粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

震災がれき処理の今

2014-02-24 14:48:08 | ガレキ広域処理問題

最近の報道によると震災で発生した東北地方のがれきは宮城、岩手2県ではその処理が順調に進み予定通り3月中には終了するという。ただ福島県に関してはまだ68%程度であり、これも原発事故での避難区域は除外されている。東北三県でその進捗状況で明暗が分かれた形だ。

宮城、岩手のがれきについては62万トンが他都府県で広域処理された。こうした支援は被災地の復興に大きく貢献したことは間違いない。青森、秋田、山形の東北他県がいち早く応じた意味は大きいが、処理能力の高い首都東京が震災の年のうちから既に処理を始めたのも素晴らしかった。その点は石原元知事の功績の一つとしてもっと評価されてしかるべきだと思う。

がれきの広域処理で、朝日新聞宮城県支局の記者による見当違いな記事を思い出す。この記者は「がれきが野に山積みになっていてもさほど気にならない。自分の周りにもそう思っている人が結構いる」と、広域処理への疑問を書き立てていた。

当時自分のブログでこの記者の「取材能力」と「交友関係の狭さ」を皮肉ったが、彼は今現在、がれきの山が奇麗に取り除かれた現状をどう思っているのだろうか。まさかがれきの山に「郷愁」など感じてはいないとは思うが。

また、震災がれきが汚染されて危険だという全く科学的根拠のないデマを煽って、広域処理反対を繰り広げた活動家、市民団体、ジャーナリスト、マスコミは今でも批判されてしかるべきだろう。がれきの焼却によって周辺住民が深刻な放射能汚染が起こると喧伝して、受け入れを申し出た自治体の住民を恐怖に陥れた責任は決して小さくない。

はたしてそんな健康被害が一つでもあったろうか、はなはだ疑問である。北九州などでは、この「健康被害」を巡って裁判を続けている市民団体があるようだが、全く理解の域を超えている。

まだ福島県では、3割以上が未処理なのが気にかかる。まして避難区域がこれからというのが厳しい。特に帰宅困難地域とよばれる地域はがれきの実態さえ把握出来ていない状況だ。これは福島第一原発の事故処理とも大きく関係してくる。国を挙げての迅速な処理が求められる。




進歩のない?反原発ジャーナリスト

2013-05-16 13:44:50 | ガレキ広域処理問題

田中龍作氏…かつてはあの上杉隆氏らと自由報道協会を立ち上げたが、今は脱会し上杉氏とは距離をおいているようだ。ただ田中氏のブログを見ると相変わらずの旧態依然たる?反原発論者であり、失礼ながらあまり「進歩がない」というのが率直な感想だ。

田中龍作ジャーナル5月13日「大阪報告、多数の逮捕者を出した瓦礫焼却差し止め裁判始まる」のブログはどこか独善的で、内容が貧弱な記事である。大阪市の震災瓦礫広域処理に反対し、「深刻な健康被害」をもたらすとしてその差し止めを求める裁判が始まったことを伝えている。

最初に目に入るのは母子の写真だ。マスクをした母親が不安そうに幼い子供を抱きかかえる姿。原発事故以来何度こうした写真や映像を見たことだろう。原発事故=放射能汚染=子供の将来への深刻な健康不安といった図式が世間的に定着してしまった。

それも少しでも放射性物質を含んでいるだけで健康に影響がでるという極端な「ゼロリスク」が今なお堂々とまかり通っている。それが如何に科学的事実とかけ離れているかはチェルノブイリ事故が証明しているし、福島でも明らかになりつつある。

それはともかく田中氏の「計算能力の低下」は目を覆うばかりだ。彼の記事中にこんな一節がある。

瓦礫の放射能濃度は100Bq/kg(被告の最大計画値)で国の基準以下だが、持ち込まれる瓦礫の総量は3万6,000トン。 3万6,000×100=3億6,000ベクレルもの放射性物質が大阪府一円に流れ込むことになる。住民の間に健康被害が出ても何ら不自然ではない放射能汚染だ。

