今日の考え事〈applemint1104〉

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「モンタージュ・三億円事件奇譚」の感想

2016-06-28 09:26:23 | ドラマ
三億円事件を題材にした異色のスペシャルドラマで原作はコミックのようです。
昔繁栄した軍艦島に住んでいた人たちの数人が首謀した事件、それが三億円事件でした。
福士蒼汰くん演じる成海大和が7年前にある男から「お前の父親は三億円事件の犯人だ」と告げられその場で亡くなった、それが頭から離れず…
その後ひとりぼっちになった彼でしたが父親の知人に引き取られ、たまたま父親の剣道着の名前の札をもらい受けます。
その中に血の付いた五百円札が入っていて、驚きます。
紙幣の番号は確かに事件のあった時に盗まれた五百円札でした。
大和は父親が本当に事件に関与したのかを探ろうと、その秘密に迫っていきます。
 
しかし、大和の父親は7年前に水死体となって発見され亡くなったものと思われていたのに、実は生きていました。
そして、大和が何かする度にその前に現れ陰から邪魔をしたりする人がいる。
それは、刑事とは思えぬ凶暴な性格で次々に人を殺す関口でした。
これが希に見る人格破綻者みたいな男です。尋常と思えぬ行動で、大和たちを追うのです。
また父親と関係があった教師の鈴木、その生徒の予備校生、警官、登場人物たちが次々に出て来ますが、誰がいい人で誰が悪い人か、見分けがつきません。
 
一方、現代のこれらの人たちと平行して語られる、昭和43年前後の話。
鉄也は長崎から東京に出てきます。偶然知り合ったチンピラと仲良くなり、ジャズバーで働く。
恋人が出来るが、学生運動盛んな時代、恋人は運動中に巻き込まれ警察車両に轢かれて亡くなってしまいます。
鉄也の同郷の友人、沢田がそんな鉄也に声をかけます。
「二人でこの世の中を変えよう」とそそのかすのです。これが発端でした。
沢田はある大物に目を掛けられてその後政治家として大成する。
そして、2016年の今、彼は民和党の幹事長の座にいました。
 
容疑を掛けられた大和はどこまでも逃げていく。
その間に父親の事件が少しずつ明らかになっていく…。
 
軍艦島の風景の迫力もさることながら、昭和40年前半の雰囲気が上手に描かれていました。
無垢で一途な性格の鉄也の恋人、門脇さんがそれっぽかったです。
雰囲気ありますね、この人。
しかし2時間の間におびただしいエピソードと複雑な人間関係。とても覚えきれるものではありません。
大和たちが軍艦島に出向いてすぐに血の付いた三億円の袋を見つけるのもおかしいし、(なぜ半世紀もほったらかしに?)突如として三億円事件にまつわる関係者が一同に介し、軍艦島に集合するのも不自然です。
あらゆる因果関係が強引で、作り物の感を拭いきれません。
「奇譚」とあるのはそういうことなんだろうけど…。
 
終わり近くになるとCMが入りまくり、ブツブツ切れて分かりづらかったです。
しかし、意欲作だというのは理解出来ました。
これはコミックス19巻に渡る長編なんですよね。それを2日続きの4時間でやろうとするのが無理なんですね。自ずと大事な部分だけの追っかけになってしまう…
出来たらコミックスで、長い期間をかけてハラハラドキドキしながら読むのがいいのでしょうね。
 
発見もありました。あんなに簡単に現金輸送車を欺してお金を奪ったんですね。
詐欺なんてこんなもんなのか…、と呆気にとられました。
そして40年代の、貧しかったけど皆が政治に向かって参加していた高揚感、刹那感が感じられました。
ドラマとしては失敗だったかもしれませんが、連続ドラマなどでいつかリベンジして欲しい作品です。


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