花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

思い出の引き金

2021年08月03日 | 学校
ここに2つの植物にあります。
左は花弁がパッと開いた花。一般的な花の姿です。
ところが右はラッパのように細長い筒状の花。
あまり多くは見かけませんが、確かにこんな花も野原で見かけます。
例年この周辺にくまのプーさんのようなマルハナバチが飛んできます。
もちろん蜜を吸うためですが、好んでくるのはどちらの花でしょう。
それは右の筒型。マルハナバチは舌が長く、
このような筒状の花でも舌を伸ばし蜜を吸えるのです。
逆にミツバチは舌が短いので、この手の花に寄ってきません。
つまりマルハナバチ専用の甘味処という感じです。
筒状の花の蜜を吸いたいからマルハナバチの舌が伸びたのか、
マルハナバチだけに受粉を手伝ってもらいたいから筒状に進化したのかは
わかっていませんが、相思相愛の関係だといわれています。
お互いが形態を特化させスペシャリストとなりましたが
これが今、悲劇を生んでいます。
環境の変化で筒状の花がなくなるとマルハナバチは生きていけません。
マルハナバチがいなくなると筒状の花は子孫を残せません。
チームフローラフォトニクスの研究に震災時に取り組んだ種差海岸の
サクラソウ保全活動がありますが、まさにこの花が悲劇のヒロインでした。
明るい草原が好きなマルハナバチですが、防風林として松を植樹。
松林は草原を覆い、日陰を作ってしまいます。そのためマルハナバチは姿を消し、
種子繁殖できないサクラソウはクローン繁殖をするようになり
みるみる自生地の遺伝的多様性が失われていったのです。
幸い最近、防風林を伐採して明るい草原に戻す活動が行われたので
近い将来、マルハナバチが帰ってくる可能性があり期待しています。
筒状の花を見ると思い出の引き金となり東日本大震災が蘇ります。

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