粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

中国外相の国連演説は国民向け

2012-09-30 12:00:33 | 厄介な隣国

27日国連での揚外相の演説は、日本を名指しで批判し、「日本が尖閣諸島を盗んだ」という露骨な表現で自国の正当性を主張していた。前日、野田首相が「領土問題を国際法にもとづいて平和的に解決することは、国連憲章の精神にのっとっており、国際社会が共通して受け入れられる原則だ。」と述ベているのと比較して、熾烈さが際立っている。

たとえばこうだ。

「日清戦争末期に日本が中国から釣魚島を盗んだ歴史的事実は変えられない」

「反ファシスト戦争勝利の結果を公然と否定するもので、戦後国際秩序への重大な挑戦だ」

日中間の100年以上前の歴史を取り上げ、第二次大戦後の戦勝国による世界秩序を正当化する。その後、日本側の国連大使が反論し、さらに中国大使が再反論する。しかしこの2国間の論争は、他国にはあまり関心がなかったようで空席ばかりだった。他国は興ざめで白けていたことが明白だ。

なぜこれほどに中国は悪し様に日本を糾弾するのか。どうしてもこれは中国国民向けに発しているとしか思えない。中国での反日教育は特に近代史に顕著だ。その端緒が中国にとっては日清戦争なのだろう。そして抗日戦争による輝かしい勝利で締めくくられる。そこには共産党の栄光が重なっている。

従って、中国外相の演説は中国の「教科書」を朗読するようなもので、それにより中国国民に再確認させたといってよいだろう。中国の反日デモは押さえられたが、政府は日本に強い態度で対処しているというポーズともいえる。

想像するに、この日中双方国連演説をもって、尖閣諸島問題を両国が舌鋒鋭く主張を振りかざす時期は終わり、これからは水面下の正常化に徐々に向かっていくと思う。相互の主張は決して論争で解決できる者でない。だから双方がクールダウンを計るだろう。

外相演説の末尾ではこう結ばれている。「争いを解決する協議に戻るよう強く求める」とある。「協議に戻る」ことを求めているのが本心ではないか。



風評被害の極地、武田教授「まるごと博」反対呼びかけ

2012-09-29 07:35:45 | 煽りの達人

武田邦彦教授(中部大学)は中国の領海侵犯をまねたのだろうか。他人の領域(福島の元気をはかる試み)に土足ではいって、キャンペーンを張る。デモもけしかける。28日の緊急呼びかけ!福島市の「まるごと博」自重を求む。「自重」なんて婉曲な表現だが、もちろん「反対」呼びかけである。そのためには「会場前でデモをしてピケを張ってください」とまで煽動している。

まるごと博」は市と観光関係団体が企画したもので市内を「街なか」「湯の町」「自然たっぷり」の三つのゾーンに分け7地域の会場を設置、各会場で特産物や温泉、観光をPRし、お祭りやイベントをして盛り上げる。

期間は14年12月までと長期に及ぶが、主旨は原発事故のよる「風評被害を吹き飛ばし地域の魅力を季節ごとにPRする」ことだ。

武田教授が「癪にさわった」のは、ブログの冒頭にある通り、この「風評被害を吹き飛ばし」の言葉だろう。武田教授にとってはこの風評被害は忌み言葉であるばかりか、他人がこの言葉を使うと自分に批判が向けられているような錯覚すなわち被害妄想に陥るようだ。

また反対を求める理由は相変わらず、「被曝による影響(特に子供たち)が心配だから」というお決まり文句だ。今回特に具体的には2点をあげている。

1、甲状腺の異常が子供に見られる福島では「このような人たちを増やそうとしているのです」とまで主張する。

2、一般人の被曝限度は年間1ミリであり福島ではそれをこえる。「風評被害払拭」と称して他人を呼び寄せるのは違法だ。

そもそも武田教授は被曝が心配というのは誰の被曝を心配しているのかだ。おそらく2で「他人を呼び寄せる」とある通り、福島市外、一般的には福島県外の観光客を想定しているのではないか。

1の甲状腺云々は可能性として事故当時の放射性ヨウ素の内部被曝が、常識的に考えて主要因である。(自分はこの被曝は軽微で福島の子供にはまず影響はないと考えるがここではそれ以上はふれない。)だから観光客にこの甲状腺の心配など全く関係ない話だ。

2の年間被曝にしても、非日常的な観光で年間1ミリ被曝するなど常識的に考えてありえない。たとえば3日間福島に滞在したとする。福島市内で放射線が高いところでは毎時0.8マイクロシーベルトぐらいだ。しかし通常の生活圏では0.2マイクロシーベルト以下だ。10時間線量の高い野外にいたとしよう。そうすると1日に受ける被爆線量は0.8×10+0.2×14=10.8マイクロシーベルトだ。3日間では32.4マイクロシーベルトに過ぎない。観光客が福島を気に入り毎月イベントに訪れたとしても 年間で32.4×12=388.8マイクロシーベルト(0.3888ミリ)にしかならない。これは多く見積もった数字であり、しかも毎月必ず訪れる場合で実際は数分の1か、いや一桁少ないくらいだろう。教授のいう年間1ミリ(日常被曝は含まず)は「軽くクリアー」することになる。

