粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

カタログの歌

2012-04-30 11:27:45 | 事件・事故・時事

ここのところ、ブログもシリアスな話題が多かったので、たまには砕けた話もいいかと思う(適当だが)。ある若手俳優(29)が「二股交際疑惑」で芸能スキャンダルになっている。美人料理研究家(34)と婚前旅行をした翌日に今度は人気モデル(29)にプロポーズ。しかしそのモデルは俳優の「実生活の真相」を知りショックから破局に至ったようだ。

自分自身この俳優の名前を初めて知ったが、さすがイケメンで女性にはもてそうだ。正直本当に羨ましい限りだ。美人料理研究家は、世間でいわれている「美人すぎる」女性ではなく、別人だがとっても美しい。「二股」のもう一人はモデルとしてはよく知られ、今回の3人のなかでは一番有名だろう。2人の女性ともきれいだが、自分の好みは「料理」の方かな。(勝手ですみません)

芸能記者は「道義的に問題」なんて口では言っているが、絶好の記事ネタができたと心の内では欣喜雀躍していることだろう。いつの時代でもこうしたスキャンダルは「蜜の味」だから、世間、特にその種の話題が好きな女性にとっては格好の「おいしい話」だろう。

その俳優は1日にも、この問題で「事情説明」するというが、実際「事情」も何もあったものではないと思うが…。テリー伊藤がこの俳優に対して怒っているというが、全く意味が分からない。どこに「お金のにおいがする」のだろうか。世の男たちは「うまいことやりやがって!」と大方思うだろう。あるいは「翌日(別な相手へのプロポーズ)はないだろう?」とその「性」急さには、疑問をもつ男は多いだろう。でも「三股疑惑もあり」との噂にさすがに「おれにもまわせ」なんてのは下衆のやっかみか?

二股交際といえば少し古いが、20年前話題になった大相撲の琴錦関を思い出す。関脇で初優勝を飾り、成績でも大関昇進確実とされていた。しかしその最中「二股婚約」が発覚して、その『道義上の問題」から大関に推挙されることはなく、結局は最高位関脇のまま相撲人生を終えた。本人にとって無念の極地であったろう。

おそらくこの俳優は、こんな力士のような屈辱は味わないと思うが、「大根」なら、生涯「あの二股」という看板が降ろせないかも知れない。はたしてどうだろうか。

話は変わるが、遠い西洋では「二股」も「三股」も「目じゃない」世界がある。しかも美人の妻をもちながら。モーツアルトのオペラ「ドン・ジョバンニ」。主人公の貴族ドン・ジョバンニの漁色ぶりにはあきれる。召使いのレポレロが主人の行状をカタログに記録して、奥さんに暴露するアリア(独唱)「カタログの歌」は有名だ。


タリアでは 六百四十

ドイツでは 二百三十人

フランスで百人 トルコじゃ九十

スペインでは千三人のおんなを千三人 千三人

いなかのむすめや

まちのおとめたち

女中も貴族も

みにくいおんなも

きれいな少女も

ばあさんさえも

目についたすべての…


まだまだ先があるが、切りがないだろう。これがモーツアルトの最高傑作のひとつになっていて、今日世界の有名なオペラハウスで盛んに上演されている。不倫も数が多いと芸術になる?そんなことはないか。


追記:この俳優、料理研究家の女性にも土下座して謝罪したというが、こちらにも見捨てられたようだ。何ともしまらない話。プレイボーイとしては下の下だろう。♪両手をついて謝ったって許してあげない。「3年目」でも許せないのだから「翌日」ではとても…。


ある女医の明快で痛快な診察

2012-04-29 10:59:53 | 過剰不安の先

普通「反原発派」のサイトを見て、首を傾げたり唖然としたりすることが多いが、こんな痛快な気分になることは珍しい。自分のブログで度々登場する木下黄太氏の昨日(28日)のサイトがまさしくこれだ。

原発事故で千葉から西へ「避難」してきた母子。母親は不整脈が心配の息子をつれて町で評判の小児科女医(元循環器科)の所へ診察にいった。その時の母親と女医の会話である。

  

