今日の考え事〈applemint1104〉

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NHKスペシャル「東京ブラックホールⅡ」の感想

2019-10-15 17:01:17 | テレビ

見始めてからあまりにどす黒い内容で、一体この番組は何を言いたいのか?と疑問に思いました。
来年のオリンピックに向けた国威発揚的なムードが嫌なのか、何なんだろうと不思議な気持ちになりました。

1964年の東京オリンピックの当時の雰囲気ですが、当時それに向けて国を挙げての大々的な目的がありました。高速などのインフラを進め競技場を作り都市化すること。 日本を先進国にする試みです。 戦後まだ先進国には届かなかった時代です。

日本はそれに猛進しました。

集団就職で東京に集められた若者は、低賃金で休みなく働かされました。 高速や競技場を作るために過酷な労働が当たり前でした。
補償はないも同然、安全はおろそかにされ事故が多発し怪我を負って身体障害者になった者もいました。 公共工事は2千件もありました。
汚職が発生します。建設会社、都庁、公団、国鉄に利権が群がりました。 過労で心を病んだ若者たちは新興宗教に入団して新興宗教は巨大化します。
働けなくなり、血を売って生活する者もいました。その売血の何十パーセントかはウィルスに汚染されていました。
工場からは光化学スモッグが排出されて子供たちの喉を傷めました。工場廃液はそのまま海に流され、生活排水も大量に海に流されました。
チフスやコレラ、赤痢が蔓延しました。

東京一極集中でモノ、ヒト、カネが集まり、光と濃い闇が発生しました。 当然人の心は離れます。
オリンピックの前年のアンケートによると、「東京オリンピックに関心がある」人は22%だったというのです。 6割の人が「オリンピックより前に、国にはすることがあるだろう」と考えていたと言うのだから驚きです。

(これはタイムスリップによって1964年当時に行った山田孝之が見た世界です。彼は工事現場や貸本屋で働き、満員電車の押し屋のバイトをしながら、バーテンダーの小雪 に愛情を注いできました)

私が感じていた東京オリンピックの背景とまったく違っていたので唖然としました。
恐らく地方にいて感じるのと東京とでは全然違った視点なのでしょう。

確かに、今の日本は様々な事が改善改良されてクリーンになっています。
今の日本は先進国ですが、50年前はそうじゃありません。 働き方も違うし、男女差別もあり、ヤクザや闇金融が徘徊していた。汚職もあり、環境衛生、医療の観念、何もかも違います。 50年以上かけて日本は少しずつコツコツと変えて来たのです。そこが日本の優れたところなのでしょう。
でもだからと言って55年前の日本を揶揄するような編集は乱暴だと思います。 オリンピックという括りで今と昔を語るのは無理があるのではないでしょうか。

今から考えると無法でメチャクチャだった1964年。そのカオスの中から何かが生まれ育ち今日に至ったのは確かです。
当時の日本の闇を描いた米国の作家まで出して「今回のオリンピックも、モノ、カネ、ヒトの集中で何かが起きる」と言わせています。

主人公のケンジが現在の日本に戻って来て、彼は一冊の漫画を描きます。小雪をヒロインにした1964年の話です。 今小雪は小さなバーを開いて生きています。
年老いた彼女とケンジは再会するのですが、この荒んだ1964年の話を清涼化してくれるささやかな物語りとなっています。

他にもライシャワーが切り付けられた事件、ニチボウ貝塚の女子バレーの優勝の顛末などショッキングな話題に満ちていました。
NHKの意図は何ぞや?と考えると…これしかないような気がします。
「いだてん」でオリンピック盛り上げに失敗した腹いせに、逆の物を作ってみる冒険を敢えてした、とは考えすぎでしょうか。
 



1 コメント

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Unknown (Unknown)
2019-11-01 18:12:45
1964はお祭りだったけど、その陰で若者が食い物にされていた。
2020に向けてお祭りムードが高まっているけど、若者たちは、、、?
 ってことじゃないの?
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