まるごと博では「食べ歩き」も大事な要素だが、以前紹介したように福島でも検査によれば内部被曝は多い人で年間0.014ミリシーベルトであり、食べ歩きによる観光客の内部被曝など無視してよい数字だろう。

以上教授による「懸念材料」は全く「杞憂」といえる。それよりも問題なのは、教授は依然として福島を被曝で健康被害が心配な危険地域ととられている点だ。多くの反原発派にその傾向が高いが、自分は全くといってよいほど心配ないと考えている。

福島市の日常(線量の低い室内が長い)での外部被曝は高くてせいぜい毎時0.3マイクロシーベルト程度だろう。(実際はもっと低いだろうが)年間にして2.6ミリシーベルトぐらいで、これは世界の平均値(1.5ミリ)に許容1ミリを足した線量に近い。実際は世界でそれ以上の線量のところは多く、場所(ブラジル、インド、イランなどの一部区域)によっては10ミリ近いところもあるが、そこで健康被害が生じているという話は聞いたことがない。

それにしても教授の物言いは福島の人に対して、ひどく挑発的であり悪質だ。

「俺は傷ついたのだから、他人を傷つける」というのは善良な日本人がすることではありません。

傷つけているのは一体誰なのかと聞きたい。こうした悪質なデマで福島の人を傷つけているのは、教授たちあなた方ではないか。おそらく教授が「期待する」ピケもデモもないだろう。たとえそんな変わり者がいたとしても、軽蔑と嘲笑の対象にしかならないはずだ。

教授の結びは、「デマの絶叫」といったところだろうか。

私もこんなことを呼び掛けると、非難されますが、被曝して傷つく子供達の痛みを思うと、私などなんでもありません。法令を守る人をバッシングする人など、軽蔑するばかりです。一致団結して、子供を守りましょう!!

「私もこんな…非難されます」で終えればよかったのに、はっきり言ってそれ以下は「蛇足」です。


追記:本文ではイベント名を「まるごと博」と記述したが、正式名は「福島市こでらんに博」ですね。読売の記事を読んで一応記憶に残ってはいたのですが。

武田教授は読売の記事の見出しから勝手に「まるごと博」と呼んでいるだけで、自分もそれに「煽られて」しまった感じです。ミイラ取りがミイラに?グーグルで「まるごと博」を検索してビックリ、1ページの教授の次、2番目に自分のブログがヒットしていました。(汗)


安倍自民党の行方を握る二人の議員

2012-09-28 14:16:10 | 国内政治

疑問符がついた自民党総裁選挙、早速新総裁を揶揄する身内からのつぶやきで一騒ぎあった。徳島の自民党県議が「今度はいつ投げ出すんですか」と安倍新総裁の健康状態をツイッターで皮肉っていた。このアカウントはすぐ封鎖されたようだが、正直なところ党員でなくても、これは多くの国民の偽らざる心境だろう。

まさに安倍氏の唯一にして最大の弱点といえる。石破氏の怖い目と比べて、どちらが自民党の今後にハンディになるだろうか。ただ安倍氏は以前の首相時代にそれなりの実績は残している。教育基本法改正、防衛省昇格、国民投票法など特筆すべき法案を成立させている。安倍氏は持病を解消する画期的新楽が開発されたといっているが、それを信じて今後を期待したい。

持病以上に彼に立ちはだかる敵はなんといっても朝日新聞だろう。既に朝日では新総裁誕生に強い警戒心を社説を通じて示している。首相時代も朝日の反安倍キャンペーンは異常な執念を見せていた。安倍氏と朝日は全く水と油の関係であり、おそらく安倍新政権誕生には会社を挙げて抵抗するだろう。

ところで、幹事長に就任した石破氏は強力な懐刀をもっている。浜田靖一元防衛相と小泉進次郎議員だ。いわずと知れたハマコー、浜田幸一氏と小泉純一郎元首相の息子である。

浜田靖一氏は、防衛相時代をみても、父親とは正反対に「人格者」であり「良識的」に政務をこなした。性格はおふくろさん似だったようだ。その「意外性」は浜田議員の強力な武器ともなっている。小泉議員も父親の優れた発進力を引き継ぎながらも、現在的な洗練されたセンスをもっている。

総裁選挙では浜田議員は石破氏の片腕として行動し、小泉議員もずっと石破氏の政治姿勢には共鳴していたようだ。すでに浜田議員は国会対策委員長に内定しているようだし、小泉議員も青年局長として今後も党内外にアピールしていく方針だ。二人の存在そのものが2世議員のイメージを破壊するほどのパワーをもっている。おそらくこの2世議員の起用如何が今後の安倍自民党の行方に大きく影響すると思う。病気の新薬以上に効き目がある?