母親『去年、不整脈と言われたので心配です。セシウムは心筋にたまると聞くし…』

女医『(笑)セシウムが心筋に貯まるなんて聞いた事ないわ。あなたどこの人?福島?』

母親『千葉県から避難してきました』

女医『千葉県に(笑)放射能なんてないでしょう』

母親『ホットスポットって言われてる場所で…福島のいわき市とか南相馬と同等の汚染地帯から来ました』

女医『だからって原発が真横にあって放射能がばーって降ってきた訳じゃないんだから。そもそもセシウムで人が死んだなんて聞いたことないわよ』

母親『でも、私が住んでたところでは突然死が増えてるし、チェルノブイリの例もあるし』

女医『チェルノブイリの文献もだいぶ読んだけどセシウムで突然死なんてないのよ。ストレスで突然死はあったみたいだけど。あなたが聞いたのもストレスなんじゃないの?不景気で失業したとか?』 

母親『……』

最後に女医は言いました『あなたも放射能気にしすぎてストレス溜まってんじゃないの?千葉県から避難なんて聞いたことないわ。お子さんの前では放射能の話とかやめないとお子さんに悪影響よ』

(*原文では「母親」ではなく「私」になっています)


その後母親は女医の「理不尽」な振る舞いへの「やりきれなさ」を綴っている。

千葉県から避難してきたという私を、狂人だとも言いたげな感じでした。

でも、現実に福島以外は汚染されてないって思ってる人が多いってことですよね。良くわかりました。もちろん、ただのストレスだったら、それほど喜ばしいことはないです。

……でも、やはり汚染地帯に住んでいた現実があるし・・しかも医者に「ただのストレス」呼ばわりされたくなかったです。


当然のことながら、このサイトは、登場する女医に対しては非難轟々である。木下氏がこの診察での出来事を紹介する際にも、彼女への「怒り」が込められている。

ある医療従事者が、この人は、人間としてまともなのか、それとも鬼畜以下なのか、考えさせられる話です。

しかし自分にはこの女医の方がよほどまともに見えてしまう。それこそ真横に原発があるのならともかく「セシウムで死んだことがない」とずばり言う。チェルノブイリの文献もよく読んでいて「セシウムそのものでの突然死はないが、ストレスならある」とも答えている。

だから母親のストレスを心配し、同時にそれが子供の健康にも影響することを戒めている。すなわち「子供の前では放射能の話とかはやめなさい」とまで言い切っている。

しかもこの女医は、ずばずば物事をいう女性らしいが、しかしその内容が明快で的確な印象がある。そして想像するに、どこか竹を割ったような快活な女性ではないか。「近所で評判」というが、そうした性格も加味されているかも知れない。

自分が「痛快」だと感心したのは、この女医が世間の放射能忌避を全く歯牙にもかけず、医者の良識で小気味よく患者に接する姿勢である。自分からすれば、なんでも放射能のせいにする人々(それはある種マインドコントロールされている)に「よくぞいってくれた」と喝采を送りたいくらいだ。

ただ残念ながら、女医と母親の会話は噛み合ず、結局物別れに終わったようだ。こんな放射脳ママの心配を解消するのは容易ではない。それこそマインドの問題だから始末が悪い。

それはともかく、こうしたはっきりものを言う医者は世間にどれだけいるのだろうか。少なくはないと思うが、問題の母親の話だと「私を診てくださる内科医は信頼できる方ですので安心です」とある。「安心」の意味あいがよくわからないが、よく解釈すれば「相性がよい」のかもしれない。でももし悪く考えると…まあそんな詮索はよそう。

問題の女医さん、若くて奇麗なら、いやそうでなくても一度自分も診てもらいたい。でも小児科医なのか!じゃあ親戚の子供を連れて検診してもらう。ついでに自分の脈をとってもらうくらいはバチが当たらない、と思うのだが。



武田教授煽りの極地「3年4ヶ月で三重に住めなくなる」

2012-04-28 11:10:12 | 煽りの達人

この教授の発言などもはや信じる人も少なくなってきたと思うが、最近の武田邦彦教授(中部大学)のブログの内容には驚かされた。昨日の上杉氏の捏造などそれに比べたらかわいいとさえ感じる。題して「あと3年・・・日本に住めなくなる日」とある。三重県在住の男性が、昨年9月から毎日今年3月まで自分の自宅、職場の放射線量を調べてみたところ、線量が増えていることがわかった。その数値はでていないが、そこから教授独自の推測が始まる。教授の概要は大方下記の通りだ。

1、福島の原発事故以来、今も日本全国に汚染は拡散している。(福島の線量は減っているが、その分が拡散している。)

