86歳のおばあさん、元気なのはいいが、温暖な沖縄でもっとまともな老後を過ごされたらどうかと他人事ながら思う。この老婆、辺野古で埋立て本体工事が始められたことに抗議して陸側のキャンプシュワブゲート前で体を張って工事車両進入に抵抗した。
結局、これを排除しようとする警察官によって阻止されたが、沖縄の新聞はこれを埋立て工事を強行する国への県民の怒りの象徴のごとく持ち上げている。実はこの老婆、昨年来同じゲート前で抗議の座り込みを続ける「常連さん」で以前にも大騒ぎして警察のご厄介になった経歴の持ち主である。
辺野古には埋立て工事に反対する活動家は300人程度で、よく言われることだが、地元住民は全くいってよいほどいない。県内外の官公労の組合員やOBそしてプロ市民と言われる左翼活動家たちである。そしてこれを支援する組合組織などから潤沢な資金を提供されているのは公然たる事実である。先のおばあさんもその同類と見てまちがないないであろう。
今月13日に翁長雄志沖縄県知事が辺野古埋立て承認の取り消しを決めたが、政府側がすぐさまこの効力を停止する処置をとったばかりか、知事のこうした権限も奪う代執行の手続きも着手した。この政府の対応に対して翁長知事側は「激しい怒り」を示し、取り消しの撤回勧告には一切応じない態度だ。
一見、沖縄県民もこの知事同様、政府の処置には強い反発があるようにみえる。確かに、辺野古で移設反対の座り込みをしている活動家が「これでは植民地扱い」(朝日新聞記事)だと憤っているものの、一般の沖縄県民は意外なほど県反応は鈍い。
本気で政府に怒っているのならば、県民が大挙して辺野古に押し寄せ移設工事反対県民大集会を盛大に行うはずなのにそんな動きもない。知事の立場に賛同する人々によって、県庁前で知事支援デモがわき起こっても不思議ではないがそれもない。
要するに、県民は政府と沖縄県の対立を冷めた目で見ているのではないか。むしろ翁長知事の手法に違和感を覚えている節が見受けられる。県内の新聞やメディアが翁長知事に同情的な報道ばかりしているので県民は閉鎖的な言論空間であまり本音が言えないが、現在の沖縄の冷めた様子でそれが窺える。
むしろ、南シナ海で岩礁を強引に埋立てをしている中国に漠然とした不安を感じているのではないか。中国による埋立ての面積は辺野古の5倍にもなるという。それを短期間で埋めて軍事基地をつくろうとしている中国に対して、米国がイージス駆逐艦を埋立ての島に進入して対抗しようとしている。
そんな周辺の緊張状態に沖縄県民も決して安穏とはしていられないはずだ。それを考えたら、辺野古で抗議の座り込みをしているあのおばあさんたちは異常としかいいようがない。というより、完全なピエロ、さらに悪く言えば中国に回し者といってもよい。そして県庁で「沖縄の民意」をことさら強調して政府に反抗してい県庁の主も…。