息つく


(2013年2月10日締め切り分、『樹海』2013年4月号掲載予定)
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発病~再々燃・九首

2012年12月15日 16時48分51秒 | 投稿歌
午前中に、来月十日締め切り分の歌稿を投函してきました。今回は、発病から再々燃までをざっと駆け足で振り返った一連です。
詳細が分からないと、先生も添削しづらいだろうなぁ…とは思いますが。病気ネタに持っていくのは、一種スランプに近いですね(苦笑)。
四首目、連れ「ゆかれる」と携え「きた」という逆方向の補助動詞を同居させて良いものかとか、色々 気になっている点もあります。さぁ、どう返ってきますやら…。


バザー後の礼拝に見るわがコート買い手つかずに山に埋もれて

終点に倒れた夜に羽織りいしコートはベージュAラインなる

幻聴に引きずられ着く終点の駅に手招く「小諸のサムエル」

患いて親元に連れゆかれるに携えてきた憲司のCD

天井の木目模様のまがまがしく妄想さらに進みゆきたり

静養の家より隣市に移り住み親の見ぬ間に訪う母教会

「悪い弟子いる」と踊り場に吐き捨てる人を脇目に社屋を目指す

日曜のスタジオに籠るあの人の後姿に固唾を飲めり

鈍行に乗り七時間の道ゆきが再々燃の引き金となる


(2013年1月10日締め切り分、『樹海』2013年3月号掲載予定)
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クラムボン・八首

2012年11月14日 13時09分59秒 | 投稿歌
午前中に 来月十日締め切り分の歌稿を投函してきました。
今回のテーマは、クラムボン(のライヴ)。もう一年半前に観たライヴなのですけどね(苦笑)。まぁ、シリアスなテーマの合間の場つなぎです。
五首目の下句とか、ちょっと言葉選びがどうか とか、八首目がライヴの情景ではなく 家でCDを聴いてる光景だというのが伝わるかどうか とか、いつもながらに ちょっとした難点を含んでいます。さて、どう添削されてきますやら…。


一般の予約を待って逃したる去年(こぞ)の無念を晴らすと構う

チケットの先行予約の開始日の夕刻に鳴る携帯アラーム

予習にと買ったCD取り込んで暇を見い見いiPhoneに聴く

一回り若きの並ぶ桜座に居心地悪く開場を待つ

荒々と体躯揺らしてベース弾くミトから流れ光る汗雫

モニターのスピーカーへと打ち付けるベースが放つノイズの洪水

振り乱すミトのリズムで空を切る幼の拳に共に昂(たかぶ)る

並の音かき消す豪雨を物とせず闇で迫れる そはクラムボン


(2012年12月10日締め切り分、『樹海』2013年2月号掲載予定)
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主治医・十一首

2012年10月15日 09時41分51秒 | 投稿歌
先程、来月十日締め切り分の歌稿を投函してきました。
今回のテーマは「主治医」。精神科のドクターです。以前も「医師」というテーマでまとめたことがありますが、それは 今年物故した院長。今の先生は、かなり進取の気風に富んだ方です。
何気に、添削に添えられてくる結社の先生のコメントが、楽しみだったりして…。


古書店に勤めいし吾(あ)に医師問えり待合に置く書棚に良きを

待合のピアノ弾く手の震えつつ「忘れちゃった」と医師の微笑む

問診をさておき吾とドクターはFacebookの話題に興ず

飼猫のポストカードを主治医より診察室で買い求めたり

ネットにて心療相談室(そうだんしつ)を立ち上げた医師にさくらを頼まれて入る

膝に置いたフォト歌集へと目を留めて「次に借りる」と主治医の笑みぬ

患者との三人展を謀る師は写真並べて休みを終える

松本と韮崎、諏訪を行き来して診察こなす私の主治医

教会を排したる亡き院長と真逆に吾の信仰を褒む

去就の意さだまるまでを待てる医師あと押しのみを責と任じて

金沢の言葉揺らがぬドクターを羨めり吾が訛りきたるに


(2012年11月10日締め切り分、『樹海』2013年1月号掲載予定)
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