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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【2021'6航海目】!

2021年09月29日 | モバイル
9月24日朝6時、水揚げを終えて花咲出港。

道東の港から日本の領海内航走で公海に向かうにはかなり大回りで時間的にもロスが多い…

「自国領土からの200海里規制と云う国際ルール」がある為ロシアの領海ラインは広い…!

これまで日本の200m等深線沿いから道東・本州の沿岸沿いを回遊していたサンマの回遊ルートが、なぜか変わり
日本のサンマ漁船も、公海にサンマを求める…。

ロシア領海内を通って公海に向かうにはチェックポイントを通過しなければならず
目指す海区までの航走計画によっては複数あるチェックポイントのいずれかを通って、領海ラインを越える…!

今回は南側のチェックポイントを通過…!

公海での調査・操業とロシア領海内調査・操業ではチェックポイントでの応答も異なり
当然、通過申請では領海内調査・操業は出来ない。

前航海よりも南西側から調査していくようだ…。

00時、ラインを越えS/B。
北風がやや強い…

漁灯を拡げ南よりに調査…

01時頃より操業開始…!


前航海までとは魚体組成が一変した…!

今期は1航海目の操業時から網にサンマのたまごが付着しており、
前航海もたまごが付着しているのが確認できた…
以前なら10月の本州沿岸沿いで見られたサンマのたまご…
魚体も、その時期に見られるようなサンマだったのが
ここにきて魚体組成が変わり、良くなった…!

サンマの生態はまだまだ不思議が多くある…。

数回の操業後、夜明けより北東側に移動して漂泊。

25日・15時30分S/B。

サンマ漁以外の外国籍船が付近を通過して行った…

夕刻から北風が強まり、うねりを伴ってまた時化に…
時折雨も伴う…

今期の公海、雨に比例するように時化が多い、そして外気温も低く、この時期にしては肌寒い…

時間の経過と共に悪くなる時化海をサンマを探し必死に調査…!

白波の合間をサンマが跳ねるが灯付きが悪い…

夜明け前に若干纏まった漁獲…

夜が明けて数多くの外国籍船団から離れて漂泊場所を探すも
なかなか間隔が開かない、大型の外国籍船は強い風に流れが早い…。

落ち着いて漂泊できずに夕刻を待つ…

15時30分・S/B。
日没後、若干魚影があり数回操業も僅かな漁獲…

北よりに操業・調査を繰り返しながら北東側へサンマを追った!

やや纏まった群れを操業しながらも、日付けが変わった頃から反転南西側へ…

また灯付きが悪くなり、なかなか操業できる群れがなく
調査航走時間の合間に船首側の燃料を船尾側にシフト。

夜明け前に、またやや纏まった群れを操業し夜明けより更に南西側へ移動。

移動中の当直、外は良い凪となった…。

27日・15時30分S/B。
久々の上凪…。

外国籍船団の中に日本船は数隻。

日没から数回操業も僅かな漁獲…

19時頃から外国籍船団は沖よりに移動して行った…

付近を調査もサンマが見えなくなった…

南西側へ調査航走、
更新した水温図では低海水温域の張り出しが弱まり、逆に北側へ後退…

北側はロシアの領海内だ…
更に南西側へ…

台風が来ている…
予想進路は公海の操業海区直撃だ…!
外国籍船団の無事を案じる…。

朝3時・調査終わり、帰途航走 女川向け!

やっと内地向けの帰途航海となったが
北緯40°以南、高い海水温の影響で、久しく過ごし易かった機関室内も一気に暑さが増した…。

船は29日朝05時頃の入港予定。

やや纏まった群れの揚網前、たまたま動画が撮れたのでFacebookにアップします。

【2021'5航海目】!

2021年09月23日 | モバイル
9月18日晩、花咲港に入港し、19日は日曜日とあって休み…。
朝から燃料系統のメンテナンス作業を行い、氷の積み込み。

日曜日と云えど、サンマ水揚げ量日本一を誇る花咲港の砕氷業者さん、給油業者さん達は忙しく各船を廻る…。

午後には根室の町へ買い物に出掛け、僅かなひとときであったが気分転換 
一息付いた…。

さすがに道東の町は季節の巡りが早く、秋風が心地よい!

20日・早朝2時30分S/B、花咲港の朝は早く、3時からの水揚げである。

水揚げを終えて5時、花咲出港。
7時・チェックポイント経由公海向け…!

21日・01時30分、ロシア領海ラインを越えS/B。
漁灯を拡げ調査しながら沖へ…。

夜明けより若干北よりに…
15時30分・S/B。

日没を前に北風が強まったが、ポツポツとサンマが見える…

サンマの跳ね方も前航海までとは異なり、やっと群れはじめた感がある。
しかし灯付きが悪い…

薄群れを回数操業、日付けが変わった頃から風が弱まり、若干纏まった群れも操業。

解禁後1ヶ月が過ぎ、やっとやや纏まった漁獲で夜明けをむかえた…。
このまま漁模様が上向いてほしいものだが…

夜明けより帰途航走 花咲向け!



23日19時30分、チェックポイントにて停船命令 臨検
無事に臨検を終えて 20時・チェックポイント通過…

22時30分頃の花咲入港予定。

【2021'4航海目】!

2021年09月18日 | モバイル
9月10日・10時30分 花咲出港!
チェックポイント経由、公海向け…!
チェックポイント通過時・公海までの領海内航走時も、
ロシア側との応答が昨年までとは異なり、いろんな制約ができた今期…
9月1日から操業許可のロシア領海内海区では、まだ操業船はいないようだ…

11日・15時30分S/B。
雨の公海 漁灯を拡げ東へ…。
日没から調査しながら更に沖へ…!
大型船解禁から約3週間、今年の公海洋上は雨が多く、風も伴い
なかなかサンマ漁日和には恵まれない…

…次第に南東からの風が強まり、豪雨も伴って時化海となった…。
低調な漁模様に海況悪が追い討ちをかける…!

