遅ればせながら録画を見たので感想を書いておきます。
長かったけど飽きずに見る事が出来ました。立川談春って、あの経済ドラマによく出ている人だったんですね。
立川談志の弟子なんだと知りました。
私は立川談志は好きじゃありませんでした。議員になってからは人を煙に巻くような事ばっかり言って果たしてこの人まともな人なのかずっと疑っていました。
でもこのドラマで弟子との関係やエピソードを見、こういうものなんだと何か分かったような気になりました。
談志は弟子入りしても落語を教えてくれるのでもなく、築地に働きに行かされたり、身の回りの世話やマネージャーのような事をさせて何年も居させます。
そんなものなの?
でも決して蔑ろにしているわけではないのです。
弟子の言う事することを何となく見ていて、アクションをかければそれに応じる。決して融通のきかない人じゃないのです。
弟子ながら勉強会も許してくれたし、二ツ目にもなっていないのに大ネタを披露してしまった弟子をかばってくれた。
何かあれば体当たりで弟子達を守るのです。
弟子入りの基準も談志師匠がピンときたものがあればOKなのです。とても不思議な人です。
言葉は乱暴だけど、思いやりがある。弟子から二ツ目に昇進させる試験の時には、談春は大きなポカをしてしまった。しかし、それを含めて全員合格にした。
温情あるというか、もう普通にいい人なんですね。でも独特の頑固さでそれを隠している。
そして試験について批評家に批判された時には断固としてそれを受け付けない。
何となく談志さんつてこういう人だったんだというのが分かるようなエピソードです。
しかし伝統芸能と言いながら、普通の教育や勉強はない。50くらいの古典落語の話を覚えたり、鳴り物や他の芸事もある。
それらを本やテープで独学しなければならないのですね。
私はこういう世界は全く疎くて興味がないのですが、友達の中には落語が好きでよく知っている人がいます。粋というものの価値を知っているのでしょう。
見ていてこういう漠然としたあやふやな世界に身を投じるのは勇気が要るものだなと思いました。
昇進が師匠の気持ちのさじ加減なんだから、一つ間違えば、4年や5年を棒に振ることもあります。
このドラマに出てくる、二ツ目に合格したその後の4人を紹介していましたが、3人はその後真打ちになりましたが、1人は廃業したと語っています。
「落語とは忠臣蔵で仇討ちに参加せず逃げた100人のような、そういう人たちのものなんだ。落語とは人間の業を語るものなんだ」と言う談志の話には説得力がありました。
でも、私にはビートたけしがどうしても談志には見えなかったです。どこをどう見てもビートたけしにしか見えません。
この人テレビに出すぎなんじゃ…。
また二宮くんですが。彼は何にでもなれる透明感があって演技派と言われています。が、無色透明すぎて、物足りませんでした。
何か役者という寝穢い、クセのような濃い存在感がないと、役は生きてこないのでは…。優等生すぎる感じなのです。
他の役者もどうも物足りません。志らくだけは良かったです。
と言うわけで、何か消化不良でしたが、内容はとても暖かく、何度か目頭が熱くなりました。
ちょっと中だるみなのと膨らませ方を工夫出来れば良かったのにと思います。
舞台が落語、そして誰でも知っている人とその弟子というのが、とても新鮮でした。
これは年末より新春の方が良かったかもです。
でもまた二宮くん主演のドラマがあるんですね。
他に適役の人いないのかしらね…