最近、厚生労働省は放射線基準を見直してそれに伴い食品規制値もこれまでの暫定基準値よりも厳しくする方向だという。したがって食品キロ当たりセシウム500ベクレルの基準はもっと下げられる可能性は高い。
すでに学校の給食では自治体レベルで「ウクライナモデル」と称しては非常に厳しい基準で実施されているところもあるようだ。例によって一部のメディアは政府の「対応の緩慢」を批判している。しかしよくよくネットで調べてみると政府が決めた暫定基準にしても決して緩くはない、EUと比較すると政府がEUの数字をそっくり採用したと思われる(表1)。もちろんEUの数字は緊急時のものではなく「平時」のものである。中にはアメリカなど日本より全般的に高い国ががあるくらいだ。
またウクライナやベラルーシを比較し日本は緩すぎると批判する人がいるが、これら2国が数値が厳しくなったのは事故後数年経ってからである。特に1991年はソ連が崩壊して連邦内の共和国が独立して各々の国が政策を独自にとり始めた頃だ。それ以前の基準値は現在の日本と比較して厳しいわけではない。ウクライナのデータはネットでは見つからなかったがベラルーシのデータがある(表2)。86年事故当時飲料水はセシウム137がリットル370ベクレルだ。これは今の日本200ベクレルより高い。牛肉に至ってはキロ3700ベクレルである。
日本は今暫定として算出している。これは緊急時での数字であって、事故が収拾しつつあるこれからは新たな数値が検討されることなる。自治体が何か先走って基準を厳しくするのも、逆に一般国民に混乱を与えることにならないか疑問にさえ思えるがどうだろうか。
*仙台市在住の「放射線が目にしみる」さんのサイトを参考にさせていただきました。表1、2ともこのサイトからのものだ。氏の放射線に対する厳正な見識には感服します。