「LRTが地方を救う」
日本では地方から人が減り、地方経済が衰退する地方衰退が進んでいる。地方衰退の影響はその地方に拠点を置く多くの企業に影響を及ぼすが、地域鉄道もその中の一つである。一部では地域鉄道の経営が悪化して廃業となり、バスに転換することで公共交通を維持している事例もある。しかし、地方における地域鉄道は、地域の住民の通学や通勤の交通手段としての役割を担うとともに、地域の経済活動の基盤でもあり、移動手段の確保、少子高齢化や環境問題への対応、街づくりと連動した地域経済の自立などから、活性化が求められている重要な社会インフラでもある。まさに、地域鉄道は地方の経済、生活、交通、街づくりの基盤であり、地域復興のカギとなる存在なのである。そこで今回取り上げるのがLRTである。今回は、LRTによる地域復興の実現について論ずる。
まず、地域復興を実現するためには、存続できる鉄道路線が必要となる。存続できる鉄道路線を考えるには、地域鉄道の本来の役割を考える必要がある。地域鉄道が直接的にもたらす利益は、鉄道事業としての利益と、地域の役にたつ公共事業としての利益がある。これらを考慮すると、存続できる鉄道路線とは、路線単体で利益がある鉄道、赤字であっても地域の交通手段として必要な鉄道、赤字であっても観光資源であり沿線に経済効果をもたらす鉄道の三つである。そして、これらの条件を満たすのがLRTである。
LRTとは、昔からある路面電車とは異なり、最新の技術が反映された路面電車である。LRTの特徴は大きくわけて五つある。一つ目は、騒音や振動が少なく、快適である点。二つ目は、低床化のため、乗り降りが容易である点。三つ目は、専用レールを走るため、時間に正確な運行をする点。四つ目は、デザインが洗練されていて、街のシンボルにもなる点。五つ目は、道路上を走るため、他の交通手段との連携がスムーズになる点。これらの五つの点は、路線単体で利益がある鉄道、赤字であっても地域の交通手段として必要な鉄道、赤字であっても観光資源であり沿線に経済効果をもたらす鉄道の三つを実現する。
LRTはいまだに日本での本格的な導入がされておらず、仮に導入した地方にはその洗練されたデザインや珍しさに引き付けられて多くの人が集まり、また街のシンボルにもなるため、鉄道の利用者数が増えることはもちろん、地方の地域活性にもつながり、路線単体で利益がある鉄道が実現できる。また、LRTは他の公共交通機関への乗り換えの利便性が高く、ダイヤも正確なため、地域の交通手段として必要な鉄道である。さらに、先にも述べたようにLRTは街のシンボルとなるため、観光資源であり沿線に経済効果をもたらす鉄道でもある。
このように、LRTはそれ自体が存続できる鉄道路線であることに加えて、既存の地域鉄道に対する需要ももたらし、地域鉄道全体を存続できる鉄道路線に転換することができる。そして、LRT導入を契機とした街づくりや中心市街地の活性化により、地域復興の実現が可能となる。全国でLRTが普及すれば日本の地方復興は前進し、地方活性化を望むことができる。
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