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環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

「経済」 「社会」(福祉) 「環境」、不安の根っこは同じだ!

「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

1990年代前半のもう一つの日本発の議論「トリレンマ」

2008-03-08 08:54:52 | 環境問題総論/経済的手法
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昨日の「乾いたぞうきん論」で思いだしたのは、1990年前半を風靡した「トリレンマ」というもう一つの日本発の概念でした。この概念も当時は新鮮な感じがして、団塊の世代の方には、懐かしい概念だったと思います。


皆さんご存じのように、10年前の1997年12月に「地球温暖化防止のための京都議定書」が採択されましたが、その年の4月から日本工業新聞で毎週1回金曜日に、「小沢徳太郎のグリーン時評」と題する私のコラムが始まり、半年間掲載が続きました。私はこの連載の最初の2回に「トリレンマ」という概念を取り上げました



この概念も「乾いたぞうきん論」とともに、いまなお、日本の企業人の環境問題に対する考え方に根強く残っており、日本の現在の「地球温暖化の議論」の社会的・経済的側面の混迷に影響をおよぼし続けているのではないでしょうか。

関連記事

 「トリレンマ」という概念への疑問(07-03-24) 




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混迷する日本⑬ ダボス会議から 国別環境対策ランキング スウェーデン2位、日本21位

2008-01-27 21:40:38 | 環境問題総論/経済的手法
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1月25日の毎日新聞によりますと、ダボス会議で米エール大学などの専門家が国別の環境対策ランキングを発表したそうです。


詳細は次のサイトをご覧ください。

Environmental Performance Index 2008



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混迷する日本④ 20世紀の企業倫理・企業観が招いた「低い古紙配合率」

2008-01-18 17:48:29 | 環境問題総論/経済的手法
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昨日、私の環境論の根底にある「今日の決断が将来を原則的に決める」という経験則について、この国の将来の方向性、つまり、「地球温暖化対策」にかかわる大きな話をしました。今日は、「今日の決断が将来を原則的に決める」という経験則を身近な例で検証してみましょう。10年前の決断が今日の困った状況を作り出してしまった例です。

昨日の朝日新聞の一面トップの記事を参考にします。


この事件そのものはマスメディアがいつものパターンで報道しておりますので、そちらに任せます。重要なことは事件を起こした製紙会社が再生紙の年賀はがきの品質重視のために、およそ10年前に「契約で決められた年賀はがきの古紙配合率40%」を契約の変更なしに、社内で勝手に配合率を低くして「年賀はがきの品質を保った」ということです。

つまり、「10年前の社内の決定が今日の企業の信頼失墜の原因となった」という事例です。同業他社も同じような状況のようですので、「業界で」ということになるのでしょう

朝日新聞の35面に、「偽装 リサイクルでも」、「配合率操作、10年以上 日本製紙」、「古紙表示 申告任せ」という見出しをつけた関連記事があり、この分野の専門家3人が次のようなコメントを寄せています。 


環境分野の専門家という立場でコメントすれば、このようなコメントになるのかもしれませんが、このようなコメントはことの本質を突いているとは、私には思えません。問題を起こした企業の言い分を読みますと、私はもっと深いところにこういう事態になった理由があると思います。この記事の中に「同社(日本製紙)は92年ごろから古紙配合率を無断で下げたという。理由を、ごみやインクの固まりが増えるという『再生紙の品質問題』と説明した」という記述があります。ヒントは「92年ごろから古紙配合率を無断で下げた」「再生紙の品質問題」です

バブル崩壊以前の日本の企業が世界の市場で大成功をおさめた理由は3つありました。次の図が示しますように、その一つが「品質」でした。 

バブル崩壊までの日本企業は公害防止には関心がありましたが、環境問題には冷淡でした。1988年ごろから日本の環境行政が、それまでの「自然保護行政」と「公害行政」に加えて「地球環境問題」という新たな日本的な概念を加え、「公害対策基本法」を「環境基本法」に引き継いだのが1993年でした。ですから、今回の事件は環境の問題というよりも、日本の製紙業界が20世紀の企業としての慣習を引き継いできただけのことだと思います。

