粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

増田明美さんの東日本女子駅伝

2011-11-30 00:04:40 | 原発事故関連

自分自身テレビのマラソン中継はよく見る。特にスポーツジャーナリスト増田明美さんが解説する中継はとても好きで最後まで見入ってしまうことが多い。彼女の解説は選手の調子や心理状況を的確に分析すると同時に、選手のプライベートな人間模様も興味深く伝えてくれる。何より同じアスリート出身者として後輩を見つめる眼差しがまるで妹あるいは娘を見守るかのように暖かく優しい。

そんな増田さんが先の東日本女子駅伝について29日産經新聞のコラムでその想いを吐露している。この駅伝は自分自身のブログでも何回も取上げたが、やはりその関心は何といっても反原発派の健康被害を理由にした開催反対の動きである。自分もその煽りを受けた一人だが、増田さんもこの外部の動きには違和感を覚えたようだ。彼女の指摘は手厳しいが的確である。

福島市内の学校では、校庭の除染を行ない、線量を測定して屋外での体育の授業や部活動を行なっている。他県から来て3日間滞在する選手は競技場のウォーミングアップやコースの試走を行ない、中学生は本番で10分間走る。それが危険だという理由がわからない。福島市内で子供に戸外で走ることを止めさせよう主張するなら、なぜ中高生の秋の新人戦などの中止を要請しなかったのか。

自分の目で見て、自分の耳で聞くことなく、ネット上のセンセーショナルな言葉や情報をうのみにしてしまうとはなんと浅はかなのだろう。

さらに開催反対を叫ぶ人々の意図そのものにも大いに疑念を抱いている。

今回の東日本女子駅伝は震災以降初めて関東地区でもテレビ中継されるスポーツイベントだった。騒いで注目を集めるための標的になってしまった感がある。

そしてネット社会の危うさを問題にし、発する側、受ける側双方の啓蒙が必要だとしている。

ネットの世界では、誰もが情報の発信者になり得るので、個々の情報が真実であるか否か、必要最小限の情報の選び方を教育することが急務ではないか。それを義務教育の中で行なう必要があると思う。

最後はネットの必要性は同意しつつも人間関係の原点として生身の触れ合いの大切さを強調している。

先日、友人が「目に前に座っている部下から仕事の報告メールが届いた」と嘆いたことを思い出した。幸せの価値観は多様だが、人と人のつながりは普遍的なものだと思う。ネットの活用も大事だが、真実を確かめる感性を養う必要がある。そのために、肉声や表情、目の色に触れることを忘れてはならない。

増田さんの指摘はどれも傾聴すべきものであり、これ以上自分が付け加えるものはない。むしろ自分自身の自戒としたい。つまり自分もネットで発信する側として反省しなければならないと痛感する。また受ける方としても新たな自覚が必要だと感じた。


煽り週刊誌の終焉

2011-11-29 00:04:27 | 煽り週刊誌

11月28日は原発事故報道の記念日になるかもしれない。というのも煽り週刊誌の最後の砦アエラで今週号にて放射能記事が消えたからだ。サンデー毎日が先週から「平常記事」に戻りアエラの帰趨?が注目されていた。思えば放射能の煽りの先駆は3月19日発売のアエラ「放射能がやってくる」の特集記事だった。当初防毒マスクの表紙がどぎつく「風評被害」を煽ると世間から批判された。当時アエラの編集長がラジオのレギュラー番組で「風評被害を煽ることは真意ではないが、そのような誤解を与えたとしたらお詫びします」と答えつつ「記事の内容には自信がある」との強気なところも示していた。確かに原発事故での放射能物質の放出は東日本の広域に及びある面ではアエラの主張は正しかった点もあるだろう。それで気を強くしたのかその後は放射能の「驚くべき」「とんでもない」あるいは「無視できない」数値を報道し続けた。一時週刊現代などの、より過激な煽り週刊誌が現れた関係でアエラの「露出」も相対的に薄くは見えた。しかし週刊現代が7月に通常記事に戻ったのを皮切りに次々煽り記事は消えサンデー毎日とアエラを残すのみとなった。テレビ情報番組でもそれに比例するかのように放射能報道が激減していった。

そしてここへきてアエラの「撤退」だ。偶然にも福島第一原発の吉田所長が病気を理由に原発現場を去ることになったことを報じていた。まさかアエラの記事を見て辞任したわけでもないだろうが。

