粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

石原都知事の首相叱責

2012-02-29 11:28:53 | ガレキ広域処理問題

本日29日産經新聞の記事

「がれきの処理は一種の戦。総司令官の総理大臣がなんで大きな号令を出さないのか」。東京都の石原慎太郎知事は28日の都議会本会議での答弁で、がれきの広域処理が進まない実態について、野田佳彦首相をこう批判した。

 石原氏は「被災地の懸命な努力をよそに、政府は致命的にスピード感を欠いている」と指摘。「拒んでうろうろしている地方自治体の首長を叱責して、処理を促すのがあるべき政治家の姿だ」と強調した。都は平成25年度末までに50万トンのがれきを受け入れる方針を打ち出している。

 福島県の観光地が放射性物質についての風評被害に苦しんでいることにも触れ、「次の関東知事会を(同県の)裏磐梯あたりで開催してはどうかと提案するつもりだ」と述べた。

相変わらずの「石原節」炸裂だ。ガレキの広域処理は現在のところ自治体の独自の裁量に委ねられている。しかし全国で受け入れを表明している自治体は少なからずあったが、実際に東北地方以外でガレキ処理を実施しているのは東京都だけである。石原知事がそうした現状に苛立を露にしたのが今回の答弁だ。何度もブログで書いたが、これは一自治体の「善意」で考える問題ではない。かならずこれに異をとなえる「住民」の反対運動がおこる。その多くが放射能の恐怖を煽るだけで実態を無視した理不尽なものばかりだ。

そうした運動に惑わされて、最初は受け入れに積極的だったが、態度を豹変した神奈川県の市長がいる。石原知事がいう「拒んでうろうろしている地方自治体の首長」の典型だろう。幕末にペリーが黒船で開国を迫り、右往左往したのもちょうどこの都市であった。

やはり石原知事がいうようにこのガレキ広域処理の問題は、政府が先導して解決すべきことだろう。それも強力かつ迅速に推し進めるべきだ。ある種強引ともいうべき姿勢も必要だ。そのためには黒岩神奈川県知事も指摘するように拘束力のある法律の整備も肝心だ。これに従わない自治体には罰則規定を設けるくらいのものがあってよいあろう。要はこの問題が震災復興のためには最重要課題の一つだということを、首相自らが身をもって国民に知らしめることだ。

最後に関東知事会を福島の裏磐梯あたりで開催することを石原知事が提案しているが、これは大賛成だ。福島マラソン開催の動きも地元自治体や民間の活動家によって進められている。今後日本でのサミット開催の候補地とか、国際会議の会場として福島を積極的に指定して欲しいものだ。


住民説明会の模様はビデオで徹底公開を

2012-02-28 00:05:21 | ガレキ広域処理問題

これまで度々取り上げたガレキの広域処理問題。特に神奈川県の場合、最終処分場がある横須賀市の住民ばかりか、市長まで反対の姿勢を示し、困難に直面している。そんな中、この騒動の一つの真相というべき一面を垣間みるニュースがあった。やや旧聞に属するが、神奈川新聞2月21日付けの記事だ。


がれき」番組、県HPから削除/神奈川 

県は21日、がれき受け入れ問題をテーマに制作されたテレビ番組を 県ホームページ(HP)から削除した。面会した吉田雄人横須賀市長から 「反対の大きな声を上げているのは一部の活動家とみられる人たちであり、 地元には誤解されると困るという人もいる」と伝えられ、黒岩祐治知事が 削除を指示した。 

番組は県の企画・提供でtvkが制作した「復興2012かながわの苦悩~ 震災がれき受け入れを考える」。知事が被災地を視察した際の映像のほか、 県最終処分場がある横須賀市で開催した対話集会の様子などを収録。 会場で受け入れ反対を大声で叫ぶ参加者の姿などが映っていた。

 12日に放映された後、県HPで視聴可能だった。 知事は「どの人が地元の人なのか分からないが、誤解を与えるようなら、 ただちにHPから降ろすという決断をした」と述べた。


