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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

48時間休漁③!

2006年09月30日 | ブログ

水揚げ中に入港してきた僚船が

久慈港の岸壁(我々の1隻前)に

接岸しようとサイドスラスター

(船を横に動かすプロペラ)を回したら、

なんと死体が浮かんで来たという事で

警察やら救急車が岸壁に集まり、一時騒然となりました!

死後半年以上経過しているとの事。

船員生活、初の珍事でしたね!

それはさておき、

3回目の48時間休漁は久慈港。

港から近い小高い丘にある温泉施設「古墳の湯」

ここで露天風呂につかり束の間の休息です。


秋刀魚漁14 航海目!

2006年09月30日 | モバイル

5時30分に女川入港、入港船は4隻と少なく、

相場は予想していた浜値を若干上まわりました。

前日の水揚げ後、気象が悪く出港を見合わせて

時化休みした船が数隻、水揚げ中に出港して行きました。

各市場への集中水揚げを調整する為、

今週末の48時間休漁の後、10月1日から当分の間、

入港水揚げ度に24時間休漁の

生産調整を行う事が決まったようです。

水揚げを終え10時30分出港!

まだ うねりが残る三陸沿岸を北上、

16時宮古沖で「準スタンバイ!」うねりがある為、

右舷側の集魚灯は格納したままで左舷側の集魚灯だけを出し

(いざ群れを見つけた場合、網がある左舷側の集魚灯が出ていれば

すぐに網を入れる事ができ、

入網後に右舷側の集魚灯を出す人と

氷等を用意する人とに分かれて作業できる)

沖よりにコースを変え調査しながら北上!

夕食後仮眠

(漁労長と当直者以外の人は仮眠、

群れにあたればスタンバイのベルが鳴る)

29日3時30分、スタンバイのベルが鳴り、

乗組員が甲板に集 まりますが、

「まだ網を入れるような群れではないので、

うねりが高いからケガをしないように落ち着いて準備する事!」

と漁労長の声がマイク越しに響く。

数人に分かれて各自の作業を的確に進め、

準備完了!水温17.4℃、

他船は3隻で女川港で一緒に水揚げした4隻の船の中では

我々が一番船速が遅く、

速力が勝る3隻は遅れて出港しても、早、操業中でした。

時化休み後、女川港を出港した船の中には、

我々がこの海区に到着する前に

操業を終えて帰途した船が数隻いたようです。

(海水温の高い海区ではサンマの足が速く、

潮の満、干によってサンマの群れが浅くなったり

深くなったりと数時間で漁模様が変わる事があります)

漁場の遠近によっては一足遅れという事があり、

船速は速いにこした事がありません。

到着後サンマは見えていますが、網を入れるような群れが無く、

夜明けから襟裳岬を左舷後方に見ながら東北東へ!

50哩程航走し漂泊。

衛星による水温図を見ると今回の大時化で

低水温域が襟裳岬の南東沿岸まで達しており、

分枝域は海 峡沖、襟裳岬の南南西にまで張り出しを強めています。

日暮れから沖よりに調査を始め、18時40分から操業開始、

大群を4回操業、21時20分終わり、南下帰途航走!

10月1日は日曜日なので、

この漁場から30日土曜日の水揚げに間に合わせるには

北海道の各市場か岩手県の久慈港に限られる。

今年の秋刀魚漁は、土曜日に限り、

17時迄に入港すれば水揚げができるとの事で、

久慈港向け、14時30分入港予定!


秋刀魚漁13 航海目!

2006年09月28日 | モバイル

八戸港では48時間休漁を利用して

メインエンジンや漁労機械のメンテナンスを行い、

解禁からの1ヶ月で消耗した各部品類を交換、

今後の漁に備えました。

25日7時出港、北上!

22時スタンバイ、

調査しながら沖よりに航走!

夜明け前に数回操業し、約20トンの漁獲。

主漁場まで2時間程北上して漂泊。

26日は17時30分から操業して21時終わり。

気象の予報が悪く、荒天準備をして南下帰途航走、

27日朝からうねりが大きくなり、

午後には風雨も強く大時化となって微速での航走、

28日5時30分女川入港!


鮮度維持!

2006年09月23日 | ブログ

漁獲したサンマを鮮度良く市場に運ぶ事は、

魚価にも水揚げ後の流通経路にも大きく影響します!

各秋刀魚漁船は漁獲したサンマを

鮮度良く流通させる為に日々努力しています!

今から22年前、秋刀魚漁船に乗船したての頃は

漁獲したサンマを氷と一緒に魚艙に入れ、

その後、氷が入ったカゴを積み重ね、

その上から海水を流し込んでいました。

当時は船の速力も遅く、漁場が遠いと鮮度が悪くなって

魚価が低迷する原因になっていたのですが。

この20年の間に各船、いろんな研究や対策を講じてきました。

現在ではほとんどの秋刀魚漁船が「冷水」を使用しています!

「冷水」を使用することで鮮度維持が飛躍的に進歩しました。

「冷水」とは清水と海水を混合して

(漁場の遠近により割合を6対4または半々、

7対3等若干変え、各船により異なる。)

循環しながら冷水クーラーを使い0℃以下まで冷却した

サンマの為の冷却水です。

漁獲したサンマを魚艙に入れる際、

2台のポンプを使って

1台は魚倉に入れる前、サンマに氷を掛 けながら流し、

もう1台は魚艙内に直接入れ、

サンマの魚体温度を一気に下げます!

魚艙内に直接入れる冷水の量を調整しサンマと氷とが、

いかにバランス良く混じり、

魚倉内温度を0℃以下に保つかが鮮度維持に繋がります。

氷や冷水の準備には遅れが許されません!

我が船の場合氷約33トン、冷水約35トンが用意されており、

約90トンの漁獲量に対し氷約30トン冷水約30トンを使用します。

サンマ漁獲時の海水温度や、漁模様に応じて使用する量が変わり、

それに応じて氷を準備しますが

大量にサンマが網に入ると短時間で氷艙から

揚げきらなければなりません!(これまでの最短が2時間!)

冷水を作るのには入港中に冷水艙へ清水を積み込んで、

出港後海水を入れて約6時間以上の循環と冷却が必要で

海水温が高いと当然、冷却時間も長くなります。

船上では、それぞれの持ち場で

スペシャリスト的な作業が要求されます!

漁の中でサンマの鮮度は絶対条件です!

「鮮度の良い美味いサンマ」を流通させる為、

漁師達は頑張 ってます。