今日の考え事〈applemint1104〉

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山田太一ドラマスペシャル「時は立ちどまらない」の感想

2014-02-23 13:18:42 | ドラマ

震災の被災家族を扱ったこのドラマは一風変わったドラマでした。
前半は普通の日常を送っている普通の家庭に婚約者一家が訪れる場面から始まります。
どこにでもある家庭の場面は和気藹々として、やり手で強気な嫁姑とどこか抜けている男性群のありきたりな風景です。
でもその5日後、海辺の町を津波は容赦なく襲い、平和な家族は3人を失ってしまいます。

黒木メイサは漁師の家に嫁ぐのだけれど、自分の希望としては「政治をやりたい、いずれ市議会から国会議員になりたい」と言う。
そんな嫁を息子の母親は励まします。
「やってみな。今までの漁師の嫁とは違うけど、面白い。応援するからやってみなさい」と言う。何と話の分かる母親でしょう。

そんな母親と姑が、5日後無残な姿で発見されるのです。
あらゆる物を失った家族は、婚約者である黒木メイサの家族に迎え入れられ、家に避難しますが、そこで突然暴れ出してしまいます。
「津波に遭わなかったあんた達に何が分かる」と叫び声をあげ、家の中を破壊し、家を飛び出します。
まぁびっくりしました。こんな事が許されていいのでしょうか。被災者を馬鹿にしている、と私は憤慨しました。
でも、後で分かったのですが、これはわざとした行為でした。
相手にどこまでも負担をかけ、自分たちの世話をさせてしまう可能性があるから、わざと嫌われる行いをしてそこから出たのだそう。
でももう少し描き方があったのではないかと思いました。

私の地域も被災地ですが、被害に遭って家や家族を失った人が沢山います。
でも高台に住んでる私たちは、一部損壊と何ヶ月の生活の不便さしか無かったのです。
どこか後ろめたいのです。何も出来ないけど何かしたい気持ちは良く分かります。
結局何も出来ませんでしたけど‥。


後半、中井貴一と柳葉の中学時代の因縁が描かれます。
虐めで深い心の傷を負っていた中井と軽いノリでやっていた柳葉のすれ違いが明らかになっていく。
そしてお互いを一発ずつ殴り、仲直りをする。
どこか憎めない、たくましい人々。

黒木メイサは亡くなった彼の代わりのように弟とつきあう。
柳葉は「漁師は性に合わなかった」と建設業に仕事替えする。
それぞれが新しい未来に向かって歩み初めて行きます。
会話の一言一言が「そうだよな」とうなずける物でありましたし、悲惨な環境なのに希望を失っていない。
ほんわかした暖かさと人間の強さを感じました。

がれきだらけの町の中や、当時の避難者の姿、ラストの土台だけになった土地など、ありのままに近い風景にびっくりしました。
何年か先、この続編を見てみたいです。



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