要は県のガレキ問題の取り組みを収めた公開ビデオのうち「横須賀住民説明会の模様だけは、問題があるから削除してくれ」と吉田横須賀市長に言われて黒岩神奈川県知事が了承したということだ。問題は集会には住民とは関係ない「一部活動家が大声で叫んだ(騒いだ)事実を市長が認めた」ことだ。つまり自分がしばしばブログで問題にしている「プロ市民の関与」である。「大声で叫ぶことで穏便に進行すべき集会を混乱させる」いわば圧力団体である。それによって彼ら独自の反原発思想を実行しようという意図があるのだ。

したがって、「彼らと一緒に見られたくはない」という住民の気持ちはある面理解できる。しかしこれらプロ市民と住民は完全に一線を画しているといえるのだろうか。完全にそうであったら、集会でプロ市民の不干渉あるいは退去を住民みずから申し出ても不思議でない。しかし現実はそうではなかった。したがって住民とプロ市民との間にはなんらかの「協議」があったのではないかと勘ぐりたくなる。悪く言えば事前につるんでいた可能性がある。

ただ住民全てがそれに関与したとは思えない。住民でもプロ市民に共鳴している一部の先鋭的な人間(すでにプロ市民に感化されている)がいたのではないかと推測される。しがって実際の集会の核心は、こうしたプロ市民と先鋭化した住民の共同行動といってよいのではないか。そして集会に参加した住民の多くが、これら過激な行動に誘導されていったというのが真相だろう。

集会のビデオをみれば騒いでいる人間が誰かがわかるはずだ。しかし「住民の要望」で市長が集会部分を削除するように県に要求したため、結局その肝心なところが有耶無耶になってしまった。

だからこうした公開ビデオは、住民説明会の正当性を確保するためには絶対必要である。よく住民が当局側の透明性を要求するが、同時に住民の透明性もなされなければならないと考える。そうでなければ「住民の総意」などとお世辞にも言えないはずだ。

東京新聞は市民の意思は重いと論評しているが、「重苦しい」というのが正しいだろう。そして横須賀市長の決定はあまりにも「軽い」といえるのではないか。


おしどりマコと夫婦漫才

2012-02-27 00:09:13 | 煽り週刊誌

昨日取り上げた文春の特集はやっぱり記者の煽りと暴走の色が濃い。記事に登場する内科医が抗議したからだ。ここではその後追いをする気はない。ただ記事を書いた「おしどりマコ」なる女性芸人に興味が湧いた。

漫才師にして自由報道協会理事という奇妙なキャリア、どうやら接点は国立大学医学部中退という経歴にあるようだ。夫婦漫才をやりながらも、原発事故での放射能汚染に触発されたのかも知れない。それも自由報道協会理事に名を連ねるぐらいだから「感化度」は尋常ではない。なまじっか医学部で学んだことが影響している。

彼女の動画をみると、自由報道協会理事の立場から東電や細野原発担当大臣に質問するものが多い。しかし本業?の漫才の動画がなかなか見つからない。グーグル3ページ目にやっと見つかった。夫婦漫才といってもやっていることは曲芸、いわゆる色物だ。彼女がアコーディオンを演奏しながら進行役をつとめ、相方である夫がそれにあわせて針金を動かしながらいろいろな物をつくっていくパフォーマンスだ。

正直言って、あまり面白くない。曲芸の鮮やかさもない。場所は福島の放送局のようだが、被災地の人に元気を与えたいという言葉とは裏腹に、見ててとても元気にならない。失礼だが素人の隠し芸の域を出ていないようだ。これでは夫婦曲芸にもならないし、夫婦漫才にもならない。ボケとツッコミがなく、間延びした感じがする。その限界を意識して、異色のジャーナリストとして執筆業の華々しいスタートに、この文春の特集をもってきたのだろうか。しかしその結果はこの通り芳しいものではなかった。

この際何かと問題の多い協会から足を洗って、夫婦漫才に全力投球して欲しい。夫婦漫才といえば大阪では古くは南都雄二とミヤコ蝶々、そして鳳啓介と京唄子といった名人芸の伝統がある。夫(元夫)がボケで妻がツッコミだが、最近の宮川大助・花子ではそれが逆転している。キワモノとしては敏江・玲児の「ぶっ飛ばし漫才」があった。なぜか敏江という妻の名前が先にきているのが不思議だが、自分は全盛時のこの夫婦漫才が大好きだった。

