「アガサ・クリスティ・大女優殺人事件～鏡は横にひび割れて～」の感想

アガサクリスティーのドラマ化というので見てみました。
放送と一緒に見た時はまったくつまらなく、ほとんど印象も残らなかったのですが、後になってどこか見落としがあるのではないかとまた見てみました。

 

多分惹かれたのは全体の雰囲気でしょう。どんより暗くて重たい。造りがいかにもミステリーっぽいです。
熱演していた黒木さん古谷さんの力もあるのでしょう。この二人、「失楽園」コンビです。
と言っても、黒木さんは映画、古谷さんはテレビでしたけど。

でも黒木さんが大女優って‥、この人、演技は上手でしょうが、主役級じゃないんですよね。体つきも薄くて軽くて、いかにも脇役的です。
やっぱり大女優って、存在感が違うんですよ。オーラというか、それがこの人はないですもんね。

 

いろどりまど香というこの主人公は、私生活で悩み苦しみがあって、13年ぶりにそれを乗り越えて映画を撮ることになりました。
監督は三度目の夫の海堂（古谷一行）そして、ななんとこの映画を撮るためにだけ買った豪邸で（すごいわ）クランクイン・パーティをします。

そこへ、かつて色々訳ありだった人達が次々表れます。津川さんなんか楽隊引き連れてですよ。こんなの今の時代ありますか‥。
もう一組、曰くありげな夫婦が来ます。これが、63歳と33歳のカップルです。聞くと、この夫は婿に入りましたが妻が亡くなり、その娘を今度は妻にしたんですって。
大胆です～（笑）その若妻、凛が毒を盛られたダイキリを飲み、パーティのさなかに死んでしまいます。これが第一の殺人。

しかし‥なんとこれが、この物語りの主軸だったのです。

 

これを皮切りに、まど香の身近な人間が次々に殺されます。
〆子という海堂の秘書。そして、印伝（でいいの？）という男。彼は金を脅し取っていました。
犯人は誰か‥警察の捜査が始まります。
回りを見渡すと、怪しい人が沢山あらわれます。まど香の人生は、トラブルばかり。どれ一つとして幸せな関係ではなかった。
人に恨まれ、ある女優には殺したいと宣言されるほど嫌われていました。

 

まど香は三度の結婚歴があります。二度目の結婚で養子を三人取り、それは幸せな生活をしていました。

完璧な家族でした。
が、妊娠した時に、養子たちを手放します。その後、まど香は死産してしまいます。そこから歯車が狂い始めます。

三度目の結婚相手が海堂でした。

一度目の結婚の相手が、殺された凛の夫でした。実際に会ったのにまど香は気がつかなかったのです。

この辺がおかしいですよね。
いくら30年経ってると言ったって‥。

 

二度目の夫の息子も刑事達に調べられます。が、シロ。
まど香の回りに、過去関係があった人達が明かされます。養子だった人たちも、今はカメラマンや監督の付き人になって周りにいるのです。
そして、皆口々にまど香の女優としての才能をほめ讃えるのです。

後半の一時間30分を過ぎた頃から謎解きが始まります。

一つ一つ事件の謎を解いていく警部補の相国寺。言われてみるとな～んだという、簡単な種明かし。
全てはまど香の自作自演でした。
自分が飲むコーヒーにまで毒を盛って、自分が狙われていると演出したのです。

それもこれも、実は、死産した子供の原因を作った人がいたのです。それは15年前の凛でした。

彼女のかかったジキ熱をうつされて、まど香は子供を死産してしまったのです。（この検証が出来ていない）
つまり、これは15年にわたる復讐劇でした。更に周りの人をも巻き込んだ‥

 

一体この話は何を言いたかったんでしょう？
因果関係を説明するのに精一杯で、何が重要なのか見えてこなかったです。
女優魂がメインなら、何で子供を失った恨みを果たすことがあるの？

女優としての生き方を尊重しながら、「女としての人生は決して幸せでなかった。でも、もういいだろう、休んでイギリスの田舎へ言ってみないか」と誘う海堂でした。
この人が主人公のような穏やかさです。しかし、まど香は自分で自分の人生の幕を下ろします。
大好きな白薔薇に囲まれウェディングドレスを着て‥。なんじゃこりゃーという感じです。

 

一つも楽しい事のなかった話、おまけに最後は自殺で幕引きという後味の悪さ。
まど香は他の人でも良かったと思いますが‥、そして古谷さんはチャゲアスの飛鳥に見えてしょうがなかったです。

