blog-atom 2

…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

平成20年、鮭鱒漁1 航海目!

2008年06月11日 | モバイル

5月15日、9時30分に花咲港を出港した21隻の各船は

日露漁業境界線のチェックポイント向け! Co 115°

チェックポイントを経て1隻2区へ、20隻1区向け! Co 48°

ロシア領の沿岸から12海里以上

コマンドルスキエ島付近は32海里以上離れて

航走しなければならない為、船長は微妙にコースを変えながら北上。

源榮丸は4昼夜半(約108時間)の航走で

1区の漁場枠内に入ったが、

速い船は枠内の適水温を調査し、速力の優る船から順次、

1区漁場枠の東西南北いずれかのライン際から並んで

操業ポジションが決まっていく。

今年は南西側への適水温の流入が遅れていて各船は

北東角から並んだようでしたが、

我々の船は速力で13番目だった事もあり

南西角のライン際にポジションを取り適水温の流入を待つ事を

漁労長は選択したようです。

19日朝6時、N56°14、 E166°15、 から投網開始!!

1回目の操業から漁模様は 悪いが良い凪での操業が続いた。

しかし海水温も気温も例年より低く、珍しく船内では風邪が蔓延し、

ほとんどの人が風邪薬を飲みながら働き、

船内常備薬の風邪薬が空になる異常事態?

5月26日、指揮船「第8光洋丸」から臨検!

「一昨年までは各船に一人づつ乗船していたロシアの

オブザーバーが昨年からはチャーターした日本の船3隻

(2隻が中型船の、1隻は小型船の指揮船)

に数人のオブザーバーが乗船している」

乗船してきた2人のオブザーバーは魚倉の容積検査から

積み荷検査、揚網立ち会いと4時間程かけた

厳しいものでしたが無事に臨検を終えました。

5月28日、甲板上の揚網用ボールローラーハンドルの

切替弁が故障し予備品が無い為、並んで操業していた

第68善龍丸」と会合して部品を借りました。

双船の船首と船首を近ずけて

ロープに物を結んでのやり取りです。

10日程良い凪が続いていた漁場も29~31日の3日間、

低気圧の影響で海が荒れ、

操業出来ないよ うな大時化ではない分、

向かい風での操業になり、より寒さが厳しく感じられ、

30日の投網中には霙が降り31日は雪で一時的に吹雪の揚網!

この日の揚網中、最後の網の一部が「棒巻き」

(高い波のうねりに網が引っ張られ

「浮き側」アバと「重し側」アシが寄り、

そこに網が巻き付き一本のロープのようになる

時化時の自然の力が引き起こす網のトラブル)

この日の冷たい波飛沫と雪に向かい風で

ヘルメットと合羽で隠せない耳と頬が一気にしもやけに…(泣)

船内一皮膚が弱い私にとって好ましくない北洋の洗礼です。

6月1日、時化が治まると指揮船「第18栄久丸」からの臨検!

この時オブザーバーをボートに乗せて来た方は

15年前に福島の船で一緒に乗船した函館の人で

久々の再会でした。

尚、「18栄久丸」の機関長は以前大変お世話になった方で

互いに甲板上から手を降り合って束の間のコミュニケーション!

この日の臨検も揚網立ち会いでしたが2時間程で無事終わり。

適水 温の流入で漁模様が好転してきたのも

この日からでしたがムラがあり、

適水温の流入はまだ広範囲には達しておらず

鮭が掛かる網と掛からない網が極端。

6月5日、朝から鮭の掛かりが悪く空網状態の中、

キングサーモンの大物が2本揚がった!!

忙しくなかった事もあり、漁労長の

「一人づつ記念撮影をしたらどうか」

という一言で甲板ではキングサーモンとの緊急撮影会となった。

200865_050 船内がいかに和気相合いかが窺い知れますね!

7日の揚網後(連続20回の操業)で帰途となり、

カムチャッカのチェックポイント向け!

9日00時、ペトロ沖のチェックポイントでロシアコーストガード

185)「サハリン」から臨検!

1時間半程で無事終わり南下帰途航走、

日露漁業境界線のチェックポイント向け。

10日には直さずしまいだった棒巻き直し作業!

20反程でしたが結構よりがきつく思ったより時間を要しました。

この航海の様子を撮影した画像は回顧でアップします。

昨年12月に 手術した左手の具合を懸念、心配していましたが、

1航海目を働いてみて(水揚げ作業が残っていますが…)

どうやら大丈夫そうです!!

11日17時、ロシアコーストガード「ジアナ」からの臨検を終え、

チェックポイントを無事通過、日本の領海内に… !!

船は釧路港向け!

尚、乗組員は皆元気です!!