この前提なら1トン=1000kgだから、100Bq/kgのセシウム濃度とすると3万6,000トンの瓦礫に含まれるセシウムは36億ベクレルである。彼の狙いに「煽り」があるとしたら、これでは「煽り」にもならない。

そんなことより彼は「大阪府内一円にが流れ込む」と書いているが、実際は濃縮された焼却灰を土中に埋め立てるのだから、実態と大きくかけ離れている。さらにセシウム100Bq/Kgという、焼却以前の濃度の想定自体が間違っている。実際は不検出といってようほどの濃度である。また試験焼却で調べた際の濃度は、大阪だけのゴミを焼却したものと震災地の瓦礫を一部混ぜて焼却したものにさほど差がなくキロ40ベクレル程度であった。本格焼却をしている最近の検査では焼却灰にさえセシウムが不検出になっている。

つまり、広域処理で新たに出てくるセシウムは全く無視してようほどの超微量であることは明白だ。もちろん焼却場の周辺の放射線量に全く変化は見られない。36億ベクレルの放射性物質が大阪府内に流れ込むなどというのは全くの虚偽であるといってよい。

息子には花粉用メガネとマスクをつけて登下校させている。24時間空気清浄器を動かし、水も買っているので家計の負担も重く感じる。国、自治体は放射能から子供を守らずになぜ傷つけることばかりをするのか。苛立つ毎日です…

「被害」を聞いてあげるのは悪くはないが、その先がいけない。高い空気清浄機を買って子供を部屋に閉じ込めてしまう母親を諭す「優しさ」こそ必要ではないか。

拙宅は東京都中央区の晴海焼却場のすぐそばだ。東京都が震災瓦礫を燃やし始めた昨春以降、筆者は鼻やノドの調子が悪い。

東京の田中宅は空気清浄機が完備されているのだろか。こうした反対派住民にわざわざつき合ってストレスを抱え込むことはないだろう。


あの騒ぎは一体なんだったのか

2013-05-08 15:02:06 | ガレキ広域処理問題

震災がれきの広域処理、昨年の今頃はがれき受け入れを表明した自治体に反対派が押し寄せて異常というべき紛糾を見せていた。自分のブログでも書いたが、特に1年前は北九州市で子供を人質に取るかのように「子供の命を守れ」とがれき搬入反対を叫ぶ過激な抗議活動が頂点に達した。一部メディアは、こうした反対派の動きに同調するような姿勢を示したことで問題をこじらせてしまった。

そんな騒ぎも今は昔。しかも当初予想よりも、被災地のがれきが大幅に少ないことがわかり、宮城県と岩手県の場合その最終的処理が目標の来年3月までに達成できそうだ。ともかく本当に喜ばしいし、被災地の復興に拍車がかかることを期待したい。

それにしても、現在この問題が全くメディアどころか、反原発ネットでも話題にならないのは正直言って呆然としている。あの過激な反対は一体何だったのだろうか。ベビーカーを出してまで訴えた「悲痛」はどこへ行ってしまったのか。

山本太郎君も大阪での焼却に激怒して、母親を避難させると表明したが、その後のことは聞かない。所詮口だけの三流タレントのパフォーマンスというべきか。気楽な稼業?「脱原発に60兆票」という彼のツイッター、「まじめにやれよ」と自分を棚に上げて言いたくなる。

しかし、被災地の人ははっきり言って傷ついたと思う。ひどいのは、お願いする東北の自治体に反対派が抗議活動をしたことだ。「こんな汚染がれきはあんたらで始末しろ」といわんばかりの傲慢さ。腹立たしい限りだ。

北九州市や大阪では「健康被害」を訴えて裁判沙汰になっている。本当に健康被害はあるのか。すでに1年半以上広域処理を実施している東京では、反対派の理屈からすれば、病人だらけになってしまう。

