東京砂漠脱出計画~Ut på tur, aldri sur~

2009東京砂漠を脱出して富士山麓へ
2012息子の進学で都内へ舞い戻り
2016縁あってノルウェー移住

強い80歳

2019-03-26 10:51:32 | ノルウェー山暮らし fjellgård
義父はとても強い人です

見た目は普通でムキムキでも何でもないんですけれど
若い頃から力持ちだったそうで
いろんな伝説が残っています

子供のころは小学校が谷の向こう側にあったので
毎日森の中の急な坂道を谷底まで降りて(高低差およそ350m)
反対側の斜面を登って学校にたどり着く、ということを毎日していたらしく
今でもそのルートを軽々と歩きます


(遠くに見えるのが谷の反対側の集落)


(むかし小学校だった建物)

そんな屈強な義父ですが
先日、その勝手知ったる谷への下り坂で氷に足を取られて転んでしまいました

そのまま転がり落ちて途中で腰と肩と頭をしたたかに打って
しばし気を失ったのち目が覚めて
ニット帽がどこかへ吹っ飛んで顔面血だらけなのに気づき
やばい、死ぬかも、と思ったそうです

それでも立ち上がって吊り橋を渡り反対側の斜面を登り続けて
自力で集落までたどり着いて自力で帰宅
あちこち腫れていて痛いけど大丈夫だから病院にも行かないと宣言

でもいくら本人が大丈夫と言ってもそこは80歳です
義母も相方もわたしも心配して
翌日家族総出で病院へ連れて行くことに

まずは車で30分の最寄りの診療所へ
義父を診察した医師はすぐに

「肩の骨が折れている可能性が高いので病院に紹介書を書きます。
今から行ってレントゲンを撮ってもらってください」

さすがの義父もお医者さんの見立てに反論はできず
病院まで車で1時間半かけて行きました

大量のレントゲンと
CTで脳内出血の有無も確認した結果

「どこの骨も折れていません。ヒビも入っていません。脳も異常なしです。」

え…
谷底まで転がり落ちて気を失っていて打撲のみってこと?

腰の腫れがひどくて歩くのが大変だからということで
歩行用の杖を渡されて帰ることに
痛み止めも湿布薬も塗り薬も何もナシ

この骨の強さ
いや、鍛えられた筋肉が骨を守ったのか?
そしてきっと運も強い

後日、わたしと相方は装備を整えて
(スパイクを靴に装着、ロープとシャベル持参)
義父の転がり落ちた谷底へ彼の帽子を探しに行きました
数日前にまた雪が降ったのでシャベルで新雪をどかしながらの捜索


(同じ轍を踏まないよう急斜面はロープを使用)

いくら場所がある程度特定出来ているとはいえ
こんな一面真っ白な場所でグレーのニット帽1つを見つけられるのかと
わたしはやや懐疑的だったのですが
相方はシャーロックホームズよろしく倒木の真新しい折れ枝を目ざとく見つけては

「ここにぶつかったらしいから、ここからあっちに落ちて…」

と、どんどんシャベルで雪をかいていって
とうとう帽子を見つけました

ちなみに
その谷底にほど近い場所から家に戻るのに
相方は1時間で済んだところわたしは2時間かかりました
(ATVを買う前はいつもここを歩いていた相方は慣れたもの)

ひたすら登りの道なき道
スパイクを履いていてもズルズル滑る雪と氷の道
そして心臓破りの坂
何度も休んで心拍数が少しゆっくりになるのを待ってまたスタート

往復3時間も歩いたのに
携帯の万歩計はたったの2700歩でした

こんな道を毎日歩いていたら
そりゃあ鍛えられるわ…

義父は頭も良くて
高難易度の数独を解くのが好きです
以前お土産に日本から持ってきた寄木細工のからくり箱(24回動かして開く)も
しばらく時間はかかったものの自力で開けました



スゴイ!

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2 コメント

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よかったです (ヨハンセン)
2019-03-28 15:10:34
お義父さん、無事でよかったです。
しかし怖いですね、自然の中での事故。
そして帽子を探しに行くという、一見無理に見えることを推理を働かせてやり遂げるということ。
なんだか「諦めない」ということを考えさせられました。あと「普段からの体力作り」(笑)
どちらも大事!
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平常心 (月兎耳)
2019-03-28 17:08:51
意識が戻った時に義父は、自分の頭が大丈夫か確かめるため「6×7は?」と自問して「42、ヨシ、大丈夫」と歩き始めたそうです。この冷静さも見習いたい。
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