酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

「政府紙幣」だって

2009-02-03 04:56:51 | Weblog
 「100年に一度」の経済危機に対応するため、政府紙幣を発行してはどうかとの自民党内から声が出ているという。

 《政府が日銀に代わって紙幣を発行する「政府紙幣」の導入論が浮上してきた。政府紙幣を発行すれば財源を気にせず景気対策が実行できるため、推進派は「先進国で最初の不況脱却を掲げる麻生政権の切り札になる」と主張。一方で、通貨価値の下落を通じ、物価が上昇するインフレや円安を招く「副作用」を指摘する声もある。麻生太郎首相は2日夜、「今のところそういう段階ではない」と語り、導入に消極的な見解を示した。 

 政府紙幣は日銀が発行する通常の紙幣と違い、政府自身が発行する「第二の紙幣」で、社会保障や失業対策に充てる案が浮上している。元財務官僚の高橋洋一東洋大教授が25兆円規模の発行を提唱、自民党の菅義偉選対副委員長が1日のテレビ番組で「非常に興味がある」と発言したことから導入論議が盛り上がりつつある》=時事=

 こういう荒唐無稽な話が現実になったりするから、政治は恐ろしい。麻生首相は「太政官札?」ととぼけていたようだ。しかし、「今のところその段階ではない」とも答えている。経済状況がさらに深刻になればあり得る、ということだろう。

 世界経済は09年はさらに悪化し、10年の前半も厳しい。回復モードに入るのは早くても10年の後半から--というのが大方のエコノミストの見立てである。この段階で政府紙幣導入話を打ち上げたのは、近い将来へ向けてのアドバルーンのような気がする。

 アメリカが国債返済のため大量のドルを刷り増すのは確実である。借り手がないにもかかわらず日銀券も大量発行されている。これらはいずれ紙くずになると見た方がいい。そうでもしなければ1000兆規模の借金を返せるわけがない。

 高橋先生は《100年に一度の経済危機には異例の対応が必要。物価上昇率が一定水準に達した時点で発行を止めれば問題ない。世界的に強まるデフレ懸念の払しょくにも効果がある》=時事=との見解だが、大いに疑問だ。

 第一、こんな「贋金」もどきを出すといった時点で国民の経済への不安は頂点に達する。政府紙幣はおろか日銀券まで価値を疑われるに違いない。そうなればハイパーインフレの到来だ。むしろ政府はそれを望んでいるのかもしれない。
 
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