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細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

1月下旬、日本出張の予定

2014-01-14 18:40:37 | 職場のこと

主として、私の指導学生たちにとって大事な情報なのですが、私の日本出張中の予定がおよそ固まってきました。参考までに以下に記しておきます。

1/27(月) 日本着
1/28(火) 早朝の飛行機で山口県へ。官学共同ミーティング、徳山泊。
1/29(水) 広島県福山市鞆の浦へ移動。地域防災の研究。
1/30(木) 午前に、鞆小学校で防災授業。その後、福山から高松へ電車で移動してNEXCO西日本の研修会で講演。高松から岡山経由で品川へ戻り、品川発の岩手県宮古行きの夜行バスで移動。
1/31(金) 朝、7:25に宮古駅に到着予定。岩手県宮古市の復興道路のトンネル現場へ。夜に盛岡まで戻り、泊。
2/1(土) 首都圏に戻り、午後、東大にて示方書勉強会
2/2(日) ようやく大学に出勤して、指導学生との研究ゼミ。
2/3(月) 仙台で、品質確保の研修会で講演、仙台泊。
2/4(火) 午後、大学で共同研究先とミーティング+懇親会。
2/5(水) 午前、都内で共同研究先と研究打ち合わせ。午後、熱血ドボ研の定例会と懇親会。
2/6(木) 高知工科大学で岡村甫先生のインタビュー(JCIランドマーク委員会)、高知泊。
2/7(金) 高知から首都圏へ移動。夕方、共同研究先とミーティング+懇親会。 
2/8(土)  研究室冬合宿(終日ゼミ)@三崎
2/9(日)  パリへ出発

まだ若干の隙間がありますが、大学へもほとんど顔を出せそうにないので、空いた時間は学生たちの研究指導に使いたいと思います。


連鎖

2014-01-14 18:26:29 | 人生論

1/14(火)が毎年のバタバタ恒例行事?である、JCI年次論文集の締切りでした。

フランスにいても研究は日本を主体にもちろん継続しておりますので、 今年は連名の論文5編にチャレンジしましたが、2つは検討が詰め切れず投稿を断念しました。別の機会にチャレンジです。

投稿したうちの1つは、コンクリートの電柱が塩害で劣化するメカニズムの解明と、塩害に強い電柱とするための基礎的な検討に関する論文です。

この論文の中で、電柱が劣化するきっかけとなる弱点部について論じています。この弱点部Aがとにかく弱く、その近くに別のメカニズムで弱点部Bが生じることも明らかにしました。

問題は、Aがやられると、その近くのBも連鎖的にやられ、AもBもやられて大変な劣化になる、ということです。

一方で、Aの部分がたまたま弱点にならない程度に強かったら、Bの部分が弱くても何とかひどい劣化には至らずに済む、のです。

1月の休暇の終盤からおそらく花粉症(パリでは大丈夫。地方の街で症状らしきものが出た)だと思うのですが、体調が優れず、すると連鎖的に気分も優れなくなり、この私でも少し悲観的に考える場面がいくつかありました。

昨日辺りから体調が戻ってきて、気分も明るくなり、行動的になってきたように思います。

一事が万事でしょうから、コンクリートの電柱も、人間も同じ。また、我が国そのものも同じかな、と思います。デフレで日本全体が病に冒され、窒息しかかっている状況に大地震などの自然災害が襲い掛かってくる連鎖的な状況は絶対に避けるべきで、デフレを克服し、強靭化への努力を全力で進め、願わくば東京五輪も大成功に終わった後くらいに首都圏直下地震が来れば、今直撃するのとはダメージが決定的に異なると思われます。首都圏直下、南海トラフが一挙に来れば、回復不能なダメージを被ることも十分に起こり得ます。よく出される例ですが、1755年のリスボンの大地震・津波で、世界を制覇したポルトガルは凋落しました。

心の調子が戻ってくると、何気ないことも本当に楽しく思えます。年末年始、停滞していたフランス語の勉強(Speed Learning)も通勤時間を活用して活性化してきたし、そのうち奥さんの会社の計らいで語学学校に少し通うことになりそうです。私の中でフランス語の勉強をする目的(日常会話をそれなりにできるようになる+Speed Learningの会話からフランスの文化やフランス人の考え方を体感する)は明確ですので、またとない機会を楽しめればと思います。

