粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

苦戦する日本の柔道

2012-07-30 13:27:28 | スポーツ
ロンドンオリンピックで、柔道では今イチ日本人選手が力を発揮していないようだ。最近柔道の国際試合をみると、いつもいらいらしてしまう。外国人選手の試合戦術には特にそれが強い。なんといっても、日本選手と組み手で正々堂々と戦うと姿勢が見えない。
組んだとしても、腰を低くして日本人選手が攻めて来るのを待ってその勢いを逆に利用して返し技に持ち込もうとする。あるいはレスリングのような力に任せて手技、足技を多用する。 組み手での華麗な技の勝負など決して見られない。
ポイント制の導入で、ミスによる失点を極力避け、僅差で勝利に持ち込もうとする意図がありありだ。 日本人同士の国内大会では、こんな態度では観客席からブーイングが起きるだろう。しかし、国際試合ではそれが当たり前であり、勝つためには当然の戦術と見なされる。
日本はややもするとそうした「国際ルール」を意識せずに外国人の巧妙な戦術に翻弄されがちだ。同じ体重クラスならどうしても外国人選手の選手の体力、腕力に劣るため、持ち前の技が発揮できないまま、不本意に敗れるケースが多い。
 これから柔道の試合はだんだん体重の重いクラスになっていく。外国人のポイント稼ぎの戦術に振り回されることなく、圧倒的な体力と技で鮮やかな一本勝ちを決めてほしい、のだが。

風評被害で訴えたい相手

2012-07-28 11:39:23 | 煽りの達人

千葉の生協が原発事故の風評被害による売上げ減で、東電に対し4700万円の損害賠償を求めたが、裁判では1000万円しか認められなかったという。これを不服として要求額全額を支払うよう提訴した。

記事だけでは生協が事故で、具体的にどのような風評被害を受けたのか知る由もない。原発事故以外でも、震災直後の物資不足やその後の大水害なども影響としてあっただろう。また風評被害そのものも数値化がむずかしい。

もちろん、風評被害の源は原発事故であることは間違いない。しかし、東電が好んで風評被害を仕掛けようとしたわけでない。むしろ、東電自身は風評被害が広がることを極力抑えようとしたのも事実である。

風評被害は、消費者が事故による放射能の影響を正しく理解しようとせず、過剰に反応したことが直接の原因である。したがって消費者の方にも責任はある。しかし一番の問題は意図的に放射能汚染を過激に煽った学者、ジャーナリスト、メディアにこそあると思う。彼らは、その意味で「確信犯」といえるのではないか。今でこそ、講演会で小銭を稼ぐ一部大学教授たちを除き、その煽りも鳴りを潜めている。しかし事故当時は、煽りの大合唱だった。

こうした煽りが、消費者にどれだけの悪影響を与えたかは想像できない。いわば原発事故の「2次災害」と呼んでもよい。しかし不思議なことに、いまだにこれら学者やジャーナリストがそれを理由に告訴されたという話は聞いたことがない。

学者やジャーナリストは煽ることによって、メディアの寵児となり出演料や著書の印税を稼いだ。週刊誌は発行部数を大幅に伸ばした。いわば「原発事故成金者」が続出した。

これから国民が冷静になって事故での影響を見つめようとする時期に来ている。おそらくこれら煽りの当事者を提訴すれば、風評被害のメカニズムが相当明らかにされるはずだ。具体的な加害を数値に表すことは難しいかもしれない。しかしかれらの言説が如何に科学的な実証性からかけ離れているかは明白になると思う。決して『逃げ得」だけは許されない。


市民団体の圧力に敢然と

2012-07-27 14:27:13 | ガレキ広域処理問題

大阪市のがれき広域処理政策は、受け入れの是非をめぐり大詰めを迎えている。大阪市議会は与党大阪維新の会が33で最大議席を持つが、野党の自民党と公明党の議席を合わせると過半数を超える。橋下市長がすすめるがれき広域処理もこの2つの野党が反対に回れば、予算が通らない。自民党は既に反対の意向であり、今後公明党の動向が採決の鍵となる。

なぜ自民党が広域処理に反対するのか解せない。橋下市長憎しの過去の経緯があるのだろう。そして、反対運動を繰り広げる市民団体は、態度を保留している公明党に反対に回るよう、市の党事務局に対して実力行動を仕掛けようとしている。

例の木下黄太氏率いる反原発市民グループが中心だ。というより、まるで「がれき広域処理反対運動の専売特許」のごとく、単独唯一といってよいほどだ。彼らのサイトに公明党事務局の電話番号とTAX番号を紹介してネットの賛同者たちに直接圧力をかけさせようという意図だ。

こうした広域処理問題でのやり方はほとんど木下氏を中心としたグループによる常套手段といってよい。市役所の担当部課やそれに関わる有識者、特定政党に攻勢をかけているのが現状だ。以前大飯原発再稼働に関しても、重要な鍵を握る福井県の原子力専門委員会の学者たちにたいしてもそうだった。どこからか彼らのメールアドレスを探し出しネットで公表して稼働を認可しないようメール攻勢で圧力をかけていた。もちろんそんな圧力など専門家たちには通じなかったのは当然だ。