2、三重県では1日0.004マイクロシーベルトの割合で増えており、3年4ヶ月後には年間被曝が内部被曝を加味すると5ミリシーベルトをこえる。

3、1年5ミリというと成人男子でも白血病になったら「労災」が適応される線量である。つまり、日本国は「1年5ミリの被曝を受けたら、白血病になる」と認定してきた。

4、三重県はほぼ日本の平均的な線量率だから、ほぼ日本に住めなくなる。

以上だが、科学的知識に乏しい自分でも首を傾げてしまう。

1の放射性物質の拡散だが、記事には書いていないが添付の教授の音声では福島から拡散していると言及している。それも福島の放射線量が減ってその分が他に移動していると考えている。しかしこれも常識的に考えておかしい。おそらく放射性物質が雨で流されて海に運ばれて福島でも線量が減っていることが考えられる。しかしそれが海から三重県にまで拡散して放射線量を上げているとはとても思えない。また放射性物質のセシウムは134と137が比率的には半々だが半減期が2年の134は福島でも自然に減っていくことは確かだ。

三重県で線量が増えたのは詳しいことはわからないが、福島の拡散とは関係なく、地域の特別で一時的な現象によるのではないか。首都圏で線量が毎日増えているということは、聞いたことはない。また今後も三重で増えていく理由にもならない。

2の年間5ミリシーベルトになる計算が素人の自分にはどうにもよくわからない。しかもこれも毎日0.004マイクロシーベルト増えていくことを前提にしている。百歩譲って毎日増えるとしよう。教授の数式だが比例して線量が増えることになる。したがって3年4ヶ月後に年間線量が5ミリシーベルト(内部被曝を0.4ミリを加味)(音声で言及)になるとしたら、その6ヶ月前の1日の線量を365倍すれば本当だったら4.6ミリシーベルト(内部被曝0.4を引く)になる計算だ。

そこで6ヶ月前だとすると今から2年10ヶ月後で日数は

365日×2年+300日=1030日だ。

したがって1日あたり0.004マイクロシーベルト増えるとすると2年10ヶ月後には

0.004×1030日=4.12マイクロシーベルトだ。

1日4.12マイクロシーベルト増えることになる。現在の1日の線量は

0.10×24時間=2.4マイクロシーベルトだ。

これに増えた線量をプラスして

2.4+4.12=6.52マイクロシーベルトだ。

したがってこれを1年分で掛けてみる。

6.52×365日=2379.8マイクロシーベルトだ。

つまり2.3798ミリシーベルトにしかならず内部被曝を引いた4.6ミリシーベルトには遠く及ばない。これは自分の勝手な計算だから武田教授には別の計算方法があるのかも知れないので留保するが。

3の5ミリ以上で成人男子が労災の適応になるというが、これも専門家でないのでよくわからない。ただ「1年5ミリの被曝を受けたら、白血病になると認定した」というのは、どうみても教授の勝手な思い込みであり、論理の飛躍である。世界では年間5ミリ以上被曝する地域は決して珍しくない。しかし、そこに住む人が大半はおろか、一部でも白血病になったという話は聞いたことはない。しかし「白血病になる」と断定するのは医学者でもない武田教授の完全な脅しでしかないと考える。

4に関しては、3までの理由で、これ以上余計な説明を加えることもないだろう。今後放射線が拡散して年間5ミリシーベルトを超えることも考えらない。日本全国減ることはあっても増えることはない。また敢えて内部被曝についていえば、昨年の朝日新聞と京都大学の検査では、福島県で一番食事で内部被曝を受けた人は1日17ベクレルで、年間の被曝は0.1ミリシーベルトに過ぎないという。それも福島で家庭菜園の野菜も食べてこの数字だから、三重県で0.4ミリの内部被曝という計算も誇張が過ぎると思う。

以上武田教授のブログを「検証」して、自分は「煽りの極地」とした。教授は記事中「脅しではない」と書いているが明らかに脅しにしか見えない。それもまるで断定的に言い切っているのが困ったものだ。本人は書いていることの重大性を認識しているのだろうか。もちろんこの武田批判に異議がある人もいるかもしれない。反論も拒まないつもりだ。


追記1:どうも自分は大きな計算違いをしてしまったようだ。増加「0.0004マイクロシーベルト/日」を一桁間違って「0.004」として計算してしまった。したがって0.0004×1030=0.412マイクロシーベルト。そしてここで問題だが、これは「毎時」の数字なのだろう。そしてこれに0.10をたして0.512マイクロシーベルト/時となる。0.512×24×365=4485.12マイクロシーベルトとなり教授の計算とつじつまがあう。「毎時の線量が1日0.0004マイクロシーベルト増える」というのが正確のようだ。自分自身二重の計算間違いをしたことになる。訂正してお詫びします。


