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波打ち際の考察

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波屋山人

噂の真相

2017-05-07 22:30:52 | Weblog
かつて、「噂の真相」という雑誌があった。
スキャンダル誌というか反権力誌というか、A5判、わら半紙のような紙面で、90年代にはそれなりの売れ行きを誇っていたが、個人情報保護意識が強まりいい加減なことを書くと裁判で不利になるせいか、2004年に休刊(事実上の廃刊)となった。

やり逃げのような印象なのだが、噂の真相は、休刊直前号で“被差別”に関する特集を巻頭にもってきた。
表紙にも「『噂真』最後のタブー・出身芸能人」と書いてある。

この特集を執筆したのは、大宅荘一ノンフィクション賞を受賞する前のノンフィクション作家、上原善広さんだ。
彼は自身が大阪の被差別出身であることを意識して、被差別に関するノンフィクション作品を多数執筆している。

私は彼の作品はほとんど読み、信頼できるノンフィクション作家だと思っているが、この記事には少し軽率な印象を受けた。
誌面で被差別出身者であると書かれている有名人たちは、被差別出身者であるという意識がない人も多いのではないだろうか。

話は変わるが、日本には在日韓国・朝鮮人だと言われている芸能人が多い。
美空ひばりは故人だから反論できないけど、ノンフィクション作家の野村進さんや作家・写真家の藤原新也さんが「美空ひばりは在日韓国・朝鮮人」などと書いているから、それを信じてしまっている人も多い。だが、研究者によると、明らかな嘘だと言われている。たしかに、美空ひばりやビートたけしを在日韓国人だと証明する根拠はない。
また、布袋寅泰や松田優作や和田アキ子やよく知られているお笑い芸人などは、韓国・朝鮮人の遺伝子も半分は入っているけど、自覚的には日本人だろう。彼らのことを在日韓国・朝鮮人と呼ぶのは、東京で生まれ育ったけど父親が大阪出身だという人を“関西人”とあだ名するぐらい、的外れのことではないだろうか。


そんなことも思いながら、作家の上原善広さんが噂の真相の休刊直前に書き残した記事の一部を転載しておこう。
13年前はまだブログがそれほど一般的でなかったせいか、この記事に関する反響はネット上で確認できなかった。

この記事に関しては、内容を否定している当事者もいる。
きちんと調査を行って検証した結果、と言えない内容も見うけられる。

ノンフィクション作家として最高の栄誉を得た「大宅荘一ノンフィクション賞作家」が、若い頃にはこういった記事を書き逃げしていた、ということを記録として残しておく。

野村進さんや藤原新也さんもそうだけど、うわさ話を事実と信じて拡散するような人が、ノンフィクション作家を名乗ってもいいのだろうか。
いや、ノンフィクションを自称する石井光太さんよりも、上原善広さんや野村進さんや藤原新也さんの方がはるかに信頼に値する作家だと感じているけど、もう少し考えてくれてもいいのではないだろうか。
もし私が、事実や推測に加えて創作まで加えて、作家さんの異性交遊や隠し子について海外にまで取材に行って興味本位で記事化したらどう思うのだろうか。
(上記に挙げた中に、海外でめぐまれない生活をしている実子がいる作家さんがいますよね。。。)


■噂の真相 2004年3月号
P24 陰湿な差別の中でカムアウトできない『噂真』最後のタブー『出身芸能人』
レポーター 上原善広(ノンフィクションライター)

P26・27
●大御所芸能人に多い出身者
(略)美空ひばりに限らず、大御所芸能人に出身者が多いのは事実である。たとえば、歌手もこなす大物時代劇俳優のS・Rは、神戸Sの出身。また同じく男性歌手としては今やかなりの大御所と言われるI・Hは在日だと認識されているが、実は在日と民との間に生まれており、彼の地元の関係者も「わたしらはそう(だと)思っとります」と、ある研究者に語っている。往年の実力派歌手のK・Hは会津の番田系出身。番田とは系で、牢番などを担ってきた。(略)女性でいえば、演歌のベテラン大御所歌手には出身者が多い。たとえば、紅白歌合戦の常連であるK・S、S・K、Y・Aなどがそうだ。K・Sは新潟の出身で、実家は精肉業。S・Kは熊本県の非常に規模の大きなの出身だが、彼女たちに共通しているのは、いずれも婚期が遅いということだ。(略)
女性のベテラン歌手といえばS・K、そして演歌ではないが、K・Rも福岡の出身。(略)同じ福岡出身のN・Mもそうだ。(略)
漫才師ではN・Kがそうだ。四国の出身だが、大阪のにも彼の親族が住んでいる。(略)
往年の名コンビN・Dも尼崎の出身。(略)
●往年のアイドルたちにも多数の出身者
もっとも、もう少し若い世代にも、出身は多い。ママドルとして活躍するM・Sもそうだし、女優のM・Hは大阪の出身と言われている。(略)
十数年前のアイドルでいえば、S・Y、K・Y、K・Nがいる。三者とも大阪の。(略)

P28・29
(略)N・Aの場合は周知の通り、数度の自殺未遂を繰り返しながら、現在も細々と芸能活動を続けている。(略)一方、現役少女アイドルグループに所属するK・Aは奈良の出身。トップモデルのK・Aも出身者だが、彼女たちくらい若くなると、本人もその事実を知らされていない可能性も強くなっている。
●様々なジャンルで活躍する出身者たち
他にも様々なジャンルで出身者がいる。日本のブルースの第一人者であるY・J。タレントで元ボクサーのA・Hは大阪の出身。元祖バラドルのM・Hも出身者。お笑い系の女性二人コンビOのMは東大阪市の出身で、父親は地元の市会議員をつとめている。野球選手の夫人で元アナウンサーのF・Yは島根の出身。
野球選手では、引退した選手にとどめておくがK・N、Y・S、U・K、K・H、D・K、S・Tなどがいる。(略)


そういえば、元ボクサーのA・HさんはNHKの「ファミリー・ヒストリー」にも取り上げられ、有名な武将の赤井悪太郎の兄弟の子孫、と紹介されていたけど、それは間違っていると言うのだろうか。不可解な記事だ。

それから、噂の真相は、欄外に1行情報を載せているのも特徴的だった。
この号のp33には「石破茂長官はバニーガール好きで派兵日程をバニーに漏らし福田が激怒」などと書いてある。ありそうなことを推測で書いていたのだろうか。
実話誌などでは、談話の内容をライターが勝手にでっちあげることが多いので、スキャンダル誌で1行ネタがライターの創作であっても驚かない。
ただ、p129に「高田馬場A書房店主が中公新社新人書店研修で新卒女性と次々肉体関係」とあるのは妙に生々しい。当時は書店研修を行っている出版社は少なくなかった。
A書房というのは、あおい書店のことだろうか。芳林堂書店かな。
13年前に20代であれば、今は30半ば過ぎ。中央公論新社の女性社員は、当時のことを何か知っているだろうか。


コメント (12)
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