政府の有識者会議で、正社員中心の労働市場の見直し議論が本格化している。勤務地や職務を限定したり、解雇規制を緩和したりするなどして労働市場が流動化すれば、成長産業への人材移動が円滑になって経済が活性化するという論法だ。小泉規制改革で派遣労働者の製造業への拡大など規制緩和を実行した竹中氏や経団連の長谷川委員が主に主張している。
特に力点を置いているのは解雇規制の緩和で、長谷川氏は金銭を払い解雇を可能にすべきとしている。現実、解雇問題で長期裁判になり、職場復帰より金銭解決の方が多いことを考えると、手軽に金銭解雇が横行することなる。問題はこれで企業の競争力が高まるのか、また成長産業への人材移動が進むのかということだ。
かつては日本企業の企業内訓練や教育は世界トップクラスで、90年には日米構造会議の一環でワシントンでセミナーを開催し、筆者も労働側代表で日本の制度を評価した記憶がある。企業は人なり、人材育成こそが競争力の源泉だと米国を説教して回ったのだ。
近年、日本の大企業は人材育成どころか手軽に非正規労働者を雇ってきた。今度は正規社員まで不安定雇用に貶め、それで競争力が増すのだろうか?電機産業などはこの10年の経過を見ると、人材育成や能力開発投資をケチり、そのつけが回ってきた企業が多い。
優秀な労働者を金銭解雇し、成長産業へ人材移動なんて、実現不可能なことは明らかで、解雇制限を撤廃するがための理屈だ。就活情報が活発化した現在、良い処遇の成長産業があれば、金銭解雇などしなくても労働者は移動する。
日本に今欠けているのは、企業が倒産した場合,失業者を必要な期間訓練し、確実に就職させるシステムで、スエーデンやシンガポールでは機能しているので労働者は安心して失業できる。手厚い保護でゾンビ企業を残していることこそが競争力を阻害している。ちなみにスエーデンは国際競争力で世界トップクラスだ。
不買運動を激化させることにあり。
企業は生意気だ。
国民との連携で企業という存在が維持できてるありがたみが分かってない。
そんな企業の製品など買わないこと。
買うからつけあがる。