自分自身原発事故以来煽り週刊誌に疑念を持っていて毎週週刊誌の新聞広告をチェックしてきた。たぶん新聞広告だけを見ると見出し記事が過激なものが多い。これだけだと一般の読者特に小さい子供を持つ主婦は必要以上に放射能の恐怖を意識するのではないかと心配してしまう。アエラなど実際読んでみると見出しほど深刻でないものが多くその「羊頭狗肉」ぶりにはうんざりする。しかし多くの人は広告だけで判断してしまうのではないか。そんな煽りの記事が消えたことは大いに歓迎したい。

もちろん原発事故の傷跡はこれで消えたわけではなく依然深刻な点があることは事実である。しかしいまこそ煽りから離れて冷静に現実を直視すべきだろう。ちなみに最近の福島県内の放射線情報を見てみる。原発20km圏内の数値は場所によってかなりばらつきがある。一番高いところで毎時68.7マイクロシーベルト(双葉郡大熊町夫沢、3.0km西南西)一方で毎時0.5マイクロシーベルト(双葉郡浪江町北畿世橋、8km北、他)と相当低いところもある。反面20km圏外でも毎時33マイクロシーベルト(双葉郡浪江町赤宇木手七郎、24km北西)や毎時10.8マイクロシーベルト(相馬郡飯館村長泥、33km北西)と原発の北西方面で依然高い数値になっている。

したがって今後除染活動が本格化するであろうが、こういった細かなモニタリングをもとに実施されるはずだ。自分はいずれ福島県ほぼ全域で時期の差はあれ除染によって間違いなく通常の生活に戻れると信じている。まして首都圏のホットスポットなどさほど問題にすることはないと考える。この際煽り週刊誌は改心して罪滅ぼしに?避難民早期帰還のためのキャンペーンをはるくらいして欲しいものだ。いまだ「30km圏内は住めない」などとうわ言をいっている妄想好きなY.T君などがいるくらいだから。

お詫び:原発20km圏内の線量の数字(低い地域)に誤りがありました。お詫びして訂正します。(本文中訂正)


大阪秋の陣に思う

2011-11-28 09:10:32 | 国内政治

結局大阪市長・府知事ダブル選挙は橋下徹氏率いる大阪維新の会が圧勝した。今後橋下新市長の下で大阪に一種の革命が起きるだろう。市と府の二重行政にまずメスが入れられ、これまでの既存権益が切り込まれる。大きな破壊は避けられず、その抵抗が予想される。選挙で橋下氏に投票した人にもいずれ反感が出てくるかもしれない。しかし敢えて冷徹に振り切っていくしかない。それほど今の大阪には革命が必要だと思う。

それにしても、民主党、自民党、社民党を始め共産党までが橋下大阪維新の会に束になって対抗したのにこの惨敗は何なのだろう。これら既成政党が政党としての機能を果たせず、今の日本の状況に充分に対応していないといえる。

先ほど亀井静香国民党代表が民主党、自民党などに「反野田政権」の結集と呼びかけた。結集の対象には大阪維新の会も含んでいるようだ。個人的には亀井代表は好きだが、最近の動きには首を傾げざるを得ない。亀井代表の政策的立ち位置は郵政民営化反対、TPP加盟反対、死刑制度反対など反対ずくしだ。もちろんこれに呼応する動きはないようだが、亀井代表の言動が今の中央の政界を象徴している。政策で結びつくのではなく、個人的な好き嫌いや次の選挙の都合などで政治家が結びつく。

TPP問題、エネルギー政策を例にとっても民主党、自民党それぞれに考え方がちがうグループが存在し時に結びついたり反目したりする。さらに他の政党とも共闘することもある。それが今の政治をわかりにくくしている。

冷戦時代のイデオロギー対立は問題であるが、現在のような政策不在の混沌とした状況も深刻だ。

大阪維新の会はまだ中央政界に打って出る構想はないようだが、今後の大阪都構想の成り生き次第で否応なく中央と関わっていくことは間違いない。橋下新市長の今後の「革命」に注目したい。


