翁長雄志沖縄県知事は21日ジュネーブの国連人権理知会で演説し、辺野古移設問題を沖縄の人権問題として見なして移設反対を訴えた。
わずか2分の演説だったが、その内容は日頃知事が主張する「銃剣とブルドーダー」に象徴される米国の統治時代からの過酷な状況を強調し沖縄県民は常に被害者だったという立場のものだ。「国土の0.6%の土地に米軍専用施設が現在も74%が集中する」という極めて誤解を生むフレーズを臆面もなく使っている。(自衛隊との共同使用を含めた米軍施設全体でみれば、沖縄23%で北海道に次いで2位)
相変わらず翁長知事には日本の国防という視点が見られず「人権」という極めて漠然とし情緒的な言葉だけで基地反対を訴えている。これでは国連の人権理事会も面食らうことだろう。それも非政府組織の団体が主張するのならともかく、プロの政治家の口から発せられるのが異常である。普段は翁長知事の応援団を自認する沖縄の県紙も、翁長演説に対して他国の理事会出席者の関心は極めて低かったことを認めている。
理事会に居合わせたジュネーブの日本政府の女性代表もすぐさま反論し、「日本の平和と安全を確保することが何より重要だ」と強調。長い時間をかけて辺野古移設を検討し沖縄県と合意した経緯を明らかにし、今後も県民に説明し、法に則して解決していくと語った、という。
政府代表の説明は極めて現実をわきまえた具体的なもので翁長知事の情緒論とは対照的だった。それ以上に翁長演説に強烈なカウンターパンチを浴びせた女性がいた。いまや「沖縄のジャンヌ・ダルク」と称せられる我那覇真子さん(26)だ。偏向報道が現在特に問題視されている沖縄県紙2紙、沖縄タイムズ琉球新報を正す県民・国民の会の代表だ。この若い女性活動家がこれら県紙を中心とした左翼系メディアが支配する閉鎖的な言論空間を打破すべく孤軍奮闘している。彼女のことは自分自身2年前から注目していたが、その活動が日本の著名な保守系ジャーナリストから強い支持を受けつつあるのは何よりだ。
翁長演説の翌日22日に彼女は同じ国連人権理事会で知事の主張を真っ向から否定するスピーチをしたのだ、しかも英語で。その内容が動画でアップされ日本語訳も出ている。
昨日皆様は、現に日本の不可分の一部である沖縄県民が、日本政府及び米軍によって抑圧される少数民族だ、という話をお聞きになったことと存じます。
これ程事実からかけ離れた事はありません。私は沖縄で生まれ育ちましたが、日本の一部として私達は最高水準の人権、教育、福祉、衛生及び生活の質を享受しております。
その一方で、支那は概して人権に対するばかりか、同地域の安全保障及び日本に対する脅威ですが、その国が沖縄の選挙で選ばれた議員やその支援者に「自分達は先住民族である」と言わせて、独立運動を煽動しているのです。
私達は先住民族ではありません。どうかプロパガンダを信じないで下さい。石垣市議会の砥板芳行(といたよしゆき)氏からのメッセージです。「現知事は無責任にも、日本とアジア太平洋地域の安全保障における米軍基地の役割を無視しています。知事は状況を捻じ曲げて伝えています」
「重要な事は知事や国連の皆様が、東シナ海及び南シナ海において支那が引き起こしている深刻な問題を認識することです」。有難うございました。
ここで沖縄県民が先住の少数民族だと主張したのは翁長知事自身ではない。これは翁長知事を支援する左翼系NGOの発言であり、理事会で彼女の前にスピーチしている。したがって、我那覇さんのスピーチは翁長知事とその支援団体両方への反論といえる。
しかし、翁長知事の「人権侵害論」に対しては彼女自身が真実とはかけ離れていて「日本の一部として最高の人権等を享受している」と完全否定している。あるいは石垣市議のメッセージを引用して、翁長知事が中国による周辺諸国への深刻な膨張行為には無関心な一方、日本の防衛に不可欠な米軍の存在を無視していることを強く批判している。
つまり、彼女は「人権」を盾に基地反対を国連の場で展開する翁長知事を「無責任」だと痛烈に批判しているのだ。しかも、沖縄県民で名護市民の彼女が唱えているところが重要だ。実際名護でも辺野古の住民の大多数は移設を容認している。したがって、日頃翁長知事が「移設反対が沖縄の民意」と主張していることには疑ってかかる必要がある。
ただ、なかなか地元住民は沖縄の閉鎖的な言論空間の中では言いたいことが言えない。その点で彼女の言動はとても勇気がいるものであり、まして国連の場で堂々と発言することには敬意を表したい。今後も沖縄のジャンヌ・ダルクとして沖縄の呪縛を断ち切るべく邁進する快刀乱麻の活躍を期待したい。