追記2:一度追記1で自分自身の計算ミスを表明したが、実は武田教授も表記ミスをしていたことがわかった。武田教授のブログを紹介したある方のブログを見てみたら、ちゃんと「0.004マイクロシーベルト/日」の数値が引用されていた。つまり武田教授は最初のブログで「0.004」と表記していたのに、誤りに気がついて「0.0004」とこっそりブログを訂正したことになる。自分も早合点してそれに気付かず、訂正されたブログを再度見て、最初から教授が「0.0004」と表記したものと勘違いしてしてしまった。その結果自分自身「追記」という書き込みに及んだのが真相だ。もちろん自分の早合点は責められるとは思うが、「こっそり自分のブロブの数値を書き換える教授のやり方」は、影響力のある学者としてその品位を疑わざるを得ない。


追記3:なんとまた武田教授、この問題ブログの表記を変更してきた。「変化」以下の部分だ。

a(変化)が0.0004((マイクロシーベルト/時)/日)です。

新たに「/時)」が加わったわけだ。この表記が一番誤解がなく正確である。始めからこうした表記であれば、自分自身ブログの本文に長々と余計な計算式を表示することもなかった。もちろん教授の一筆もなくこっそり書き換えられている。講演活動やマスコミ出演などご多忙な日々を送っていて、ブログのチェックもままならないようだ。少し滝にでもうたれて頭を冷やされたほうがよいだろう。新生武田氏はもしかして「飛散放射能安全、原発再稼働賛成」宣言などしたりして…。




上杉隆・春の煽り祭り盛況中

2012-04-27 11:47:33 | 煽りの達人

残念ながらこの祭りでは、どこかのパンメーカーとは違い「おしゃれなお皿」はもらえません。悪しからず。国内での悪評から逃れるように、遠くドイツで活路を見出そうとしたのだろうか。神出鬼没の上杉隆氏が、煽りの花火を打ち上げた。ドイツの放送局でのインタビュー、この放送局がどれだけの影響力があるのか分からないが、彼が打ち上げた花火はやはり毒煙に咽せていたのは確かだ。たとえばこんな発言だ。

1、フクシマの3号機の爆発の写真ですが、これは、おそらくヨーロッパではかなり知られている写真だと思います。しかし日本ではそうではないのです。事故から1年経った今でも、これはマスメディアにはまだ許可されていないのです。いまだに日本政府もマスコミも、あそこでは爆発などなかった、と主張しているのです。この写真を公に見せてしまえば、矛盾が明らかになってしまうからです。


2、これまで、少なくとも12万人の人間が被曝し、6人がなくなり、10人が怪我をし、そして60人が行方不明となっています。これは、日本のマスメディアでは報道されない、政府が発表した数字です。そして政治的にも司法的にも、誰または何がそれぞれ原因または原因を引き起こした責任者なのか、ということを調べるための、なんの調査も行われません。


3、フクシマでの放射能測定値が不正操作されていることを取り上げた。「表面の土をまず掘り返して両側に積み上げ、それから測定地点を何度も水で洗い流します。」それからガイガーカウンターのスイッチを入れるのだそうだ。そうすれば計測器はほとんどなんの数値も出しはしない。


1に関しては、テレビで3号機が爆発したという報道に接して我々一般日本人は事故の深刻さを知ったはずだ。上杉氏のいっている意味が全く理解できない。

2の数値も全く初耳だ。これだけの数値であればどこかの煽り週刊誌が取り上げたはず。ただ12万人が被曝したというのは上杉氏に珍しく極端に少ない数字だ。正確には「数千万人規模で被曝した」というべきだ。東北関東全域に放射線の影響が及んだのだから。ただし、低濃度汚染のため、福島の避難民を含めて健康被害が報告されていないとすべきだろう。

3の線量検査に対する上杉氏の疑念には笑ってしまう。こんなマドロッコしい方法を定期的にするのだろうか。土をそのまま放置しておけば、市民が不審に思うし、それを気付かれないようにまた土を戻すのだろうか。

上杉氏の嘘・捏造はこれに留まらない。日本で相手にされなくなったからといって海外に煽りの活路を見出さないで欲しい。自分も含めて世の中役に立たない人間は多いだろうが、少なくとも害毒をまき散らすことを良しとしない理性を持ちたいものだ。

ところでこうした上杉氏の煽りへの疑念は相当一般的になってきたようだ。かつての盟友江川紹子さんのTwitterでもそんな彼の軽はずみな言動に不信感を示している。さらにネット上ではその批判は花盛りだ。タイトルを「盛況中」としたのは実は逆の意味でした!?


