歩いてきて、靴屋のウィンドーの前でふと立ち止まると、
横に人の気配がする。
柔らかで優しげなオーラが漂っている。
振り向くとそこにピアニストはいた。
「後ろから見ていて、もしかしたらと思ったから。」と悪戯っぽく微笑んでいる。
偶然の出会いと久々の再会に嬉しさが全開となる。
「青森から帰ってきたの?」
「ちゃんとご飯、食べてた?」
もうりっぱな青年になっているのに、
いつまでも最初に会った時の痩せていた少年のイメージが抜けない。
偶然に会うのは思い返しても、知り合ってから8年の間に4回。
そしてその内の二回が今年。
6月に私は目の前をサングラスを掛けて早足で歩いて行く彼を見つけて、
やっとの思いで追いつき、声を掛けた。
今度は彼の方が私を見つけてくれた。
旅先で思わぬ素晴らしいピアノに出会ったこと、
以前にもそのピアノを弾いたことがあったが、
今回は会場の名前が違っていたので、
またそのピアノを弾く機会に恵まれたとは、
行くまで気づかなかったことなど話してくれた。
「だったらまた弾きに行かなくちゃね。」と言う私に、
にっこりと頷いてくれる。
「ところでAさんは元気なんですか?」と私の顔を覗き込む。
「元気よ。」と答えると安心した表情が返ってくる。
大人になったなぁとまぶしいばかりに見上げる。
別れ際に彼が広げた腕にフワッと私は体をゆだね私達は自然にハグした。
頭一つ上に彼の顔がある。
コンサートなどの晴れ舞台で会う時は私もヒールを履いているが、
この日はプールから出てきたばかりでスニーカー、
こんなに身長差があったんだと気づく。
寒い土地から戻ったばかり、たくさんの荷物を抱えている。
笑顔で手を振り別れるが、体付きもがっしりとして、
アーティストとしても人としてもりっぱに鍛え上げられていることが、
実感として胸に迫ってくる。
フランスに行く私の乗り換えを心配して、
シャルル・ドゴールでの乗り継ぎの仕方や待ち時間の過ごし方など、
度々メールでアドバイスをくれていた。
彼は小学生の時から一人で飛行機に乗り、日本とハンガリーを行き来してきた。
ピアノばかりか旅のスペシャリストでもある。
その日はプールで泳いでから、まっすぐ家には帰らずに、
近くで食事を取り、その後も周辺をのんびりと散策していた。
彼の方も新幹線で寝過ごしてしまい、終点の東京駅から戻ってきて、
その駅で降りたことを後程にツイートから知ることになる。
お互いの時間軸がぴったりと重なる、しかも最もふさわしいタイミングで。
そんなことが時の流れの中、
何かに導かれてふと起きるのかもしれないと今になって思い返している。
横に人の気配がする。
柔らかで優しげなオーラが漂っている。
振り向くとそこにピアニストはいた。
「後ろから見ていて、もしかしたらと思ったから。」と悪戯っぽく微笑んでいる。
偶然の出会いと久々の再会に嬉しさが全開となる。
「青森から帰ってきたの?」
「ちゃんとご飯、食べてた?」
もうりっぱな青年になっているのに、
いつまでも最初に会った時の痩せていた少年のイメージが抜けない。
偶然に会うのは思い返しても、知り合ってから8年の間に4回。
そしてその内の二回が今年。
6月に私は目の前をサングラスを掛けて早足で歩いて行く彼を見つけて、
やっとの思いで追いつき、声を掛けた。
今度は彼の方が私を見つけてくれた。
旅先で思わぬ素晴らしいピアノに出会ったこと、
以前にもそのピアノを弾いたことがあったが、
今回は会場の名前が違っていたので、
またそのピアノを弾く機会に恵まれたとは、
行くまで気づかなかったことなど話してくれた。
「だったらまた弾きに行かなくちゃね。」と言う私に、
にっこりと頷いてくれる。
「ところでAさんは元気なんですか?」と私の顔を覗き込む。
「元気よ。」と答えると安心した表情が返ってくる。
大人になったなぁとまぶしいばかりに見上げる。
別れ際に彼が広げた腕にフワッと私は体をゆだね私達は自然にハグした。
頭一つ上に彼の顔がある。
コンサートなどの晴れ舞台で会う時は私もヒールを履いているが、
この日はプールから出てきたばかりでスニーカー、
こんなに身長差があったんだと気づく。
寒い土地から戻ったばかり、たくさんの荷物を抱えている。
笑顔で手を振り別れるが、体付きもがっしりとして、
アーティストとしても人としてもりっぱに鍛え上げられていることが、
実感として胸に迫ってくる。
フランスに行く私の乗り換えを心配して、
シャルル・ドゴールでの乗り継ぎの仕方や待ち時間の過ごし方など、
度々メールでアドバイスをくれていた。
彼は小学生の時から一人で飛行機に乗り、日本とハンガリーを行き来してきた。
ピアノばかりか旅のスペシャリストでもある。
その日はプールで泳いでから、まっすぐ家には帰らずに、
近くで食事を取り、その後も周辺をのんびりと散策していた。
彼の方も新幹線で寝過ごしてしまい、終点の東京駅から戻ってきて、
その駅で降りたことを後程にツイートから知ることになる。
お互いの時間軸がぴったりと重なる、しかも最もふさわしいタイミングで。
そんなことが時の流れの中、
何かに導かれてふと起きるのかもしれないと今になって思い返している。