粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

武田教授「三重警告ブログ」その後

2012-05-03 09:27:54 | 煽りの達人

武田邦彦中部大学教授がブログで「三重県では3年4ケ月後住めなくなる」というトンデモ警告を発して、それが物議をかもした。自分でも取り上げたが(4/28)、教授へも直接批判のメールが届いているようだ。そこで教授はその批判に答えるブログをアップしていた。しかしその内容はとても「科学的」とはいえず、自分からみると全くいってよいほど答えにはなっていない。

それを論ずる前に、先の教授のブログに付いて是非触れておきたいことがある。それは教授が何の釈明もなく数値を書き換えたことだ。現在掲載されている問題の箇所はこうだ。

データの詳細は別にして、昨年の9月頃より三重県の放射線量はわずかならが上がっていて、一次方程式(y=ax+b)で書けば、今年の1月から3月までの平均がb(つまりおおよその最初の状態)が毎時0.10マイクルシーベルト、a(変化)が0.0004(マイクロシーベルト/日)です。

しかし当初「変化」の数値は「0.004」であった。それがいつの間にか一桁違っていた。教授がある時期書き換えたのだが、自分自身記憶に自信がなく最初から「0.0004」だったのかと勘違いして、自分のブログで「お詫び」の追記さえしてしまった。しかし活字で教授は訂正できても、添付の音声はしっかりと「0.004」のまま残っていた。またこのブログを早期に取り上げた他者のブログでも確かに「0.004」と表記されている。

そして今度の「反論ブログ」である。文中に前回の数値のお詫びが一筆でもあるのかと探したが、どこにもなくもちろん新たな添付の音声にもない。教授の秘かな訂正を真に受けて「お詫び」を追記するのは、正直自分自身「間抜け」な話だが、「追記」をいれることで自分なりの「誠意」は示そうとしたつもりだ。しかし教授にはその「誠意」が感じられない。これは以前の世田谷放射線騒動でも教授の姑息な対応をみれば、当然かも知れない。

ところで今回の反論ブログだが、冒頭で書いたように全く「科学的」でなくますます疑問が残る内容だ。というより全体の文脈が非論理的で何を言っているのかよくわからない。いちいちケチをつけるのも難渋する。

ただいくつか指摘しておこう。まず「被爆」の表記だ。原爆も原発も全て「被爆」としている。いうまでもなく、原発の放射線は「被曝」である。急いでブログを書き込んだために気がつかなかったのだろうか。(自分自身今回のような失態を繰り返さないためにも、しっかり教授の文面をテキスト保存した。)原発問題のエキスパートを自負する教授に対してそれだけで不信感をもってしまう。

次に教授は「2015年3月31日というのが科学的であることを一応、説明しておきます」とし、その説明5ではこう記している。

5) 今回が第一回の試算なので、誤差は大きいが、多くの人が線量率を測定すれば、誤差は少しずつ小さくなる。

要は「一人のデータでは、正確ではないからもっと多くの人のデータを集めて検討しよう」と教授本人が勧めているのだ。これでは一人のデータだけで「2015年が3月31日というのが科学的」とはとてもいえず、矛盾している。

そして極めつけが教授の音声の最後の部分だ。

三重県内の危険性について「3年後というとすぐですが、それが30年後になってもいいです。3年後も30年後も変わりません」とまで言っている。どこに「3年4ヶ月後に住めなくなる」ことの科学的根拠があるのかさっぱりわからない。これが学者の言葉には到底思えない。

ちなみに三重県のホームページでモニタリングポストの数値を見てみた。昨年9月から今年3月に入っても線量は平均して0.045マイクロシーベルト/時あたりを維持している。全く変化の兆候はみられない。


追記:なんとまた武田教授、「三重警告ブログ」の表記を変更してきた。「変化」以下の部分だ。

a(変化)が0.0004((マイクロシーベルト/時)/日)です。

新たに「/時)」が加わったわけだ。まさか私の指摘を受けて新たな変更を加えたわけでもないと思うが、この表記が一番誤解がなく正確だ。もちろん教授の一筆もなく、こっそり書き換えられている。教授のアラを探しているつもりはないが、困った人だと思う。