この事件が示唆していることは、日本の一流企業でさえも一部の企業を除いて、「CSR(企業の社会的責任)」や「EPR(拡大製造者責任)」が問われる21世紀に入った今なお、「20世紀の企業倫理や企業観」で製品を作り、市場に供給していたことが明らかになったということではないでしょうか。



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1992年の地球サミット: 「環境問題をリードしてきた国」 と 「そうでなかった国」

2007-12-04 20:28:41 | 環境問題総論/経済的手法


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COP13(国連気候変動枠組み条約締約国会議)が3日からインドネシアのバリ島で始まりました。会議の初日の模様を伝える新聞記事を読みながら、ふと15年前にブラジルのリオデジャネイロで開催された地球サミットの報道を思い出しました

皆さんご承知のように、1992年6月にブラジルのリオデジャネイロで地球サミット(正式には「国連環境開発会議」)が開かれました。地球サミット最終準備会合の閉幕を報じた1992年4月5日付の朝日新聞は、「動かぬ日本に批判集中」という見出しで、次のように書いています。

X X X X X
日本は環境、外務、通産など10省庁から延べ47人という異例の大代表団をニューヨークの国連本部に送り込み、会合にかける意気込みを見せた。ところが始まってみると、消極的な対応が目立ち、聞こえてくるのは、これも異例とも思える日本批判の声ばかりだった。同準備会合をとりしきるトミー・コー議長が会議の席上、二度にわたって「日本は消極的でリーダーシップを発揮していない。もっと積極的に発言し、アイデァを出してほしい」と憤まんをぶつけた。
X X X X X

次の記事をご覧ください。
 
1992年の地球サミットでは、上の記事にあるように、当時の宮沢喜一首相は出席せず、首相代理として当時の中村正三郎環境庁長官(国務大臣 地球環境問題担当)が出席しました。このことを平成5年版「環境白書」は、次のように書いています。

X X X X X 
地球サミットには、我が国から中村環境庁長官(当時)を政府代表とする代表団が参加した。宮沢総理大臣は出席できなかったものの、総理演説は公式記録として会場で配布され、その中で、我が国は1992年度からの5年間に環境分野の政府開発援助を9千億~1兆円を目途に大幅に拡充強化すること等、我が国が地球環境保全に重要な役割を担う決意であることを表明した。

また、6月5日には、中村環境庁長官が政府代表演説を行い、我が国の過去の経験からみて環境保全と経済発展の両立は可能であり、我が国としても地球温暖化対策を始めとして地球環境問題の解決に向け最大限の努力をすることを表明した。
X X X X X 

ここには、当時の宮沢首相が出席できなかったとは書いてありますが、その理由は書いてありません。当時は、国会で「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(国際平和協力法、いわゆるPKO法、1992年6月に制定) が審議中のため、出席しなかったのです。


関連記事
今なお低い日本の政治家の「環境に対する意識」


つまり、日本はこれまで環境問題でも国際社会のなかであまり発言してこなかったというわけです。この記事からも容易に想像されますように、日本は国内でも「環境問題の本質」を議論してこなかったのです。 

地球サミット本会議議長を務めたトミー・コー氏(シンガポール政策研究所長)は地球サミット終了後、朝日新聞に寄稿し、1992年7月4日付の紙面で「国際的な環境外交の面で積極的で建設的な役割を担うよう日本に求めたい。リオデジャネイロの地球サミットでは、ドイツとスウェーデン、オランダがそうした役割を担ったが、日本は違った」と述べています。



同じ先進工業国でありながら、お金や技術力、知識があるアメリカや日本、イギリスやフランスのような大国がなぜ環境問題で世界をリードできなかったのでしょうか? 