やはり時代が違うからなのか、大作家の物語とは思えぬ肩すかしでしたけど、皆さんはどう感じたのでしょうか。

「隣の家族は青く見える」最終話の感想

バタバタと各家族のトラブルが収まり、落ち着くところに落ち着きました。
夜ボーッと見ていたらあれよあれよという間に色んな問題が収束して、皆いい人になり、たちまち終わっていました。
今日見直してみてそれぞれちゃんと解決してたのは驚きです。

しかし、今まで、これでもかと家庭の不和や衝突を描いてきましたよね。少しずつ収束に向かわせてくれれば良かったのに。
一気に完結して、キョトンという感じです。

 

まず大器と奈々ですが、奈々が苦労して妊活していたのだど、妊娠が流産になってしまったことから奈々が家を出て、大器に別れましょうと告げました。
大器はおどけた写真を一杯送り、子供がどうしても欲しいわけじゃない。奈々とずっと生きていきたいと言います。
奈々は、大器が好きだからこそ、別の人と一緒になって子供を作って欲しいと思うのです。
この辺、オーヘンリーの短編のようですね。妻は夫に、自慢の長い髪を切って時計の鎖を買い、夫は時計を売って妻の髪を梳かす櫛を買ったという。

相手を思いやりながら、すれ違ってしまう皮肉というのか‥。

大器は「何のために子作りしたのか、何のために治療したのか、何のために結婚したのか分からなくなった」と嘆きます。
そしてそんな自分たちが本末転倒だったと言います。これは母親が言ったんでしたっけ‥

「本末転倒」この言葉が各家庭からそれぞれ出て来ます。これがキーワードですね。
それぞれ個人の「こうあらねば」という思いが強すぎて、相手に伝わらなくて衝突してしまった。
そういうドタバタを今まで描いてきたのですが、相手の思いを聞いて理解し、話し合い、折り合う。
そして「私たち、やりなおせるよね」と小宮山の妻が言ったように、新しい関係のもとに、おのおのがやり直していく話だったのでしょう。

 

川村亮司の家では、息子の姓を変え、自分の姓にします。

ちひろと事実婚の誓約書を書き、皆の前で簡単な結婚披露もしました。
広瀬と朔は、パートナーシップ誓約者を書きます。
それぞれ丸く収まって、めでたしめでたし。

 

最終回で急展開ですもんね。ちょっとあれですけど‥
余談ですが、私は朔が気の毒でしょうがないです。あれだけ可愛いのに、選択肢が沢山あるのに本当にこのおじさんでいいの？と思ってしまいます。
やっぱり同性愛について理解出来ないのです。でも渉の母親は、面白い味出してましたね。
あの人でなきゃできない明るいキャラクターで、二人の良き理解者になっていました。

 

奈々は「自分たちが子供のいない人生を描けていなかった」といい、高畑が「楽しい事は皆で共有できるけど、悲しい事辛いことは本当に大事な人としか共有できないんだよ」と言った言葉は、深いなーと感じました。

大器は「奈々と生きていきたい。奈々の手を放したくない。子供がいたら子供に嫉妬してしまうかも知れなかったから良かった」と、やや気休めのようなことをいいます。
ちょっといい人過ぎません？

 

きれいごと、理想的すぎるんではないかと思いながら、涙が出て来ました。
大器も高畑母親も、人間が出来ています。だけど、そういう人がいるからこの世の中が救われているんでしょうね。

 

最後に奈々は「子供を持たない選択をしたけど、だからと言って子供を避けるような生き方はしたくない。母親という形でなくても、別の形で子供と触れあっていきたい」といいます。この言葉、あっぱれです。
そしてそれを早速仕事でも実行します。

 

じっくり見るとすごくいいドラマでした。よく見ないと分かりませんが‥（笑）
私もところどころ勉強になりました。またいつかこの二人の夫婦のドラマが見たいです。

「きみが心に棲みついた」最終話の感想

録画見ている内に寝、また見ては寝‥で、3度目やっと全部を見終えました。
寝てしまうのはつまらないからなんだろうね‥

 

しかし、今までと全く違うとてつもない話が出て来ました。
最終話なのにですよ‥
ななんと、星名の母親は殺人者だと星名が今日子にショッキングな告白をしていたのに、実は星名が殺人者だったのです。

