大手格付け会社フィッチ・トレーディングが日本の国債のランクを1段階下げて21段階中5番目の「シングルAプラス」にした。何よりも借金の総残高がGNPの2.4倍という異常な比率が理由だが、もうひとつは政治の混迷で対応が遅いことが挙げられている。
民主党政権の内部抗争も響いている。しかし野党自民党の政治感覚のなさも大きい。自民党は政府案に小理屈をこねて批判し、審議を遅らせてばかりいる。本心では増税の必要性を承知しながら政府案に変わる代案も出そうとしない。
考えてみれば、これだけ借金をつくった責任の大半は自民党にある。それに対する自覚が執行部以下党内全体にあるのだろうか。それを棚に上げて政府の揚げ足取りをするのでは、言葉は悪いが「盗人猛々しい」に近いところがある。
思うに谷垣総裁以下自分たちの保身しか念頭にないのではないか。特に迫る選挙にどう対処するかということが最大の関心事のように見える。しかしこれでは自民党は民主党の敵失にもかかわらず、選挙には勝てない気がする。谷垣総裁の政治生命さえ危うい。京都が選挙基盤だが、そこは大阪維新の会の勢いに足下をすくわれかねない。
いまこそ自民党は「大人の振る舞い」を示して欲しい。おそらく消費税の代案を示せば野田政権も同調する可能性大だ。それが責任野党のとるベき態度であり、存続の道だと思う。