山本太郎君に対するツイッターのまとめを見ていたら、こんなつぶやきがあった。

ツイッターでの報告を見る限り、被災材の焼却などよりも身内や友人に反原発カルトの信奉者がいることの方が人々の体調に大きな悪影響を与えている。家族や仲間の健康を大切に思うならば反原発カルトから離れた方がいい。

わざわざ不健康になることほど、つまらないことはない。暗い夜道と反原発カルトには気をつけよう。


箱根町が岩手の漁網受け入れ

2013-04-09 15:23:14 | ガレキ広域処理問題

おそらく、このニュースを複雑な思いで見ているのは同じ神奈川県内の横須賀市民であろう。最初は震災がれきの広域処理で最終処分場として受け入れることに横須賀市の周辺住民が反対した。せめて岩手の漁網を埋め立てる代案も反対し、結局神奈川県では被災地の廃棄物を受け入れることもなかった。

しかし箱根町がここへ来て漁網受け入れを表明した。わずか人口1万3千人ほどで屈指の温泉地とはいえ漁業にはまるで縁がない。その箱根が受け入れることには少し違和感があるが、それでも敢えて申し出た山口町長の勇断には敬意を表したい。

もちろんまだ箱根の自治体が表明しただけで、処分場周辺住民の同意を得なくてはならない。横須賀の周辺住民のように激しい反対運動が起こらないとも限らない。横須賀では黒岩神奈川県知事や吉田横須賀市長の指導力のなさが目立っていた。知事は逃げ腰だったし、市長は保身の姿勢が強すぎた。

報道によれば、岩手の漁網の放射性濃度は検出限界のキロ20ベクレル未満ということだ。ここは山口町長も黒岩知事もその辺の正確なデータを住民に提示して、受け入れが実現するように頑張ってほしい。


がれき広域処理に目処

2013-02-23 13:10:18 | ガレキ広域処理問題

毎日新聞によれば、震災がれきの広域受け入れで9割を確保し、残りにも目処がつき、目標とした来年3月までに達成される見込みだという。当初の推定と比較して実際の量が大幅に減少したとはいえ、岩手、宮城の焼却場増設までのつなぎとして、震災がれきの処理スピードアップに広域処理は充分貢献したことは事実である。

特に、同じ東北の青森、秋田、山形の隣県がいち早く受け入れに応じたことは大きい。やはり、同じ東北の仲間だという連帯意識が健在だったのだろう。そして震災で被害を受けた関東さらに北陸4県も概ね受け入れを実施した。また静岡、大阪、福岡といった震災の直接の影響がなかった府県もこれに応じてさらに動きが広がった。

ただブログでも度々記事にしているように、この広域処理に反対する「市民」の反対行動は異常というほかなかった。放射能汚染を忌避する市民の感情は理解できるとしても、その抗議は理不尽な妨害活動といってよく震災復興への汚点を残してしまった。しかしこれも市民レベルだから、ある面想定できなくもなかったが、公の首長が執拗とも思える異議を申し立てたのは驚きだった。それも新潟県知事という立場で、県内の受け入れを表明した都市に口(それも暴言といってよい)を挟むという異常事態だ。特別理由といってもとても理由といえるものではない。「政府の受け入れ基準が曖昧」というわかったようなわからないような言い逃れにしか思えない。今後の震災復興を検証する上でこの知事の言動は看過できないものだ。

ともかく、震災がれきの処理で県内外を含めて、宮城、岩手で目処がたったことは良かったと思う。広域処理に反対する人々は震災地の雇用創出を阻害するなどと主張しているが、地元住民はこうしたがれき処理の仕事を本来の雇用とは思っていないはずだ。

がれきが消えても被災地の復興はこれからが本番だ。高台への集団移住もなかなか進んでいない。港湾施設の復興もまだまだ充分ではなく、住民の流失が依然続いている。同じがれきでも福島では旧警戒区域のものが難航している。仮置き場の確保さえまだ半分にとどまっているのが現状だ。震災からもうじき2年、厳しい現実を改めて見せつけられる。