*誰かが指摘してたけど、信者だけ騙してメマガで稼ぐビジネスモデルなんだろうね。だとしたらこれからもデマ発信は止まらない。彼にとっては単なる飯の種だから


*ここまで来ると上杉氏は虚言癖を伴う精神疾患の可能性が高い。周囲が精神科に連れていって診察させたほうがいいのでは。


*え、え、え、もう酷いとか言うレベルでは・・・。上杉さんの「仮想日本」を国外で話さないで欲しい。誰か、この方の口を縫いつけてください・・・


*江川紹子さんがズバリ聞いてるようなことを、お仲間だったりお友達だったりがきちんとやってくれればいいんだけど、そういうのが無いからあの界隈は信用する気になれない


*自由報道協会のメンバーはこのまま放置プレーを続けると、メンバー自身が上杉氏と同類とみなされると思わないのだろうか?


などなど、その声のかまびすしいこと際限がない。各々の声が痛快ながらも核心を突いている。原発事故から1年以上経ってネットの様相も徐々に変化してきたようだ。事故直後の反原発のおどろおどろしい「証言」は、もはや神通力をなくしていると思う。これからもっと事実に裏打ちされた冷静な原発論議が行なわれていくものと信じたい。



帰村1ヶ月後の川内村

2012-04-26 09:49:34 | 福島への思い

福島県川内村に役場機能が戻ってきて1ヶ月。NHKのクローズアップ現代(25日)でその後の様子を伝えていた。人口約3,000人のうち戻ってきたのは500人強、6分の1程度だ。

特に児童の帰還は少なく小学校では114人のうち16人に過ぎない。同学年で唯一戻った一人の少女のことが紹介されていたが、その家族は子供二人の希望で戻ってきたという。

今回戻った少女は「自分の家がある。自然もきれいだから」と率直に答えていた。親の心配をよそに本当は子供たちは故郷に帰りたい気持ちが強いのではないかと想像する。川内村は元警戒区域のなかでも線量の低く除染も進み生活レベルではほとんど心配ない環境だ。だがまだまだ親の不安はなかなか解消されない。

しかし実際村の再生で問題になるのは、生活圏の機能と雇用の劣悪であろう。生活圏の機能として商業施設がほとんど再開されていないこともあるが、病院関係も深刻だ。病気を患った中年男性は以前、沿岸部の病院に通っていたが、そこは原発事故で閉鎖されたままだ。50キロ先の郡山まで2時間かけて妻の運転で苦労して通院せざるを得ない。

さらに雇用の確保が一番の緊急課題だ。先の少女の母親は、事故以前に勤めていた地元の養鶏場に再開の動きがあるのを当てにしていたが、突然解雇通知をうけた。結局養鶏場は小売り先が確保できず、再開を断念したという。「小売り先の確保」の難しさはおそらく「川内村の卵」というイメージが響いているのだろう。風評被害を恐れる厳しい現実がある。

川内村には原発関連の仕事に関わっていた人が400以上いるという。これら大半の雇用が失われた現在、新たに企業誘致を計る必要がある。だが、村が人件費一部補償や施設の無償提供などを申し入れてもなかなか応じる所はない。村がいくら努力しても限界がある。こうした企業誘致は国や県がもっと率先して進めるべきだろう。

また農業の存続も不確かだ。今年は米の作付けを行政指導で自粛したが、試験栽培では来年後の農業に希望が持てないという農民の不満は強い。その間、農業を放棄する人もでてくれば、水路の管理や畦の維持んも支障が出てくる。村の3分の1をしめる農家の危機感は想像以上だ。

しかし、そんな村が直面している厳しい環境にもめげず、遠藤雄幸村長の「再生への強い意思」には励まされる。番組の最後は村長の決意で締めくくられた。

行政が先頭に立って取り組むことで、除染、雇用、福祉などを目に見える形でサービスが提供できる。復興の最前線でその役割をはたすかどうかが、これから帰還を進めている他の町村の試金石になる。……ふるさとへ帰るのは理屈じゃない。DNAとしてインプットされている。

これからも川内村には多くの困難が待ち構えることだろう。しかし村長は始めとした村民がその濃密な「故郷DNA」で力強く復興へ向けて突き進んでいくことを期待したい。