Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

WOWOWで第82回アカデミー賞授賞式2010を観て

2010-03-09 12:38:58 | 私の日々
ずっとスカイパーフェクトTVを観てきてアカデミー賞の授賞式前後のインタビューの放映はあっても、
何で授賞式をやっているところは観る機会がないのかと思っていた。
それはWOWOWがグラミー賞もアカデミー賞も授賞式を独占中継しているからだと後で知ることになる。

昨年、エリック・べネイはグラミー賞2部門にノミネートされていたので、我が家は早速WOWOWに加入。
エリックがグラミー受賞を逃してがっかりしたせいか、
その後のアカデミー賞授賞式の中継、昨年は観た覚えがない。
また中継の仕方、スカパーでやっているようにそのままアメリカのテレビ中継を放映してくれれば良いのに、
日本の解説入りは余計だとグラミーの時に思ってしまった。

昨日、日中の中継時間には観られなかったが、夜9時からの再放送を観た。
WOWOW、いい仕事しているなぁと感心する4時間だった。
授賞式が3時間、その後のアカデミーに関連するエピソードの紹介が1時間余り。
とても全部は観ていられないので、テレビをつけたまま、他のことをしながらの斜めウォッチング。
ここぞ、と思う時だけ、しっかり観たのでかなり主観的な私的感想です。

司会はアレック・ボールドウィンとスティーブ・マーティン。
この二人、けっこう外したジョークを飛ばすがここまで大物だと許されるだろう。
話題に上った「アバター」のジェームズ・キャメロン監督と元妻のキャサリン・ビゲロー監督対決。
「Kathryn Bigelowはノミネートのお祝いに時限発火装置をキャメロンに送ったそうだよ。」
「そしてキャメロンはお返しにトヨタ車を送ったそうだ。」
こんなところのギャグネタになるほどのトヨタバッシング。

そしてプレゼンターや映画や人物の紹介にハリウッドスター達が登場する。

コダックシアター、最前列には純白のクレープデシンのドレスのメリル・ストリープ、
深紅のタフタのドレスのぺネロぺ・クロスも見える。
前列は足を組んだり寛いでいるが、間の席の人達は窮屈そうにも見える。
この席順ってどうやって決めるのか?
優勝候補をステージに遠い席や立ちづらい真ん中の席には座らせないだろうし。

女性のドレス、赤、黒、金、銀、コバルトブルー、ミッドナイトブルー、ライトベージュ。
メークのリップがナチュラルなグロス系が多い中、主演女優賞候補のサンドラ・ブロック、
プレゼンターをしたキャメロン・ディアスも真っ赤でマットな口紅。
髪型はふんわりとアップの人もいれば、巻き髪、ストレート、半アップ、それぞれ。
「プレシャス」で助演女優賞を取ったモニクは、キリリっとまとめたアップ、白いカメリアを付けていた。
黒やジュエリーに飾られたカチューシャの人もいる。
これだけ華やかな美しい人が集まると、どうやって自己主張しようも目立ちようもない。
そうなると、シンプルで自分らしくしている人が反対に光って見える。

もちろん衣装提供するスポンサーがつく。
ベン・アフレックとマッド・デイモンが初めて「グッドウィルハンティング」でノミネートされた時、
「貸衣装屋に行こうかと思っていたら、アルマーニがバックアップしてくれてね。」
菊池凛子も途中からシャネルがついた。
アカデミー授賞式だけでなく、前後のパーティーもあるからいきなりノミネートされた役者にはたいへんだ。
ちなみに渡辺謙が助演男優賞にノミネートされた時、授賞式に臨んだタキシードは三宅一生だった。

受賞者の決まった瞬間の表情、その人の連れ、候補になっていた人、今回の話題の人等アップされる。
自分の出演した映画の場面を観て、そして自分への賛辞を聞きながら、感情が高まり、
涙ぐむ候補者もいる。

とにかくアカデミー賞の授賞式、長い。
「?」と思うようないろいろな知らない賞もある。

ドキュメンタリー部門では日本のイルカの追い込み漁の海がイルカの血に染まる映像、
漁民との小競り合い、瀕死のイルカの映像などが紹介され「ザ コーヴ」が受賞。
イルカは大好きだが、このドキュメンタリー、過激すぎて反対に疑問に感じる。
誇張されている部分とか作り込まれた部分はないのか。
これについての水産庁、和歌山県漁協などの意見も知りたい。

アカデミー賞、いつも思うのだが日本未公開の作品が多い。
その年の早い時期に公開された作品よりも候補作を決める時期に近い時に公開された作品の方が、
有利に働くという噂もある。

主演男優賞、女優賞の時にはステージに正装した男女5人が並び、ノミニー、一人一人を紹介。
この時、ジュリアン・ムーア、ミシェル・ファイファーなどの並ぶ様子を見て、
ドレスの色は他のステージに立つ人とのバランスも考えて選ばれているんだと思った。