華のある横綱

2012-09-27 12:12:43 | スポーツ

日馬富士が晴れて70代横綱に!う~ん、ちょっと地味かな。せっかく白鵬との東西横綱が実現したのに今イチ今後の盛り上がりが気にかかる。破天荒で問題も多かった朝青龍だが、反面茶目っ気やサービス精神があり、土俵内外で話題を提供した。その点で朝青龍には華があり、自分自身大好きだった。だからその不本意な引退には割り切れないものを感じた。

今日朝のNHKでデーモン閣下が日馬富士について、その技量、人格を評価しながらも「華が足りない」ことを強調していた。あのサイケ顔で華といわれてもどんな華なのかわからないが、確かに彩りが欲しい。

そこで、自分自身相撲には門外漢ながら、日馬富士に全く勝手な提案をしたい。ともかく決め技で彼の代名詞になるようなものが欲しい。相撲とは全く関係ないがスケートなら、荒川静香のイナバウアー、浅田真央のトリプルアクセルが彼女たちの得意技とすぐ頭に浮かぶ。日馬富士も投げや倒しに磨きをかけて欲しい。そして命名は、出身国の英雄にちなんで「ジンギスカン投げ」とか「フビライ落とし」なんてどうだろう。早くテレビで「ジンギスカン投げが決まりました」といったアナウンサーの絶叫が聞きたい。

また古い話だが、かつて横綱輪島は「黄金の左腕」といわれ、それが彼の代名詞になっていた。モンゴルは希少金属の宝庫といわれている。日馬富士は左の指し手が決め手になると今朝デーモンがいっていたが、故国風にその左腕を「レアメタルアーム」なんて呼んではどうか。たぶん相撲ファンは花道からもどる彼の「レアメタルアーム」をご利益に触ろうとするかもしれない。

また相撲前の仕切りもひと工夫欲しい。これもまた少し古いが、水戸泉が塩を大量に土俵にまくパフォーマンスで場内を沸かせたことがあった。日馬富士もこれまた故国の移動式住居「パオ」にちなんで、塩まきもその屋根のごとく放物線を描く「パオまき」なんてどうか。まあ少し日本人にはピンとこないかもしれない。あの鍋のように単純に「ジンギスカンまき」でもいいだろう。

日馬富士は横綱の推挙に「全身全霊で相撲道に打ち込む」と答えた。しかしこれも少しありきたりの感じがする。ここは騎馬民族らしく「疾風怒濤で打ち込む」ぐらいの言葉が欲しい。「一騎当千のジンギスカン投げで疾風怒濤の連勝街道」なんてスポーツ記事が踊るだろう。

とはいっても、返す返す日本人横綱誕生が待たれる。いったい誰が?稀勢の里、琴奨菊…、早く朗報を聞きたい。その時の口上には「大和魂で相撲道に打ち込む」とか答えたりして。塩は「なでしこまき」、決まり技は「侍投げ」なんてね。悪ノリはこれくらいにしておきます。


オスプレイ配備と沖縄県民

2012-09-26 14:21:55 | 沖縄の虚像と実像

新型輸送機オスプレイが、早ければ今週28日にも岩国基地から沖縄普天間基地へ移送されるという。しかし、沖縄では今日26日も基地前に沖縄選出の国会議員、県内の市町村長や議員、さらに市民グループ300人が集まり抗議活動を続けている。

彼らは「オスプレイ配備反対」とともに、「普天間基地封鎖、返還」を叫んでいる。本土のメディアは特にオスプレイ配備ばかりを強調するが、沖縄では基地問題が根本にあることは間違いない。しかし基地封鎖そのものが、辺野古移転に沖縄側が反対して実現していないのが現状だ。そこに沖縄の自己矛盾がある。

もちろん沖縄の基地問題はそんな単純に割り切って考えるべきではない。底辺にある沖縄県民の心情を理解する必要がある。ただ今日の抗議にしても、もともと基地反対を信条とする議員と市民グループばかりだ。明後日にもオスプレイがやってくるというのに、この静けさは何だろう。普通の県民の動きがあまり見えてこない。

9月9日に行われたオスプレイ配備反対県民集会は主催者発表で10万人が集まったというが、実数は2万人前後ともいわれている。それも労働団体、市民グループ(それも県外からのものが少なくない)が多いようだ。したがって、実際の県民の本音は、メディアが伝える内容とは相当開きがある感じがする。

折も折、今尖閣諸島問題で日中間がかつてないほど険悪になっている。この影響を直に受けるのが沖縄だ。その防衛の要が日米安保条約を基軸にした現体制だ。考えようによっては、日本の実行支配で留まっているのはこの安保に基づく沖縄の基地があるためといえる。今後もこの体制を決して揺るがしてはならないと思う。