日本の人口の10分の1にも満たない小国スウェーデンやオランダ、そして大国であるドイツが環境分野で世界百数十か国を引っ張ってくることができたのはなぜなのでしょうか? ここに、日本とスウェーデンをはじめとするEUの「環境問題に対する認識の相違」があるのです。

COP13の初日の模様を伝える記事につけられた「日本、削減幅示さず」という小見出しをみると、13年前の次のような記事を思い出してしまいます。

最終日の14日はどのような状況になっているのでしょうか







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国連環境計画の報告書  「第4次地球環境概況」

2007-11-07 20:41:15 | 環境問題総論/経済的手法


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11月1日のブログで、国連環境計画(UNEP)が10月25日に公表した報告書「第4次地球環境概況」を取り上げ、マスメディアの取り上げ方が小さすぎるのではないかと書きました。

今日の朝日新聞の夕刊は、この報告書が示した地球環境の過去、現在、そして未来を大きく紹介しています。

 
この報告書が伝える環境問題の概況、将来への対応策などは、このブログで紹介してきたスウェーデンのアプローチが王道で日本のアプローチがほとんど実効性ないものであることを明らかにしたと思います。



国連環境計画の「地球環境概況」シリーズ(1~4)は、21世紀に人類が直面するであろう環境問題についての最も権威ある評価報告書といわれています。まずはこの記事をしっかり読み、現状をよく理解していただければ幸いです

この件に関するUNEPのプレス・リリース


この記事の中で、3人の方が次のようなコメントを述べています。

発表に立ち会った国立環境研究所の肱岡靖明さんは、「我々のいまの選択が、将来の地球の方向を決める。市場のみに頼っていては解決できない。様々な分野や階層で、今すぐに対策をとらねばならない」と話した。

発表会であいさつに立った環境省の小島敏郎地球環境審議官は「集団的自滅から転換するため、今こそ持続的な発展をしなければならない」と力を込めた。

10月25日にニューヨークで行われた発表会見で、アキム・スタイナーUNEP事務局長は、「・・・・・現状を変える技術的、社会的力はある。足りないのは政治的、経済的リーバーシップ。報告書をきっかけに、国際社会へ環境問題への対応を加速するよう促したい」と発言。

この3人の方がコメントしていることは、私の考えとして、あるいは、スウェーデンの政策アプローチとして、すでに私のこのブログで、述べてきたことです。



関連記事
今日の決断が将来を原則的に決める(4/4)  

再び、「今日の決断が将来を決める」という経験則の有効性(7/30) 

あの時の決定が日本の「地球温暖化対策」を悪化させた(2/26)  

緑の福祉国家2 なぜスウェーデンに注目するのか(1/12) 

市民連続講座・環境 ドイツの環境政策を支える「エコロジー的近代化論」(3/12) 

なぜ、先駆的な試みを実践し、世界に発信できるのだろう⑧ 国の方向を決めて政治的選択(8/25)

社会的な合意形成⑥ 科学者と政治家の役割(3/5) 








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国連環境計画が公表した「地球環境概況 4」

2007-11-01 11:51:53 | 環境問題総論/経済的手法


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今日から11月。今年もあと2か月を残すばかりとなりました。今日から気分転換のためにテンプレートを変えてみることにしました。ブログ用に提供されているテンプレートの種類と数はかなり豊富なのですが、私の目的に合うものはなかなかみつかりませんでした。こんなところでいかがでしょうか。

今日は、何はともあれ、まず取り上げたいのが、UNEP(国連環境計画)が10月25日公表した「地球環境概況 4」を報ずる日本のマスメディアの現状です。私はこの報告書は大変重要だと考えています。マスメディアが報ずる記事の大きさが、必ずしも重要性と関連はしないのかも知れませんが、記事の大きさが小さいと他のセンセーショナルな記事などに押されて、見落とされてしまいかねません。記事の扱いによって、マスメディアの「環境問題に対する認識・姿勢」を見ることができるかもしれません。

そこで、まず、三大全国紙の読売新聞、朝日新聞および毎日新聞がどのように報道したか、私の住んでいる地域での記事の扱いを比較してみました。






日本経済新聞は、私が調べた範囲では、10月26日~10月31日の朝・夕刊のいずれにも関連の記事の掲載がありませんでした。


それにしても、この国では環境問題の全体像よりも、なぜか、ここ数年環境問題といえば「地球温暖化」に特化した報道が多すぎる傾向があるように感じます。







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「再び、割りばしリサイクルに励もう」という投書を読んでみよう

