今日の考え事〈applemint1104〉

自分の体験やニュース、テレビドラマや映画などについて感じた事を素直に書いて行きます。

TBCテレビ60周年記念ドラマ「小さな神たちの祭り」の感想

2019-11-22 12:33:19 | ドラマ
録画を二回見直してしまいました。
内舘さん脚本ということでどんなものを書いたのか期待しましたが、残念ながら期待外れでした。

舞台は宮城県の南東に位置する亘理町。苺農家の谷川家の父親は素晴らしい苺栽培の腕を持つ人です。
ですが、主人公の谷川晃は、苺農家を継がず進学することにしました。
大学入学の準備のため3/11に上京します。弟の航が付いていきたいというのを強引に断りました。
そして東京に着いたその日の午後3時前、あの大地震が起こったのでした。
谷川家は家も苺畑も流されました。家族4人と愛犬も流されそれ以後遺体は見つかりません。
そんな晃の喪失感と虚無感を軸に物語りは動いていきます。
父と弟への後悔、自分は生きていていいのかと言う思い、さまざまな葛藤が晃を苦しめます。
何年経ってもそれは拭えません。大学を卒業して仕事に就いたけれど、仕事は上手く行きません。あらゆる所で回りとの軋みが生じます。

仕事を辞めて仙台に帰ります。新しい仕事は配送の仕事です。体を使っていれば何も考えずに済むと思いました。そして保母の美結と知り合うのです。
ですが、何年かかっても家族への思いから抜け出せず、前に進めない晃に美結は失望して別れを切り出します。
ある時、タクシーに乗った晃は驚きます。運転手は亡くなった祖父、そしてタクシーは亘理町の実家へ。
そこには亡くなった家族が普通に元気に暮らしていました…
 
という、驚きの展開です。つまり、話の大半がオカルト。亡くなった家族が暮らしていて家も畑も元に戻っている。そこで晃は亡くなった近所の子達と神輿を作ります。
灯籠を海に流し、祭りを見守るのです。
これは何なんでしょう?
おとぎ話でしょうか。
地元で被災者のことを見聞きして来た者としてはあっけらかんです。

亘理町とその周辺の地域は津波の影響で土地が塩害に襲われ、すぐに土壌改良しなければなりませんでした。
遠くの土地から協力者が来て努力しましたが、効果がでず、多くの人が亘理町から移住して他の土地で苺栽培を始めました。
隣町では逆に塩に強い野菜の栽培を始めました。
羊を飼って牧場にしたり、あらゆる試みで地元の人は頑張っています。
また北の方の漁業の町では漁師さんと漁協の意見の食い違いがありました。カキの筏が全てさらわれたので、フランスからカキの養殖の専門家が来たりしました。
たくさんの死にものぐるいの取り組みがありました。そして今もまだ亡くなった人の捜索は続いています。
 
晃が身内の遺体を探す姿はまったく出て来ませんでしたよね。
私の住む町でも家族5人を亡くした飲食店の人がいましたが、ひっそりと店を閉じてどこかへ行ってしまいました。
そういう現実的な話がなくて、ただただオカルトに走るとは…。
見てる人もがっかりの思いで一杯なんじゃないでしょうか。
 
地元ニュースで見ていましたが、何年も失意にいた人たちはその後奮起して新しい人生を始めました。
子供を何人か産んで家族が増えたよーと亡くなった身内に報告している人がいましたし、奥さんを亡くした人は、再婚して新しい家庭を作っていました。
前向きに生きるということは、亡くなった人にはある意味残酷かもしれません。でも人はそうするしかない生き物なのではないでしょうか。
 
東日本大震災だけじゃなく、毎年大きな災害が発生しています。
熊本、長野、広島、今年は千葉、群馬、福島。
東日本の震災だけが特別なのじゃありません。それを思うと複雑です。
 
まぁしかしこれはドラマなんだと言われればそれまでです。
5人の身内を突然亡くした若者という主人公は書きづらかったと思います。が敢えて主人公の気持ちをメインにこういう筋にしたのでしょう。
内舘さんの挑戦に敬意を表したいと思います。


1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2020-02-29 17:58:42
命をつないでいくことが使命という言い方はどうだかと思います。結婚はしてもしなくても自由。押し付けは良くないです。正しくありません。
返信する

コメントを投稿