おしどりマコの芸名は、コンビ名「おしどり」から来ている。曲芸も今イチ、話芸も今イチであるが、もしかしたら敏江・玲児流の体当りパフォーマンズで活路を見いだせるかもしれない。AKBの歌をアコーディオンで奏でながら、夫が不意打ちでマコを突き倒す。寝転びながら今度は「マルマルモリモリ」を演奏する、なんていうのはどうだろうか。

あるいはぴんからトリオのように、ぱっとしない漫才師ながらも演歌で大ヒットさせるのも夢とはいえない。おしどりマコ自身作詞もしているようだが、アコーディオンを三味線風?に弾きながら夫婦曲「おしどりじょんがら」なんて歌を歌うのも面白いかもしれない。吉田兄弟や長山洋子が友情出演すればヒットは堅い?

 


文春に煽りは似合わない

2012-02-26 00:10:01 | 煽り週刊誌

昨年のうちに週刊誌の煽りが終わったと思ったら、こんな時期にこともあろうに週刊文春が煽り記事を出してきた。3月1日号(380円)を買って読んでみた。特集「郡山4歳児と7歳児に甲状腺癌の疑い」(一部抜粋)がそれだ。郡山から北海道に自主避難してきた親子309名(うち子供139名)を対象に地元の内科医がボランティアで甲状腺の超音波検査(エコー検査)した。すると冒頭の見出しのように「7歳の女児に喉の部分にある甲状腺に8ミリの結節(しこり)が、4歳男児に10ミリと4ミリの結節が、石灰化を伴ってみられた」という。その医師は「児童にはほとんどみられない。癌細胞に近い。二次検査が必要です。」と「警告」した。

その後もこの記者の「懸念」が続く。普通は児童に見られない結節が2例も見つかるのは、「原発事故の影響」ではないかと。女児の母親は2歳の妹も同じ検査で2ミリの結節が見られたことで一層不安を募らせている。昨年6月の自主避難の際、夫ともめて離婚した上に、将来甲状腺癌で娘が苦しむことはないかと親子で悲嘆にくれているという。

これだけ読むといかにも放射能の恐怖が高まり、原発事故許すまじの気になる。ただ、この記者が例の自由報道協会理事というところがひっかかった。この特集に関してネット上で議論されていないか検索してみたら、あるサイトが目に入った。

それによると、児童に結節が見られるのは決してあり得ないことではなく、これまで児童がエコー検査をあまりしてないだけの話だ。原発事故に関係なく幼児の結節は珍しくないとあった。

もし結節が見つかったら、2次検査として、血液検査で甲状腺癌やより軽度の甲状腺腫の病状を調べることが出来る。そこで「良性」となれば特別今心配することはない。良性であることは、甲状腺癌の症状が出ていない証拠であるといってよい。実は問題の女児はその後血液検査をして「良性」と見なされているから、余り心配しなくてのよいと思うのだが、不安は消えないようだ。

自分自身、こうした医学のことは全くのド素人で、これに論評を加えることは困難だ。ただこの記者が福島の避難民だけの結果で原発の影響を云々するのはどうか。たとえば札幌の親子と比較せねば、意味がないと素朴に思う。それに血液検査で良性となっているのに「甲状腺癌の疑い」とは飛躍しすぎではないか。自主避難のこの親子をまるで「悲劇の親子」のように書き立てるのには違和感を覚える。普通なら「そんなに不安になることないのでないか」となだめるべきなのに、トーンは放射能の恐怖へ持っていこうとする意図がありありだ。