2007-10-16 19:55:27 | 環境問題総論/経済的手法
 
 
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10月14日のブログで今年6月に発行された槌田敦さんの「環境保護運動はどこが間違っているか」は1992年に発行された同じ題名の本に増補(増補1~7)を28ページ分追加したものです。こちらも15年ぶりに読み返してみようと思っています」と書きました。

p207の増補1は「リサイクルも経済原則の中で行うべきです」という表題のもとに、次の3つが議論されています。

●リサイクルに向かない牛乳パック
●どうするのがいちばんいいか考えよう
●貴重な資源は税金をかけて保護する

「●どうするのがいちばんいいか考えてみよう」の議論を再現しています。

槌田 ところで、王子製紙が割り箸を集めて紙の原料にしているのをご存知ですか?
―― いいえ、割り箸のリサイクルですか。

槌田 割り箸を集めて宅配便で王子製紙の工場に送り、紙にするというもので、送料は送るほうの負担です。
 原料パルプを節約する運動として広がりつつありますが、宅配便なので遠くから送るエネルギーなどを計算に入れると、全体としては資源の節約になっていません。
 牛乳パックも割り箸も、リサイクルするのが最善とは限らないのです。
 かけ声に合わせて一斉にリサイクルに走るのではなく、それぞれの状況に応じて、最も環境負担の少ないやり方を考えましょう。

 リサイクル運動の人たちの要望にこたえて、牛乳パックを再生紙にするための設備投資をしてしまった製紙工場が近くにあれば、原料を供給し続けることも必要になります。
 牛乳の工場が近くて、リターナブルびんで配達するほうが資源やエネルギーの節約になる地域では、紙パックをやめてびんにするのがいいでしょう。もちろん、燃やしてしまったほうがいい場合も多いのです。

この議論を読んで思い出したのが、10月8日のブログ「8月の景気動向調査、学生の反応、環境危機時計、そして、割りばしリサイクルに励もう」
に掲載した次の投書記事です。


この記事では、集められた割り箸は福岡から発送され、どこかの製紙工場に送られています。槌田さんのおっしゃる王子製紙の工場かどうかはこの記事ではわかりません。

皆さんは槌田さんのお考えとこの記事の投稿者のお考えをどう判断しますか。私には「判断基準の相違」が感じられます。つまり、実社会の中でどちらが合理的かということです。



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武田さんの「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」と槌田さんの「環境保護運動はどこが間違っているか」

2007-10-14 11:43:37 | 環境問題総論/経済的手法

 
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10月11日のブログ「同じ情報を与えられても解釈は異なることがある」 で、武田邦彦さんの「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」(2007年)と槌田敦さんの「環境保護運動はどこが間違っているか」(1992年および2007年)に触れました。

そして、昨日、一昨日の2回に分けて、私の環境論から環境問題を考えるときの私の「基本認識」と「判断基準」の一端を紹介しました。

私は武田さんの「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」(2007年3月)を4月に購入し読みました。

「INTRODUCTION」は「環境問題が人をだます時」という表題がつけられており、その結論は、最後の行にある「事実を知る」、それがまず第一歩だ。そして、「おわりに」の結論は「・・・・その意味では環境問題は非常に重要で、とても遊んでいられるような状態ではない」となっています。当然のことながら、 「INTRODUCTION」と「おわりに」に示された結論にはまったく異論はありません。もし問題があるとすれば、両者の間の本文に示された武田さんの「環境問題全般」および「取り上げられた個別の問題に対する基本認識とその問題に対する判断基準」です。

10月7日に一橋大学で開かれた緊急シンポジウム「環境問題のうそはウソ? ホント?」(主催 「環境問題のうそ」はウソ?ホント?徹底討論実行委員会)では、パネリストとして

