食欲が失せて…

父の癌 ステージ４と 聞く帰り
ジョナサンで啜る けんちん汁を
（とど）

2009年12月26日 作歌、2014年10月29日 改訂。

墓まで持ち越しか…

偽りの 戸籍と知った
片付ける 中より父の 臍の緒出でて
（とど）

2012年12月6日 作歌、2014年10月28日 改訂。

一首鑑賞(5)：有沢螢「キリストのてのひらの傷に」

キリストのてのひらの傷に触れたいと日曜学校の子ら求めたり

有沢螢『朱を奪ふ』

　有沢はキリスト教主義の中学か高校の教師を務めていたようだ。しかし有沢の短歌に見られる信仰心は、決してとりすました教条的なものではない。掲出歌の前には、下記の二首が置かれている。

　　ライラック散るころ私も死にたいと変体少女文字の答案
　　タンポポの綿毛ぽんぽん弾みゆく午後に少女は手首を切りぬ

　子供達が抱えている苦悩の中身を仮に大人が知ったとしても、そのあまりの重さに答えに窮することは想像に難くない。これまでの人生において受けた傷や罪悪感で人知れず悩む子供達が、キリストの手の傷跡に触れたいと思うのはごく自然なことだろう。ローマの信徒への手紙5章8節に、「わたしたちがまだ罪人であったとき、キリストがわたしたちのために死んでくださったことにより、神はわたしたちに対する愛を示されました」と書いてあるけれども、苦しんでいる自分のために十字架上の死を耐え忍ばれたというイエス様を、リアルな存在として感じ取ることはなかなか容易ではない。
　ヨハネによる福音書20章25節には、イエス様が復活して弟子達の前に現れた場に居合わせなかったトマスが、「あの方の手に釘の跡を見、この指を釘跡に入れてみなければ、また、この手をそのわき腹に入れてみなければ、わたしは決して信じない」と言った、と記されている。あの、十字架でお苦しみになって死んだイエス様ご自身が、本当に復活なさったのか、その傷に触れてみなければ信じられない、というトマスの気持ちは、そのまま日曜学校の子供達のものであったろう。
　　　私の味わっているような苦しみを同じようにお受けになった方がいたのか？
　　　私の苦しみをあがなうために、本当にイエス様は傷を負われたのか？
　　　深い傷を負って亡くなったイエス様が、本当に復活なさったのか？

　イエス様は、その8日のち再び弟子達の間に現れ、トマスに御傷を示して「あなたの指をここに当てて、わたしの手を見なさい。また、あなたの手を伸ばし、わたしのわき腹に入れなさい。信じない者ではなく、信じる者になりなさい」と語りかけられた。

　私達は、イエスが地上にいらした時から約二千年後の現代に生きていて、イエスの身体に直に触れることはできない。だが、私達が抱く疑問をトマスは私達に代わって呷然と表明し、イエス様に顧みを受けた。イエス様の御傷は、今も私達の前に差し出されていると思う。

思いっきし使ってたよなぁ(><)

燻製の　害きくにつけ
弁当に　ウィンナー入れた　四年を想う
（とど）

2012年3月17日 作歌、2014年8月上旬 改作。

だんだん慣れっこに。

いびつな頭（ず）の 輪郭に沿い
傾いた キャップ直さぬ 家居の安さ
（とど）

2012年4月25日 作歌、2014年8月上旬 改作。

いくらかマシになったが…

術創の 捻れるように 疼くたび
肩を回して やり過ごすのみ
（とど）

2012年3月17日 作歌。