ミシェルはジェフ・ブリッジスを「自分はメークで欠点を隠そうとしたけど、彼はむしろ強調していた、
家庭と仕事を両立することが可能だということも教えられた。」
ジェフの目に光るものがある。
主演男優賞に選ばれたジェフ・ブリッジス、33年連れ添った妻と娘3人への感謝の言葉。客席の妻も涙。
主演女優賞が選ばれた時は、既に受賞済みの女優、まだ経験不足の新人もいて、
サンドラ・ブロックの人選に他の候補者も納得しているようだったが、
主演男優賞に関しては、ジェフの名前が呼ばれた時、他の候補者、拍手で迎えたものの、
モーガン・フリーマン、ジョージ・クルーニー、複雑な気持ちがアップされた表情に映る。

オプラ(アメリカ版黒柳徹子かな?)の紹介で「プレシャス」の主演女優が紹介される。
「火曜日は学校をさぼってオーディションを受け、水曜には合格の連絡があり、
木曜は映画を撮り始めていた、そして今はメリル・ストリープと一緒に主演女優賞に選ばれている。」
「プレシャス」でノミネートされたガボレイ・シディビーが泣いている。

ヘレン・ミレンが紹介されると、彼女の前の席に座っていて、主演男優賞を逃したモーガン・フリーマン、
振りかえることはなく後ろの彼女へ手を差し出し、ヘレンがモーガンの手を握る。

サンドラ・ブロックの名が読み上げられた時、立ちあがったサンドラはメリルの前で立ち止まる。
目で恐縮しながら挨拶した感じ、そしてメリル・ストリープも笑って受け止めた。
壇上で、サンドラはその他のノミネートされた女優すべてに賛辞の言葉を送った。
そして「しあわせの隠れ場所」のモデルになった女性が当日も来ていたが、
(スラムにいた里親から捨てられたアフリカ系の男の子を家族に迎え、フットボール選手へと育てた)、
カメラは客席の彼女を捉える。
そしてそういう境遇の子供を養子にして育てている家族すべてへの感謝の言葉で締めくくった。
最初にステージに上がった時「これは私の演技に対して?それとも根気?」とサンドラ。
今まで取っても良いはずなのに、一度も受賞がなかった。
確かに今回はサンドラの番だったとも言えるのかもしれない。

監督賞のプレゼンターはバーバラ・ストライサンド。
「女性初か、アフリカ系初か?それとも?」
"Time has come!"キャスリン・ビグローの名前が読み上げられる。
以前、「ビッグ」のペニー・マーシャル監督が女性監督にとって
この業界がいかにたいへんかとインタビューで答えていた。
兄のゲイリー・マーシャル監督も「ペニーを撮影現場に訪ねたら、奥の部屋で泣いていた。」
職人気質の裏方が女性に対して厳しいのだろうか。

キャスリンは脚本家やスタッフ、俳優達、
一般受けしないかと思われるこの映画のために出資してくれたプロデューサーを称える。
そして海外でこのような作業をしている兵士、その他すべての兵士へと感謝の言葉を送る。

ステージ奥へと退場するキャスリン、間にエスコートの男性がいたが、
バーバラがキャスリンの手を取り下手へ。舞台袖が近付くとハグ。

その後、また作品賞でも名前を呼ばれ、ステージ裏から引き返すキャスリン。
二つのアカデミー賞は重そうだからとスティーブ・マーティンが一つ持とうとするが手を離さない。
「先ほどと重複するかもしれないけれど、兵士、制服を着て奉仕するすべての人に。」とスピーチ。

女性監督の快挙、そして爆弾処理班という過酷な任務を担う兵士と戦争の意味を世に問う
「ハート・ロッカー」
恵まれない環境の子供と補助金目当ての里親ではなく純粋な気持から彼を養子にした女性を描く
「しあわせの隠れ場所」
映画は厳しい現実を描いたのかもしれないが、
アフリカ系女優、助演女優賞の受賞と主演女優賞がノミネートされた「プレシャス」
意義深いそれぞれの受賞だった。

グレーのノースリーブ、胸元までは刺繍、ウェストからはタイトなドレスのキャスリン・ビグロー、
どんな女優より輝いて見えた。

さて、授賞式の模様の後、WOWOWではアカデミーにまつわるエピソードを紹介。
録音賞、24歳の時から20回ノミネートされて一度も受賞していないミキサー。
「24歳の時にはね、『アカデミー授賞式に一緒に行かない?』なんて最高の口説き文句だったんだけどね。」
アカデミーで授けられるブロンズ像を25年作り続けた職人。
毎年、やはり25年近く徹夜してでもアカデミーのレッドカーペット脇の場所取りをしてきて、
今では、毎年集まる仲間と会うのが楽しみという女性。
アニメを20年間(?)でたった3本、ほとんど手作りで一人で作っていて、
作れば必ずノミネートされるカナダ在住のアニメ作家。
アメリカ大手のプロダクションからの誘いもあるが自分のペースを大事にコツコツ仕事している。

インディー系のショートドキュメンタリー映画で受賞しながらも
「その後、生活が激変することはなかった。」と語る東洋系の女性監督。
彼女の受け取ったブロンズ像はオフィスの本棚にさりげなく置かれている。

アカデミー賞、もちろんグラミー賞もそうだと思うが、受賞する瞬間は人生のハイライト、
スポットの当たる瞬間。
それよりもその前後の積み重ねていく日常の大切さを想わせる余韻が残った。