著者の武田邦彦さん(中部大学総合工学研究所教授)
●遠山千春さん(東京大学教授、化学物質の健康影響を研究)
●中下裕子さん(弁護士、ダイオキシン・環境ホルモン国民会議事務局長)
●村田徳治さん(循環資源研究所所長、廃棄物・化学物質問題コンサルタント)
●庄司元さん(全国都市清掃会議・元調査普及部長)、環境文明研究所局員研究員)
●八木雄一郎さん(リサイクル事業者、明円工業工場長)
●鈴木秀明さん(静岡大学農学部4年・Japan Young Greens代表)
●杉本裕明さん(ジャーナリスト)

が参加し、午後1時半から6時ごろまで行われました。

私も参加し、最初から最後まで、武田さんvs7人のパネリストの討論を聞きました。ここでは私の感想をあえて書きませんが、昨日、一昨日に私が示した「私の環境論」の「環境問題に対する基本認識」と「判断基準」を見ていただければ、皆さんは私の感想を推測することができるでしょう。

さっそく、2冊目の「環境問題はなぜウソがまかり通るのか 2」(2007年9月)を一昨日購入して読み始めたところです。武田さんはこちらの「INTRODUCTION」では、「環境政策を疑え」と書いておられます。この本には「おわり」の部分がなく、「第5章 対談<武田邦彦x池田清彦> 環境問題のここがヘン! -環境政策を疑い、監視せよ」で終わっていますので、「INTRODUCTION」の最後の部分がこの本の結論と考えてよいのでしょう。次のように書いてあります。

ともかく、前者を読んでいただいた方にも読み応えのある内容となるように心がけた。読者にとって本書が環境問題の本質を捉える機会となり、新たな視点を提供する一助となれば幸いである。

もう一つは槌田敦さんの「環境保護運動はどこが間違っているか」です。今年6月に発行されたものは1992年に発行された同じ題名の本に増補(増補1~7)を28ページ分追加したものです。こちらも15年ぶりに読み返してみようと思っています。

槌田さんの92年発行の「環境保護運動はどこが間違っているか」を書棚からとりだしましたら、当時の新聞記事が本にはさまれていました。「牛乳パック回収は間違いか 京都 リサイクル運動巡り討論集会」とあります。92年12月3日付けの朝日新聞です。槌田さん対森住明弘さんの対決です。議論を聞いた2人の方のコメントが出ています。

今日のブログの最後に、私が送るメッセージは2つ。



武田さんの「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」(2007年3月)の結論である「事実を知る」、それがまず第一歩だとという点はその通りだと思います。


私も、武田さんがおっしゃるように、私のこのブログが環境問題の本質を捉える機会となり、新たな視点を提供する一助となれば幸いです。そして、私たちの国「日本」が、福田首相の言葉のように、「安心と安全な希望のある国」になるよう望んでいます。



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環境問題:私の基本認識と判断基準②

2007-10-13 22:43:25 | 環境問題総論/経済的手法

 
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今日は、このブログを書くにあたっての環境問題に対する「私の基本認識」と「私の判断基準」の2回目です。昨日と今日の「私の基本認識」と「私の判断基準」合わせて11枚の図の意味するところを共有していただければ、日本の環境分野の議論が今までとかなり変わってくると思います。









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環境問題:私の基本認識と判断基準①

2007-10-12 10:55:38 | 環境問題総論/経済的手法

 
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このブログを書くにあたっての環境問題に対する「私の基本認識」と「私の判断基準」の一端を今日と明日の2回に分けて明らかにします。昨日紹介した武田さんの著作や槌田さんの著作を読み、そして、日本政府の政策やマスコミ報道を読んだ後、私なりの考えをまとめるときにはこの基本認識と判断基準を基礎に考えます。





(注1)平成13年版「環境白書」のp11に掲載されている原図は横書きであるが、縦書きに書き改めた。

(注2)原図の表題は「図1-1-14 問題群としての地球環境問題」である。





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あらためて、戦後62年 立ち止まって考えてみよう

2007-08-17 15:30:03 | 環境問題総論/経済的手法


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7月17日の朝日新聞(朝刊)の1面の見出し
新潟・長野 震度6強
7人死亡 902人けが M6.8 300棟全壊、1万人避難
柏崎刈羽原発 放射能含む水漏れ 海に流出 揺れは国内最大
16日午前10時13分ごろ、新潟県中越地方を中心に強い地震があった。政府は今回の地震を「新潟県中越沖地震」と名付けた。

