Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

「海賊の町」 La ville des pirates

2012-07-07 13:05:02 | 私の日々
フランス映画祭、メルヴィル・プポー来日に合わせてメルヴィルの今までの作品の上映、
また上映前の舞台挨拶、上映後のティーチインもありとのことだった。

6/30 17:00より日仏学院エスパスイマージュにて「海賊の町」の上映、それに続くティーチイン、
参加するつもりでいた。
エスパスイマージュでは10時にその日に上映されるすべての回のチケットの販売が始まる。
担当者が現れた時には既に長蛇の列ができていて、その時点で17時からのチケット分は、
完売となったと聞いた。

「海賊の町」メルヴィルが9歳の時に出演したラウル・ルイス監督の作品。
子役から現在39歳に至るメルヴィルがどのように俳優として成長していったかを知るのには、
欠かせない作品かもしれない。

エスパスイマージュ、日仏でレッスンを受けるようになってしばらくになるが、
どこに映画館があるのかも知らなかった。
昨日、図書館から出てきたところ、隣接した部屋の扉が大きく放たれていて、
入場が始まっている。
こんなところにあったんだと思ったと同時に会員は半額¥500で鑑賞できることも知る。
おまけにこれから始まる映画は「海賊の町」だった。
字幕は英語とのこと。

担当者にティーチインの時の様子を尋ねる。
「それはもう知的で素敵で優しくて・・・」
見逃したことを残念に思うが、朝早い人は日仏のドアが開く前、
9時頃から待ったのではないだろうか。
ライヴハウスの整理券を取るよりも厳しい競争だったようで、これでは致し方ない。

鑑賞券を購入して入場してみると100席もない上映室。

ここに初めて誘われたのは高校生の時だった。
学校が飯田橋、日仏学院の近くだったこともあり、同級生にトリュフォーの「突然炎のごとく」
を観ないかと誘われたのだ。
字幕はないとのこと、友人は原作の文庫本を貸してくれた。
小説の最後の唐突な結末は衝撃的だった。文体にも惹かれた。
しかしどういうわけか私は映画を観に行っていない。

その後「突然炎のごとく」はDVDで観賞することになるが、
もし、あの時、高校生だった自分が字幕もなく読んだ小説だけを頼りに、
この小さな劇場であの作品を観ていたら、いったいどんな風に感じただろうと、
経験しそこなった若き日の芸術的体験が惜しまれる。

初めて誘われてから約40年目にしてこの映画館に足を踏み入れることになった。

「海賊の町」
余りに難解というか、監督の遊びが多く、また耳に入ってくる仏語を聴きながら、
英語の字幕を追う、という作業に対応できなかった。
しかし出番は少ないにもかかわらず、ここに出てくるメルヴィルは9歳にして、
大人の女性を口説いているという演技が全く虚構のかけらも感じさせない現実味がある。
メルヴィル、恐るべし。

自分がティーチインをする回の映画、メルヴィル・プポー自身が選んだのだろうか。
まさにこの映画に彼の原点があったのは間違いないはずだ。
人生においても映画人としても。