福島県の「健康管理調査検討委員会」の座長を務める山下俊一福島医科大学副学長に対しては当然ながら批判的だ。「3年かけて18歳以下の県民の甲状腺を検査する」のは、遅速で危険性を放置し無責任だとする論調だ。しかしエコー検査、血液検査、細胞検査と精度を高めていく手順は格別非難されるべきいわれはない。18歳以下の全ての福島県民を3年かけて検査する」ことも、早くても4,5年で発症する甲状腺癌の性質(発症後の経過はゆっくりで極度の悪化も少ない)からいって別段遅速の批判は当たらない。山下氏から問題の医師へは「独自の検査は遠慮してください。」といわれたというが、福島県が避難民を含めて無料で検査していることを考えると、言葉尻はともかくとして、県外の医師にとやかく言われたくない心情は理解できる。実際、県の最初のエコー検査で3,465人中26人が結節等の異常が見られたが、2次検査で全て良性だと判明したという。避難民どころか地元住民も児童を含めて原発事故の影響は皆無といってよい現状だ。

文春の煽り記事はもうひとつあった。「セシウムスギ花粉が放射性物質を日本に拡散する」なる記事だ。読んでみるとあっけにとられた。最大キロ25万ベクレルのスギの雄花は、濃度的には花粉も一緒でその飛来が心配されているという。しかし林野庁の話だと、たとえこの濃度の花粉が住宅地に届いても、呼吸による被曝の放射線量は毎時0.000195マイクロシーベルトで、シーズン全体でも累計で0.000553ミリシーベルトの被曝で超微量である。(筆者自身も文中で認めている。)原発に近い最高値でこの数字だから、首都圏では濃度は30分の1に過ぎない。記者はそれでも服に花粉がかかったりしたら危ないのでないかと、山内和也神戸大学教授のコメントを載せているが、果たしてこの微量でどんなもんだろうと思ってしまう。「苦しいときの山内頼み」にしか見えない。

というわけで文春の記事は、自分からすると煽り以外の何ものでもないように思える。花田編集長の頃は硬派で読み応えがあったが、最近の文春はこうした煽り記事と芸能界のゴシップばかりだ。煽りはアエラやサンデー毎日、東京新聞くらいでいい。芸能記事はそれこそ「アサ芸」で充分だ。ただ今週号で一つ感心したグラビア写真があった。韓国と北朝鮮での南北の違いを、同種の施設や同年代の人々の各写真を配置することで際立たせていた。そのなかで女子学生の比較があった。北朝鮮の女学生が無理して笑顔を繕っているのがありありとわかるのに、韓国の皆が好き勝手にポーズをとり自然な笑顔で自己主張を楽しんでいる。デフォルメの感もあるが、同じ民族で体制の違いでこんなに差がでてしまうのかと驚く。文春はもっとこんなハッとさせるような企画を増やしてもらいたいと願うばかりだ。文春に煽りは似合わない。


米朝協議と北朝鮮の国内事情

2012-02-25 08:15:05 | 厄介な隣国

北朝鮮の核開発をめぐって米朝が北京で高官協議を2日間協議をしたが、大きな進展はなかったようだ。アメリカはウラン濃縮の停止や監視団の派遣の見返りに、24万トンの栄養食支援を約束していたが、取引が成立しなかった。

栄養食品とは具体的にはビスケットの類いらしいが、北朝鮮はもっと違うものを欲しているようだ。どうもこれには4月に行なわれる金日成生誕100年の盛大な祝典行事が関係している。国のトップに昇った若き首領様金正恩が、祝典にあわせて国民に配給する食料がビスケットでは「見栄えが悪い」らしい。これだと外国製で援助品だと国民に知れてしまう。もっと米などの「普通の食料」を欲しく、しかも30万トンに増量して欲しいということだ。

要するに、急に国のトップに上がった金王朝の三男が、国民に自分の体面を誇示したくて、見栄えのする食料が欲しいだけなのだ。しかし昨今の北朝鮮の孤立化と農業政策の失敗で、そんな食糧調達もままならない。

国連によれば、北朝鮮は今年74万トンの食糧が不足するが、輸入できるのが32万トンで41万トンが調達できないという。国民の300万人に援助が必要だとしている。ただし国民の主食はいまや家畜用トウモロコシで、その分41万トンを輸入するなら88億円程度で済むようだ。ミサイル開発に回す予算があるのなら、そんな資金は微々たるものだ。

見栄えのある食糧を援助して、一時的に核開発を中止しても、それがどれほどの意味があるのか、それは過去の北朝鮮の対応を見ればわかるはずだ。北朝鮮は決して核開発を自主的に撤廃することはあり得ない。