Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

ナンネル・モーツァルト

2012-10-25 18:00:06 | Weblog
クラシック音楽がテーマにされた映画をここのところ続けて観ているが、
この作品「ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路」は、
モーツァルトの姉が10代で家族と演奏旅行をした部分に焦点をあてている。

マリア・アンナ・モーツァルト、愛称がナンネル。
ヴァイオリン、ピアノ、作曲にも秀でた才能がありながら、
当時は女性が作曲家になる、作曲家になるために勉強をすることも、
全く考えられなかった。
演奏旅行中も弟がヴァイオリン演奏をする時にはピアノ伴奏者として、
弟、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトに注目が集まるように自分は存在を消している。
ヨーロッパを演奏して周るために何十時間も馬車に揺られていく。
この時代の旅のたいへんさもまた印象に残る。

両親と弟と4人で演奏旅行中に立ち寄った修道院で、
ナンネルは幽閉されるようにして修道院で暮らすルイ15世の末娘たちと交流する。
この時に年齢が近い王女と親しくなるが、この二人の打ち解けていく様子が、
とても可愛らしい。
王女はナンネルのことを親しみを込めて「ナナ」と呼ぶ。
二人はそれぞれにその時代に生きる女としての運命を淡々と受け止めていく。
解説によると演じる二人は監督ルネ・フェレの娘達だった。

ナンネルは王女から王太子の音楽教師への恋文を預かったために
ヴェルサイユ宮殿で王太子とも会うことになる。
従者の配慮でナンネルは男装させられる。
この辺りはもう「ヴェルサイユの薔薇」めいた世界へと誘われる。

王太子への恋心から15歳にして親元を離れ、音楽の個人教授で収入を得ながら、
ナンネルはパリに留まる。
昔の女性は大人だったと思わずにはいられない。
女性が学ぶこともままならぬ時代。
ナンネルは男装して学校に通う。
王太子の勧めで作曲もする。
彼女の託した譜面から王太子のサプライズとして王宮でオーケストラが管弦楽を演奏し、
ナンネルもヴァイオリンで途中から演奏に加わる。
映画の中では実際にナンネルが作曲した曲がいくつか復元されているようだ。

王太子との叶わぬ恋に破れ家族の元へと戻るナンネル。
一方王女も音楽教師が父の腹違いの子、自分の母親違いの兄弟と知り、
修道女になる。
この部分に不思議と悲壮感はない。

家族と共にまた馬車で旅をしていくナンネルの姿で映画は終わる。
その後も名前が表に出ることはなく、
普通の女性として生涯を終えたことが説明として加わる。

王太子を演じたクロヴィス・スワン、
他の登場人物と違い一人だけ屈折した心境を情感豊かに演じている。
ナンネルを演じるマリー・フェレ、描かれるナンネル像も、
言葉少なくあえて感情を抑制している様子に好感が持てる。


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1 コメント

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Unknown (mana)
2012-10-31 02:44:31
ナンネル・モーツァルト私も観てみたいと思います
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