8月6日の朝日新聞(夕刊)の1面
核拡散 人類なお危機 広島平和宣言 「政府は被爆実相直視を」

8月9日の朝日新聞(夕刊)の1面
核容認論に危機感 長崎 平和宣言 「廃絶、政府が主導を」

8月15日の朝日新聞(夕刊)の1面
 終戦の日 戦没者追悼式 加害者責任「深い反省」 首相、哀悼の意表明
 高市大臣、靖国参拝へ

8月15日の朝日新聞(夕刊)の2面
イラク北部 自爆テロ175人死亡 開戦以来、最悪の規模

8月16日の朝日新聞(夕刊)の13面
ペルーでM7.9 建物倒壊 17人死亡

そして、今日、8月17日の(朝刊)1面には「最高気温74ぶり更新 埼玉熊谷 岐阜 多治見 40.9℃ 熱中症 死者11人に フェーン現象、内陸に熱風」と「ペルー 地震死者330人超 けが820人以上」、そして「NY株 1時100ドル下げ 円は急騰、英で113円台」、6面には「イラクテロ死者 400人に モスル近郊 救出作業は続く」と「北朝鮮水害 食糧被害10万トン 韓国側見通し 90年以降最も深刻」、26面には「減りゆく北極の氷 史上最少面積に 3年前に比べ日本4個分縮小 海洋機構など解析」など、自然災害、テロ、経済、気象、環境の記事が目を引きます。

そこで、私は「環境問題の位置づけ」を明らかにするために、あらためて「戦後62年、立ち止まって考えてみよう」と題する図をここに再掲します。

この図は今年1月3日のブログ「戦後62年、立ち止まって考えてみよう」に掲載したものです。この図には、環境問題に対する私の基本認識が込められています。皆さんの環境問題に対するお考えはいかかがすか。コメントをいただければ幸いです。

関連記事

あらためて、「環境問題」とは


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「いわゆる地球環境問題」と「地球規模の環境問題」

2007-08-06 20:51:27 | 環境問題総論/経済的手法


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昨日のブログに掲げた“いわゆる地球環境問題”とは、 日本の行政機関が環境行政上の枠組みとして、その現象面に注目して設けた問題群で、日本独自の概念です。

スウェーデンの王立科学アカデミーが、1972年の「国連人間環境会議」(ストックホルム会議)を記念して創刊した国際的環境問題の専門誌『AMBIO』のVol.18,No.6(1989年)によれば、1989年秋、スウェーデンのヨッテボリィで開催された「エコロジー89会議」で議論の末に提起された“地球的規模の環境問題”とは、次のとおりであったと報告しています。

(1) 人口の増加
(2) 生物多様性とその保全
(3) 気候変動
(4) 森林の減少
(5) 有害廃棄物
(6) 土壌の劣化
(7) バイオ・テクノロジーに由来する危険性
(8) 環境悪化を進めるエネルギー生産
(9) 人間の無知と変化への恐怖
(10)南北の対立
(11)対立する政府の政策
(12)軍事的不安定と民主主義の欠如
(13)危険性の認知
(14)病原体
(15)都市環境
(16)労働環境
(17)資源の消失

ここで提起された“地球的規模の環境問題”は、日本の“地球環境問題”をはるかに超えた「日常的な国際問題」そのものであることがわかります。また、このような環境問題に対して「技術による対応」には、限界があることも理解できるはずです