それも、父親を‥。
可愛さの余り息子に厳しくなりすぎて、ほとんど虐待していた父親に対して、星名は逆上して殺してしまったのです。
息子をかばい、自分が罪を着て罪を償った母親‥。何という衝撃的な話。こっちの方が大事件じゃありませんか。
数分でこの話を終わらせるなんて、甘い‥。

 

星名は余命の短い母親の所に見舞いにも行かず、退社して自暴自棄に。
なぜか大学のクラブハウスみたいな所に立て籠もって、練炭自殺を図っているのでした。
もーメチャクチャ‥（笑）そこを突き止めて部屋に飛び込み、助けようとする今日子。
だが、なぜかまたその星名の言葉に心引かれてしまう。（天然のアホですね）

そして一緒に一酸化炭素中毒で倒れてしまいます。

そこへまたまた危機一髪で吉崎たちが飛び込んできて（タイミング良すぎ！）二人は救急搬送されました。

 

星名の母親は亡くなりました‥。
なんて幸薄い人生なんでしょう、こんなのやだ。
そして星名は行方不明になってしまいます‥。

 

一体何がしたいの？このドラマ。
いやいや、深遠な意味がありそうです。
無理に作るなら、「病んだものは同類の心を引き付けて、その鎖のような関係から逃れられなくなる」みたいな‥？

 

トンでもない奴ですね、星名は。
しかもまったく格好良くなかったです。
彼はいい所一つも無し。何でこんなに出世出来たんだろう。脇が甘いから、訴えられるわバラされるわで散々です。
でもそんな星名が、今日子には特別だったんだろうね。

 

昔は「悪い人ほど惹かれる」とか「不良の魅力」みたいなことを言う人もいました。
今は「病んでる人ほど惹かれる」「退廃的な魅力」とでも言うんでしょうか‥。

 

まー私はこのへんてこりんなドラマを見て、「しっかし色んな人がいて色んなことを書く人がいるんだな～」と思いました。
多様性、ダイバージェント、とでもいうんですか。ここでも。

 

10時台のドラマは大人向けです。でもこの内容ならもっとどぎつくして11時台でも良かったのではないですかね。

 

最後に星名は今日子の結婚式に祝福の花束を贈りました。「キョドコのくせに」というカードと共に。
それを言うなら「お前も大概だわ　整形男」と言いたくなります。
よくこれを引き受けましたね、向井さんは。この役をどう思うか、ちょっと本音を聞いてみたいです。

 

「anone｣9話の感想

見ていて陰鬱で面白くないのでいつの間にか寝てしまいました。
深夜、録画を見直したら(こういうことがあるので録画している)リアルタイムで見てた時と印象が全く違うのです。

 

救いのない不幸を絵にかいたような人たちが集まって来て、アノネさんの家で仲良く共同生活している。

でもそれはかりそめの幸せであって本物ではない。みなその事を解っている。薄氷のような平穏がいつ崩壊するかわからない。

だから作者はどん底まで各々の人を不幸に描き出すのですね。

特にアノネさんは最悪です。浮気された夫の女の子供を育てたのに出て行かれ、たまたま孫に近づくと近づくなと言って娘にビンタされる。
孫が起こした火事が原因で人が亡くなった。その事をネタに元従業員に脅されている。
亡くなった夫は偽札づくりをしていた。
なんですか、この不幸のオンパレードは。しかも家族の尻ぬぐいを全部一人でやろうとしている。

だからあんなに引きつった暗い顔なんですね。

 

今週のハイライトは、ハリカが彦星の病室へ行って、中に入らずに別れを告げるところでした。
辛い、つらすぎる…。彦星の治療費を出してくれる女友だちを立てるために、自ら身を引いたのでした。

ハリカは赤いブラウスと花柄のスカートを履いておめかしして病室へ行きます。

服はアノネさんが買って用意してくれたものです。
今までと全然違う女の子らしい装いです。
それを見て、自分のことを振り返りました。昔から沢山母親に着るものを縫ってもらい、色んな服を買ってもらいました。
おしゃれな服、可愛い服、ワンピース、スカート、ベスト…。ほぼ何でも。
それが当たり前のことだと思っていました…。そういう自分がどれだけ恵まれていたか、ハッと気づきました。
そして病室の前で泣き崩れるハリカに、19歳の女の子がこんな目に遭うのは理不尽だわ、と悲しくなりました。

ハリカは昔の記憶も偽ってるわけでしょ。
もっと幸せにならないといけませんね、どういう形であれ。

 

