粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

苦肉の呼び名

2012-05-07 13:24:05 | スポーツ

昨日のニュースの見出しをみて一瞬首を傾げた。「田中3きょうだい同時五輪」とある。なぜ「兄弟」でなく「きょうだい」なのか?写真を見ればわかる。長兄、和仁(26)次兄、祐典(22)長女、理恵(24)。体操でロンドン五輪出場を決めた田中家3人だ。

写真の中央は理恵だが、現在一番有名かも知れない。しかも年齢的にも真ん中だ。少女が多い女子体操界では大人の雰囲気があり、演技もとても優美にみえる。自分も好きな選手の一人だ。その理恵を差し置いて「兄弟」扱いはないどろう、とメディアは思ったのだろうか。もし理恵が一番下だったら、「兄妹」とでもしたかも知れない。結局苦肉の「きょうだい」表記になったと思われる。

「兄弟」を国語辞典で調べてみると、1として「兄と弟」とあるが、2では「同じ親の子供」の意味もある。したがって、田中3兄弟としても間違いではないが、きっと女性活動家、あの某党首の福島さんや田島某女史から「女性差別」とかでクレームがくるだろう。でも最近は「ニューハーフ」なんていうのが市民権を得ている時代だ。「きょうだい」は便利な言葉かも知れない。

呼称で以前物議を醸したのが「ハングル語講座」だ。NHKの語学番組での隣国の言語をどう呼ぶかで問題になった。「韓国語」では、北朝鮮系の在日朝鮮人からクレームが付くし、逆に「朝鮮語」では韓国系の在日から抗議があるだろう。結局折衷案で「ハングル語」となったと聞いている。

メディアは最近、差別として問題になりかねない呼び名に敏感になっている気がする。特に以前女性専用だった職業でも、男女同権の建前から呼称が変わってしまった。「看護師」などは最たるものだが、自分自身いまだこの呼び名には馴染めない。患者の看護をする相手に母親のような優しさが欲しいと思うのは、男たちのノスタルジアに過ぎないのだろうか。