火星の風は実際には宇宙船を吹き過ぎることはない。しかし、今、この赤い惑星で荒れ狂っているダストの嵐のように、その低い重力の下での火星の風は、惑星全体にわたる嵐によって微細なダストの粒を巻き上げることがある。キュリオシティ・ローバーからの火星日2082日(2018年6月15日:訳者補足1)の火星の地表からのこの自画像は、ゲイルクレータにおけるローバーの場所の、日光と可視性の減少の、ダストの嵐の影響を示している。火星ハンドレンズ画像装置で撮られたこのイメージでは、そのアームはイメージには写されていない(訳者補足2)。キュリオシティの最近の穿孔サイト、ダルースが、ローバーの左前の岩に小さく見ることができる(訳者補足3)。東北東の背景に霞んでいるゲイルクレータの縁は約30キロメートルにある。キュリオシティは放射性同位元素の熱電発電機でパワーを供給されており、ゲイルクレータでのダストの増加に影響を受けることがない。一方、火星の向こう側のエンデバー・クレータの西の縁では、太陽電力に依存するオポチュニティ・ローバーが、日光の厳しい不足のために、その場所でそのオペレーションを中止した。
<出典>: 「今日の天文写真(Astronomy Picture of the Day)」
<大判>: イメージをクリック。
<訳者補足>:
1、火星日は当該宇宙船が火星に着陸した日からの火星の日数。火星の一日は地球より約20分長い。
2、火星ハンドレンズ画像装置はアームの先端についているのでアーム自体をイメージに収めることができない
3、キュリオシティの左下の比較的大きな岩の、下から3分の一ほどにある小さな赤い円(穴)。オポチュニティが岩の組成を分析するためにドリルで穴をあけ、サンプルを取り出した跡。