地球的規模の環境問題に対する認識で、日本と国際社会の間に大きな落差があることがおわかりいただけるでしょう



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環境問題に対する日本の議論の推移

2007-08-05 21:42:23 | 環境問題総論/経済的手法


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20世紀の経済学は、19世紀から引きずって来た「貧困」、「不平等」、「不況」などが解決できれば、社会はうまくいく筈だと考え、努力して来ました。貧困に対しては経済成長、不平等に対しては社会保障の充実などによる所得の再配分、不況に対しては財政・金融政策を行ってきました。ところが、20世紀の終りに至って、私たちは地球規模の環境問題に直面し、これまでの経済学の考え方を改め、別の道を歩まざるを得なくなったことに気づいたのです。

★環境問題に関する日本の議論
 
環境問題に関する、これまでの日本の議論は、図に示すように、公害対策基本法(1967年)に基づく“典型7公害”、自然保全法(1972年)に基づく“自然保護”に加えて、1988年頃からの“いわゆる地球環境問題”が中心で、いずれも“現象面の議論”が多く20世紀を特徴づける大量生産・大量消費・大量廃棄に象徴される「既存の産業経済システム」と「環境問題」のかかわりを正面から見据えた本質的な議論が極めて不十分でした。


産業経済システムとの関わりを不問にした環境問題の議論はありえないというのが私の主張です。

「地球温暖化」、「オゾン層の破壊」、「酸性雨」、「海洋汚染」、「有害廃棄物の越境移動」、「熱帯林の減少」、「野生生物の減少」および「砂漠化」の“いわゆる地球環境問題”と称される自然現象的事象は、いずれもこれまでの産業経済システムの拡大から生じた人為的な問題です。

1988年以降、日本では「地球にやさしい」、「共生」などの心地よい響きを持ったキャッチ・フレーズと共に、「地球環境」および「地球環境問題」という“日本的概念”が社会に定着し、みごとなまでに環境問題に対する危機感を薄めてしまった感があります。政府も自治体も従来の「公害」という概念に代わって、この新しく登場させた“日本的概念”の普及に精力的な啓発活動を続けてきました。ジャーナリズムも、経済界も、企業も、学者も、そして多くの市民運動家までもが、この流れに呑みこまれてしまっています。

★過去10年間の主な議論 

この10年間に各地で行われた環境セミナーやシンポジウムには、従来からの自然保護の流れとは別に、二つの大きな流れがあります。
 
一つは環境問題の真の原因である「人間活動の拡大」、具体的に言えば、日本が世界に誇る「大量生産・大量消費・大量廃棄の産業経済システム」を不問にしたまま、環境問題の専門家や学者、環境問題に関心を示す識者、市民運動家が、いわゆる地球環境問題の現象面の解説とその対策、世界の動向などを解説するもの でした。

もう一つは、環境問題解決の新たな概念として登場した「持続可能な開発」、「アジェンダ21」、「NGO/NPO」、「LCA」、「グリーンGNP」、「環境税」、「環境監査/環境管理」、「EMAS」、「ISOシリーズ」などの“輸入概念”の勉強です。特に、「環境監査/環境管理」や「EMAS」、「ISOシリーズ」の勉強の動機づけには、環境問題の解決に資するというよりも、国際化した日本企業が欧米の市場から締め出されないようにという“日本的企業論理”に基づく意味合いが濃く感じられます。
 
このようなテーマ別の学習の繰り返しは、環境問題の本質を曖昧にし、本来見える筈のものも見えなくしてしまう危険性をはらんでいると言えるでしょう。



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「環境問題への対応」のために

2007-07-24 07:51:51 | 環境問題総論/経済的手法


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今年1月1日にこのブログを立ち上げ、今日で7か月と24日が経過しました。私の環境論に基づいて、私が理解するスウェーデンと日本の環境分野の話題を皆さんに提供してきました。

私がこのブログを通して皆さんに一番お伝えしたいメッセージは、

「経済」と「環境」は切り離せない

という事実です。


このブログにこれまで使用したおよそ480枚の図表の中から、私が「環境問題への対応」の大枠を理解するのに最も重要だ考える図を6枚掲載します。皆さんからのコメントをいただければ幸いです。

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あらためて、「環境問題」とは

2007-07-23 21:16:06 | 環境問題総論/経済的手法


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「経済」と「環境」は切り離せない

という事実です。


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