要するに、こうした市民団体の活動の本質は、自治体の政策に正面から対応するのでなく、担当課や委員会の専門家、政党事務局などいわば行政の「急所」というべきところを「ピンポイント」で攻撃するところにある。これは本来の市民活動ととてもいえない。禁じ手もあえて辞さない圧力団体というべきだろう。

近日中には大阪市でがれき受けイルの是非を問う議案の採決が行なわれる。最近橋下市長は、存外のスキャンダルに襲われ逆風にあるが、自身が進める広域処理問題には、持ち前の突破力で押し通して欲しい。西日本の要の大都市でがれき受け入れが実現すれば、なかなか先の見えないこの問題の打開に大きな弾みがつくものと期待する。


政治がらみのオスプレイ配備問題

2012-07-26 12:20:24 | 沖縄の虚像と実像

二井山口県知事と福田岩国市長が、森本防衛相と玄葉外相を相次いで訪れオスプレイの岩国基地陸揚げに抗議した。地元民の不安を払拭できないというのが理由だが、これを額面通りに受け止めることはできない。実は山口県知事選がらみであることは間違いない。今月29日に行なわれる選挙では当初自民党と公明党が推薦している国交省出身の保守新人候補が優勢だったが、反原発論者で有名な飯館哲也氏が急激に追い上げている。

保守候補は地元の上関原発建設を容認しているが、原発事故以来県民には当然批判的空気が強く、それが飯田氏支持急伸の原動力となっている。そしてここへ来てのオスプレイ問題。保守陣営がこれに曖昧な態度を取ると形勢は逆転する情勢だ。

山口県知事や岩国市長も自民党出身で、この保守候補を応援している。したがって選挙を有利に進めるためには、これら自治体の長がオスプレイ配備に厳しい姿勢をみせないわけにはいかない。したがって今回の防衛相と外相訪問は一種のポーズにさえ思えてくる。それをメディアが「山口県民の民意」のごとく持ち上げるだけでは、本質を見誤るだろう。自民党の石原幹事長や石破元防衛相が同様の「懸念」を表明しているのも、あくまでも選挙がらみと見るべきだ。

しかしオスプレイ問題は決して政局の道具にすべきものではない。今後の国防の根幹に関わる問題だ。データを見る限りとオスプレイの事故率は決既存のヘリコプターと比べても事故率は高くない。「安全が確認されていない限りオスプレイ配備に同調すべきでない」とメディアや政治家が批判しているが、軍事の専門家でない人々はどんな説明や事故報告で納得できるのだろうか。「危険だからいらない」では全く先に進まないばかりか、結果的に日本の国益を損なうことにもなる。


大津いじめ事件の先にあるもの

2012-07-25 10:21:37 | 事件・事故・時事

「ミイラのようにぐるぐる巻き」粘着テープで、在校生が証言…大津の中学校のいじめ事件。その深刻さは計り知れない。ここまでくると立派な犯罪である。目撃した生徒が担任に連絡したようだが、単なる喧嘩と判断したという。

生徒の証言によれば、担任は鈍感な教師でいじめる生徒からなめられていたようだ。それをいいことに、加害生徒たちは少年のいじめをエスカレートさせた。言い方は悪いが、加害生徒たちの方が「一枚上手」である。

自分たちがこんな悪態をついても「大人たちは見逃してくれる、世の中ちょろいもんだ」と完全に高をくくっている姿が見える。加害少年たちの歪んだ処世術がこの年になって早くもまかり通る。

もしこれが事件として世間に表面化していなければ、彼らはもっと悪業に進んでいった気がする。そこで思い出すのが、24年前に衝撃を与えた女子高校生コンクリート詰め殺人事件だ。東京足立区で女子高生が4人の未成年少年たちに拉致された。そのうちの少年宅に少女を監禁し、強姦、暴力で恥辱の限りを尽くし、最期は少女を衰弱死させる。その発覚を恐れて、遺体をドラム缶に入れコンクリート詰めして遺棄する。

加害者が全て未成年であったが、犯罪の重大性から週刊文春が「野獣に人権はない」として実名を公開するほどであった。首謀の少年の懲役20年を最高に懲役刑が確定したが、そのうちの1人は出所後も恐喝事件を起こしている。「俺は昔人を殺したことがあるんだ」とすごんでみせたという。少年犯罪の闇の深さが窺える。

彼らの親たちは、決して悪徳の稼業に勤しんでいるわけではない。どちらかというと平凡な普通の家庭だ。しかし監禁宅の父親がその事実を知りながら全く止めさせる力も意志も見えなかったように、大人たちの無力さが際立っていた。おそらく今回のいじめ事件のように、大人たちの事なかれ主義を見抜き、あざとく生きていたように思う。当然「少年法」での保護も十分念頭に入れていたはずだ。

大津のいじめでにみられる大人をなめきったような無軌道ぶりは、いずれ凶悪な少年犯罪を引き起す要因を充分にはらんでいる。単なるいじめと見ては今後の判断を誤ることになる。犯罪の端緒として厳粛に受けとめるべきだろう。