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小説「日本沈没 第二部」小松左京・谷甲州著

2006-09-05 22:02:26 | 映画・ドラマ・小説・マンガ
昔、「日本沈没」の小説をとっても面白く読んだ。小説は良かったがその後の映画・TVドラマはつまらなかったのを覚えている。

小松左京さんが本当は日本沈没よりも、その後の方を書きたかったが沈没までに9年もかかり、出版社が待ちきれずに第一部完として出版した。その後第二部として、国を失った日本人が“世界”でどう生きていくのか、その為に世界中をルポして回り、気象や海洋や食料問題や人口問題や諸々、幅広く専門家から勉強し、この作品の完成を念頭に持ち続けたそうだ。

ところが、やっと機は熟して来たのに、70歳を過ぎて体力的に執筆が難しくないりプロジェクトチームを組み、谷甲州氏が執筆者となった。

昔、一時期、谷甲州さんのSF小説にはまっていたいた時期があったので、さっそく買って読んだ。日本沈没から25年後の日本の現実。

しかし、寄るべき国を失うとはなんと精神的に過酷なことか。始めは世界の国が哀れな日本人に自分の国の一部を提供するが、月日が経てばイロイロと摩擦は起こるもの。世界各国に作られた、ほとんど過酷な条件の土地を与えられた日本人難民キャンプ村。そして、元々我慢強く、頑張りやで教育も行き届いていて、物作りには優れている民族である日本人は、それなりに自分達の住みよい自分達の“場所”を築いていく。でも、それが貧しい周りの現地の人々の反感をかって、皆殺しにあったり、追われて流浪の難民となる人々も出てくる。

“日本政府”は何とか“日本国”を作ろうと秘密のプロジェクトを立ち上げる。知識と技術を集結して作り上げたメガフロート。それを繫げて日本国があったその海の上に日本国を作ろうと、そして、世界中に散らばった同胞を呼び集めようと。

その、為に極秘に作り上げた“地球シュミレータ”。この知識と技術を世界に提供する事により日本国を作ろうとしたのである。でも、地球シュミレータが描き出した地球の未来は、氷河期の到来だった。

日本沈没の時に富士山や浅間山を始め、すべての火山が爆発したのである。その噴火の量は半端ではなかった。日本国を作ろうとしたその海は厚い氷の生存不可能な場所になるのである。そして、人類が生存可能な場所は低緯度の限られた地域だけ。

数百年後、赤道直下は多数のメガフロートが構築され、居住人口1千万の巨大構造物が点在する。その場所に、日本再建はならなかった。

そして、日本国の再建計画は恒星間航宇船「蒼龍」に託された。眼下に広がる地球に別れを告げるとき、誰からとも無く広がっていった、単調で物悲しい旋律の歌“君が代”。波間に沈んだ国に対する鎮魂とあらたな出発への曲想。

一度、国土を失ったら(物理的に消滅)二度と再び自分の国を建設することはできないのだろうか。今現在、あれだけ混乱しているイスラエルと周りの国々を見ていれば、納得出来るように思う。300年も経てば、死に物狂いの知識と技術は人間を宇宙に住居を求められる程、科学は進歩するのだろうか。

第二部完となっているが、いつか第三部が出版される事を願う。

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