産経新聞によれば「中国浙江省杭州市で、新築マンションの販売不振から今月中旬に値下げ販売を始めたところ、既に物件を購入した住民が差額返金などを求めて抗議、警察が出動して収拾に乗り出す事態に発展していたことが27日までに分かった。」という。
日本でも1990年代にバブルが弾けて不動産価格が急落した。たとえば分譲マンションで、早く購入した部屋と比べて数ヶ月後に販売した隣の部屋が数百万円も安くなるなんてこともよくあった。これがそっくり今中国で各地で起こっているわけだ。
当時日本でもこうした価格差で先に購入した客が不公平を裁判に訴えるケースはよくあった。しかし、結局は価格の変動は市場原理として当然のこととされ、初期購入者の訴えは認められなかった。
今回中国の場合はどうなるのか。モデルルームに座り込んだり、ミニチュア模型が破壊されたりして警察が出動する騒ぎになっているようで、その過激な反応は中国らしい。日本のような法整備が十分でなく、混乱は全国各地に広がっていく感じがする。
不動産バブルの崩壊と並行して今中国で起きているのが、理財商品と呼ばれる高金利の財テク商品だ。いわゆる影の銀行といわれるもので、正規の銀行融資以外の手段で信託会社が銀行を通じて投資家に高利の短期で販売し、石炭会社などに融資するものだ。しかし最近経済成長の鈍化で焦げ付きが露呈し始めている。
すでに返済不能になって返済されず投資家が抗議して騒ぎになっている。今年は夏頃が返済のピークになるという。地方政府が当初は返済を肩代わりする動きがあるようだが、返済額が増えていくとフォローも困難になる。理財商品の融資総額は170兆円ともいわれこれが破綻すれば中国経済に深刻な影響を与える。
不動産販売といっても投資目的で購入するケースが多いという。理財商品はまさに投資そのものだから、こうした投資が滞ると、中国経済は弾けてしまう。中国の名目GNPに占める投資の比率は50%近くになっているとされる。日本では20%程度だからその大きさがわかる。中国では外資の投資も高いが、国内がこんな状況ではそれも今後期待出来ない。
中国のバブル崩壊が年内にも起こる可能性が高い。というよりすでに始まっているのではないか。これは世界経済に大きな影響を受ける。日本も例外ではない。まして日本を見切って中国に依存しようとする韓国はその比ではない。もちろん当の中国の経済混乱が一番深刻だ。おそらく国内では暴動が激化して習近平政権の基盤が大きく揺らぐことが予想される。
そこで一番懸念されるのが、国内の不安を反らすために海外で強硬姿勢に出ることだ。その矛先が最も向けられる可能が高いのは日本であることは間違いない。尖閣諸島での新たな挑発が懸念される。日本がその挑発に過剰に反応するのは慎むべきだが、その備えは充分整えていくことが急務だろう。