日本出張も近づいてきたし、2名の指導学生もインターンで来ているので、12月と違ってかなり忙しいですが、それでももちろん、日本での生活に比べれば自分の時間は圧倒的に多いです。何度も何度も、この環境に感謝をして、その気持ちを忘れずに、最も大切である「時間」を有意義に使いたいと思います。


研究のやり方

2014-01-14 01:14:30 | 研究のこと

研究とは簡単で誰にでもできるものだ、と岡村甫先生はおっしゃっているし、「仮説と検証」という具体的な方法も示しておられます。

一方で、研究の難しさは私も学生のころから肌で感じてきたし、最近は多少はやり方を自分なりに体得したように思うこともあります。学生の頃、もだえ苦しんでいたころはとても楽しいとは思えなかったけど、それでも面白い結果が出たときの充実感は今でも覚えていますし、最近はもちろん研究が大好きです。

ここのところ、学生の研究指導が活発になってきたり、日本の論文投稿の時期だったり、日本からインターンで学生が2名来ているのでその面倒を見たり、と研究のやり方について考えることが多く、いろいろと感じたのでまとめておきます。私自身の調子も万全でなかったこともあり、スマイルズの「自助論」を読んで励まされて感じたことなども含んでいます。

まず、研究はポジティブでないとできない。これは研究に限らず、生きることそのものに対しても同じかと思います。

特に研究を推進していく過程では、ポジティブに失敗からこそ多くの教訓が得られることを認識して、力強く進んでいく必要があります。

一方で、研究萌芽期のアイディアをいろいろ出す時期にもポジティブさは不可欠。どれだけアイディアを出せるかが勝負かと思います。

また、研究を取りまとめていく際、論文を執筆する際にも、論理の詰めや文章の詰めを行っていきますが、これもネガティブな作業に見えますが、やはりポジティブに神経を研ぎ澄ませて洗練させていく必要があろうかと思います。

そこで、一つ目の結論は、とにかくポジティブであらねばならない。楽観的、悲観的という話とは違うと思っておりまして、明るい気持ちで積極的に、攻めたり守ったりする、必要があろうかと思います。ですので、心身の健康を整えることも非常に重要。特に、学生はこの前提条件が十分でないことが多々あります。

次に、岡村先生の言うところの「仮説と検証」ですが、これが分かりやすいようで実は学生には分かりにくい。

「仮説と検証」という考え方が非常にしっくりくる例では分かりやすいのですが、必ずしもそうでない局面は多々あります。

私は、「徹底的に具体的に考えなさい」という言い方をします。

「AとBという二つの条件で数値シミュレーションをします。」という研究計画を立てる人がいるとして、これは全く具体的ではない。

徹底的に具体的に考えたなら、AとBという条件で数値シミュレーションをすると、こういう結果が出ると想定される。それらの結果をこのようなグラフに整理すると、こういう知見が得られると思う。だからやります。

上記の、結果を想定している時点で、「仮説」が絡んできます。

学生に「仮説と検証」と言ってもなかなか実践できないのですが、もっともっと具体的に考えるということを通して、自分の研究の目的が何であり、それを達成するために必要な手段が何であるかを考えてもらうのが一つの方法かな、と思います。

そこで、二つ目の結論。「徹底的に具体的に考える」。それは、現場に立つ(仮想的にでもよい)、ということとほぼ同義だと思っています。

最後は、やはり力量が必要ということです。学生は経験も十分でないので、教員などと一緒に研究を行うことが多いですが、役割分担をしています。経験を積めばミスをしなくなりますが(その分、柔軟性や行動力が落ちるかもしれないけど)、学生はどうしてもミスをしがちです。それは悪いこととは思いません。ですが、間違った論旨、間違ったモデル化、間違った入力条件などで間違った結果を世の中に発信しないように、様々な角度から検証が必要で、これが力量を要する理由です。

三つ目は結論ではありませんが、研究を通して、その研究に関わるすべての人の力が鍛えられることが、研究の魅力でもありますね。

研究室の学生たちの研究はこれから佳境に入ります。苦しい、ということはチャレンジのしがいのあるテーマ、ということだと思うので、自分の総力が試されていると思ってチャレンジしてもらえればと思います。