また、気になってた持本と青葉さんの関係。やっと今回青羽さんの本音が聞けました。

「温泉へ行きましょう」って、そういうことですもんね。看取るとまで言ってるのに‥
持本は青羽さんを振り切って逃げました。
偽札づくりの片棒を選んだのです‥。命短いのに何考えてるんだか。

 

ずっと気になってるのは、瑛太です。偽札づくりになぜそこまで拘るのか。
実業で成功したんだから、ビジネスで儲ければいいじゃん…。(毎回私言ってますね)
この人、人格が荒廃してます。演技がうまいだけなの？

来週その理由が明かされるみたいですね。かなり衝撃的なようですよ。

 

来週が最終回ですか。
じっくり見ると胸に迫るものは確かにありました。つまりこれは文芸作品として見るべきなんでしょうか。（一人で納得）

「99.9-刑事専門弁護士－SEASONⅡ」8話の感想

こみ入った話でした。事件の説明と概略に20分くらい費やし、その後は延々と謎解きです。

 

一見何の関係もなさそうなメッキ会社の社長が、羊羹に毒を仕組ませ、ある議員秘書を殺したという罪で逮捕されます。
議員とは藤堂という衆議院議員(佐野史郎)
羊羹の毒がメッキ会社の保管していた毒物と一致したという理由です。
科捜研の調査でそういう結果が出、それが犯人の重要な証拠になるのですが‥。
斑目法律事務所でこの容疑者の弁護をすることになりました。

さて、個人で鑑定をしている研究者の意見では、羊羹の毒と会社に保管されていた毒は全く別物だといいます。
そして、研究者の話では今回使われた毒物と一致する毒物が、2年前の事件に使われたものと一致すると言うのですが‥。

そこから2年前の事件が起きた島根の会社に飛んで深山たちが調べると、ななんと、藤堂議員とその社長は腹違いの兄弟でした。

藤堂議員が、じつは毒物をそこから手に入れたのではと、深山たちは推理します。
そしてここから、藤堂議員に秘書殺害の動機があるのではと勘ぐります。
彼は愛人がいて、それをマスコミにすっぱ抜こうとしていた秘書への殺意があったというのです。

 

執拗な深山達の調査が始まります。藤堂の選挙事務所へ行って、再現ビデオを撮らせてもらったり。
また、最後の方では判決が下って弁護側が負けたのに控訴審請求して、藤堂の事務所に押しかけて捜し物をしたり。
見るからに非常識とも言えるような行動でした。

ここまで来ると、探偵のようです。

そして、深山の偶然のひらめきで推理をし、押収物を得、鑑定してやっとのことで殺人の証拠物が手に入りました。

 

恐ろしいです。誰かに巧妙に嵌められたら、一個人なんて太刀打ちできないのだと思い知らさせます。
一審が無期懲役ですからね。
一生を棒に振るわけですよ。いやはや～

そして、事実なんて後回し、それより自分たちの保身が第一と考えてるような裁判官、川上裁判長（つるべ）
彼は巧妙に弁護側の話をひっくり返します。
裏では裁判員たちを誘導して、検察側を擁護します。そして裁判員たちの意見だと上手に言い逃れています。

本当は、司法の信頼性がなくなることの恐れがあるのでした。

毒物の鑑定が間違っていたとしたら、重大な権威失墜になるからです。
それだけは避けたい‥。刑事事件が99.9％有罪というのがこういう理由でしょう。

つまり、このドラマは検察側と弁護側の代理戦争ってことなんでしょうね‥。

つるべが悪役です。個人が冤罪なのかどうかなんてどうでもいいと。それが恐ろしい。

まぁ針の穴を通すような、困難な裁判でした。普通ここまでしないわな、というか弁護士たちにここまで出来ないでしょ。
罪を着せられた人は一生かけて戦うしかないのかしらね。
もしこんなことがあったとしたら、暗澹としますね‥。裁判長の名誉なんて、ふだん考えてみたことないですもんね。

 

ところで、松潤さんですが、あのニヤニヤした顔がずっと違和感あって慣れませんでした。

でも今回「これでいいのかも」と思いました。
深山の空気読まない自由な言動は、あの顔でないと出せないのかもしれません。大野くんなら素でやれたでしょうが‥
松潤だとあの顔になるのかなー。

このドラマ、トリック監修という人がいるんですね。だからここまで凝っているんですね。
来週が最終回です、これ以上の力の入ったものになるのでしょうね。