経済ジャーナリストで原発問題にも詳しい石井孝明氏が、福島県南相馬市で最近ではNPOで除染活動の仕事を立ち上げたある林業経営者にインタビュ-していた。
箱崎亮三氏54歳、地域の再生に強い意欲を持っているが、最近地域に「土地の力」がなくなったと危機感をもっている。
昼に食事にいくと、外食チェーンが繁盛しています。東電から賠償金が入っているのに、仕事がない人、できない人がたくさんいるのです。そうした中高年がグループで食べに来て、そこで時間をつぶすのです。これは仕方がない半面、働かないことは、いいことではないでしょう。その人の心にとっても、町にとってもです。
そんな中高年がいる一方で20代後半から30代の若い子育て世代を中心に地域からの流失が続く。それを単純に放射能の影響を考えがちだが、複合的に社会現象として見るべきだと箱崎氏はいう。
仕事ができなくなり、移住をした場所が、住みやすくて仕事があれば、戻る理由はありません。これは若い世代を引き付ける地域競争の結果です。南相馬は震災前から、どの地方も苦しんでいるように、若年世代の流失傾向がありました。震災と原子力災害はそれを加速させました。
南相馬に残る決断をした人は、安全な情報に注目しがちです。一方で去った人は、帰らない理由を探しがちです。そこで、その理由に放射能を上げる人がいます。実はそうした人も、自分で健康被害は起こると思っていないことがあるのですが。
早い話が、そこに住んで仕事ができて生活ができるかのという極めて現実的な問題があるわけだ。母子だけで移住する場合はともかく、放射能が移住の口実に使われているともいえるいえるかのしれない。
だから箱崎氏は地域の魅力を探して活性化させることだ必要だと力説する。
大切なものを南相馬で発見して、大切に育てること、それに価値を見つけることが必要と考えています。
失ったものは大きいのですが、それをバネにして未来を考えなければ。そうしなければ、人は戻ってこないし、町は再建されないですよ。「先進的なことをやるぞ」と、背伸びをし、他の場所より魅力を増す付加価値をつくらなければなりません。
そのためにも国も県と地域の関係について注文を出している。
国も県もできることのメニューを揃えていますし、その努力をありがたいと思います。ですが、もう少し、やる気のある人が自由に動ける状況をつくってほしいです。
福島に限らず、被災地の復興にややもすれば、国や県の机上のプランが先行して地域の要望と乖離して思うように復興が進んでいないことが少なくない。結局多額な復興予算が浪費される。何よりも地域の復興に意欲的な取り組む現地の人々の声を聞くべきだはないか。あくまでも地域主導で進められることが本来の姿だと思う。