細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

トゥール駅で思ったこと

2007-06-07 14:04:42 | 人生論
 人間に必要な能力の一つに,「いかに有用な情報を取得するか」がある。キーになる情報を入手することにより,自らの活動が大きく展開することもあり,自らの手持ちの材料との組み合わせにより新たな着想に至ることもある。どうやってその情報を入手するか,であるが,やはり人とのコミュニケーションによるものが多いと思う。
 ほとんど人とコミュニケーションしない秀才と,人と活発にコミュニケーションする凡才と,どちらが良いかと言われれば,土木工学においては,間違いなく後者であると思う。
 今回の国際会議では,特に2日目からアグレッシブに動いた。ランチは日本人とは食べず,見知らぬ人か,コミュニケーションしたいと思う人を捕まえて食べた。こういう国際会議で,人に話しかけられて嫌に思う人はいない。自分から話しかけるのをためらう人はたくさんいても,話しかけられればうれしいもの。また,こういう国際会議の場では,皆が,自分の手持ちの一級の情報を相手に伝えようとする。相手に認めてもらいたいからか,何なのか知らないが,人間はそういう風に振舞う。よって,ランチを始める前は全く知らないもの同士でも,ランチが終わるころにはすっかり打ち解けて,しかも相手の珠玉の情報を手にすることができるのである。今回,すごくそう感じた。本当に有用な情報とは,ある人が相当に時間をかけて獲得した貴重な知識である。それを,ほんのわずかの間,人とコミュニケーションすることで得られるというのは,実は相当にすごいことなのである。そのような貴重な情報を,相手から瞬時に引き出すためには,それなりの人生経験,能力,人間性が必要であると思う。くだらない本を10冊読むくらいであれば,人と1時間話した方がよっぽど有用な情報を得ることができる。その人は,その人なりに一生懸命生きているに違いないのであって,耳を傾ける意味はあるに決まっているのである。
 自分は今回のごく普通の国際会議でも,非常に多くの情報を得,楽しみ,いくつかの将来的に意味のある人脈を築いた。
 今は,どのような場であっても,国内であっても外国であっても,動けば動くだけ,いろいろと発見があり,自分を高める情報を見つけることができる。