原発事故と日本の農業

2011-11-27 00:08:20 | 原発事故関連

原発事故関連のニュースが最近少なくなリ事故収拾へ向けて少しづつ状況はよくなっているとは思う。最近でも中国が日本農産品の輸入規制を緩和したという記事を目にした。といってもこれまでは事故以来全面的な輸入禁止だったのが、加工品が検査証明付きで日本からの輸出が可能になったにすぎない。東日本の10都県は対象外だ。さらに生鮮食料品が依然禁止されたままだ。EUでも東日本の農産品は長野県は解除されたものの、放射性物質の検査証明書の提出が義務づけられていて、これが来年3月まで延長された。これら日本の農産品の輸入規制は依然44カ国に及ぶという。

原発事故がこの先さらに目に見える形で収拾が進めば少しづつは農産品の輸出にも明るい兆しが見えてくだろう。自分自身驚いたのはこの原発事故で農産品の輸出が去年と比べて相当減少したとみていたが1~9月の比較では「わずか」6.2%のマイナスだということだ。輸出の関係者からすれば「大幅減」かもしれない。しかし観光客が一時は半分以下に落ち込んだことを考えれば予想外に少ないといえると思う。西日本の輸出が堅調だったこともあるだろう。あるいは検査体制を万全にして食料品の安全証明に関係者が尽力したこともあるにちがいない。さらに反原発派の「日本の食品は危険」という喧伝が煽りでしかないことも実証しているともいえる。

とはいっても日本の農業はこの大震災や原発事故によって打撃を受けたことは間違いない。ただでさえ構造的に衰退要因をはらんでいるのにさらに暗い影を落としている。しかしTPPの参加に特に反対している人々にこの日本の農業をどうするのかという提言があまり見られないのはなぜだろう。むしろTPP加盟支持者の方が逆に新しい農業の形を進言している。TPPの参加による日本農業の危機を訴えるのなら、今そこにある実際の危機を充分認識した上で議論して欲しいものだ。少なくともTPP参加に反対する陣営も賛成する陣営も今の農業は衰退どころか消滅の危機にあるという共通の認識を持って欲しい。ただ特にこのような農産品の輸出は危機打開の一つの糸口になるはずだ。


日本製携帯端末の将来

2011-11-25 10:25:04 | 一般

日本製携帯電話が外国製端末の攻勢に苦戦を余儀なくされているという。一時は年間5,000万台であった日本の携帯電話市場はその飽和状態もあり、今3,500万台にまで落ち込んでいる。そんな中アップルのアイフォーンやアジアの低額スマートフォン(スマホ)が日本市場を侵食している。最近はアイフォーンがKDDIでも販売されることによりそのシェアーでも25パーセントを占めてトップに躍り出るのは確実なようだ。

携帯電話の「ガラパゴス化」がいわれて久しいが、アイフォーンなどのスマートフォンが主流になってさらにその退潮が顕著になってきている。外国スマホが料金的に優遇されているハンデは確かにあるが、日本製携帯がそのスマホの攻勢に鈍感だった点もあったに違いない。アイフォーンが販売されたのは3年前だが、当初騒がれたわりにはあまりアイフォーンの売行きは芳しくなかった。それに安心してしまったのか、日本の携帯端末メーカーのスマホ開発が遅れた。しかしいつのまにかアイフォーンがスマホで圧倒的な人気を博し携帯市場の花形製品になってしまった。その後は韓国のサムソンや台湾メーカーの端末も低額攻勢がそれに拍車をかけた。

日本の携帯対端末はかつてないほどの存亡の危機に瀕している。何か薄型テレビの趨勢と似たところがある。できれば日本のメーカーに頑張って欲しいと思う。といいながら自分は、国内の従来の携帯電話を使っているものの、「電話機能のないアイフォーン」であるiPodtouchをWIFI回線で使っている。やはりその操作性と多様なアプリは魅力だ。さらにパソコンとの簡単な同期も便利だ。音楽、画像、動画はもちろんのこと、メール、スケジュール、アドレスも自動的に同期できる。最近はクラウドといって一般のファイルも共有できる。

いまや仕事ばかりか日常生活全般にはスマホの存在は日ごとに重要の位置を占めてきている。そこに日本のメーカーや電話接続会社がなかなか食い込んでいけないのは淋しい。最近はかつて日本の独壇場であったゲーム機市場でもスマホが浸食しているようだ。

スーパーコンピューターなどにみられるように日本の技術力はいまだ世界的に健在だ。ただ日常の消費レベルではその技術力はなかなか市場でいかせられない面が出てきている。日本メーカーに頑張って欲しいと思う。といいながら自分自身結構外国のIT機器を使っているのは自己矛盾も甚だしいが。