調査しながら北東よりに…

気象図を見ると、どうやらこの航海は連日の時化が予想され、更に台風も懸念される…
今期の公海は漁を行う上での条件が昨年より悪いかもしれない…。

漁模様が悪く、長くなる調査航走時間…

ライト当直以外の時間の使い方は各自千差万別…
「良い時間の過ごし方をしているなぁ」と感心できる人もいるが…

二人の若人達の乗船によって新鮮さが加わった船内であるが、船上での団体生活は小さな社会であり、良い船内環境は大切だ…

ただ、新人が加わった事で態度に緩慢さが見うけられる人間もでてくる…

船上生活には船内ルールがあり、小さなルールも存在しているし、指揮系統がある事も忘れてはならない。
「鶴の一声」だけが指揮ではないのだ…

成人過ぎの大人達の集まりであるから、価値観の違い・思想の違いは当然ある!

それでも指示された事はやる!
過去の指示であっても…

同じ事を何度も云いたくはない…!

指示された事しか出来ないようではダメだし、やって当たり前の事を確実にやる事が、いかに大切であるかは各自、心の片隅に留めておかなければならない!

…初心忘れるべからず…!

基本的に各人の気持ちの持ちようで、教わって変わるものではないのだけど…

グローバルに視ると宗教の違い・環境の違いが根強い所に紛争がある…。
それと似ているのかもしれない!

船内では、指摘される方は勘違いしてはいけない、ここは職場だ!
自宅でも学校でも講習会場でもない…!
自らが職業に漁船を選んだ男達の仕事場だ…!
最低限の緊張感は持って然るべしだし、
ある程度の抑止力も必要不可欠なのだ…!

どうも統制が執れない…
イズムの違いなのか…
不愉快きわまりない…。

指示する方も考えている、無理な事・出来ない事を無理強いする事はないのだ。

…11日は時化で調査航走のみ…
夜明けより漂泊。

12日・前夜よりは波・風共に若干よくはなったが、凪が悪く僅かな漁獲で夜明けをむかえ漂泊。

13日・昼頃から南風が強まり、波も高くなった事から南下…
時化交わしであるが、夕刻から大時化となり 支え…

大時化は14日も続き 支え…
洋上での時化交わし・支えは久々だった…!

15日夜明けより北上、まだうねりが残って船は揺れに揺れる…!

多くの外国籍船団と共にサンマを追うも、僅かな漁獲で夜明けより漂泊。

16日16時・S/B。
日没前から漁撈長の操船が賑やかで荒い…!

日没と共に操業開始、サンマは跳ねるが、群れず…

薄群れを回数操業…
時折、やや纏まった漁獲もあったが、また海況悪となるようで夜明けより帰途航走、花咲向け。

外国籍船団の多くがパラシュートアンカーを投入している…。

思えば、比較的海況に恵まれた昨年の公海だが
今年は時期的に海況悪が早い…

航海日数もサンマ漁にしては想定外に長くなるかもしれない…

今後の漁がどのように展開されていくのかは、神のみぞ知る事だが
海況に左右されそうで、凪の日和見が漁に直結する。
凪間の漁模様好転に期待したい…。

船は18日19時30分・チェックポイント通過
22時頃、花咲入港予定。

【2021'3航海目】!

2021年09月10日 | モバイル
9月3日・11時、花咲出港。15時・ロシアのチェックポイント通過、公海向け…!

ロシアの領海ラインを抜けて4日、15時30分・S/B。
東の風が強く調査航走のみで夜明けをむかえた…
5日、16時・S/B。
時化が続き、この晩は操業2回…
ほぼ皆無の漁模様で夜明けより南東側へと移動。

6日、16時S/B。
やっと良い凪となったが濃い霧雨が時折雨となって、なんとも鬱陶しい…
そんな中、海面にはポツポツと跳ねるサンマ…
まだまだ群れとは云えるレベルではない…
しかも灯付きが悪く、例によって漁獲が難しいサンマ…
薄群れを回数操業…

沖よりにサンマを追い、僅かに纏まった群れを2回程操業…!
夜明けより北上、また天候がくずれるらしく時化交わし…

16時のS/B時、付近一帯に外国籍船団…
日没後に灯る漁り火の多くが赤い…
時間の経過と共に風とうねりが強くなり、雨も降りだして、またも時化海となった…
時化模様の公海、必死にサンマを追い、時に外国籍船とのニアミスもある…
赤い大船団の中に僚船2隻と3隻で調査…。
サンマは見えても、灯付きが悪く しかも、雨にうねりと風の悪条件…
僅かな漁獲で夜明けを待たず、西よりに…。
8日の夜、調査しながら西への航走を続けるもサンマは見えず…
日付けが変わって9日・01時、漁灯を仕舞い帰途航走
花咲向け。
10日02時、ロシアチェックポイント通過。
朝04時頃の入港予定…!

【2021'2航海目】!

2021年09月03日 | モバイル
28日 10時・花咲出港、公海向け…!
今期 本船には24歳と21歳のフレッシュな若人が乗船し、船内の環境が新鮮になった。
一人はサンマ漁の経験者、もう一人は漁師経験のない新人である…。
どちらも機関部ではないのが残念ではあるが…

近年のサンマ漁大型船は、日本の沿岸にサンマの回遊が少なくなっている事から
沖よりの公海に漁場を求めるも、資源量の減少(サンマの個体数の激減)それに伴い航海が長くなり、調査海区に入ってサンマを探す調査航走時間も増えている…!
しかしそれは若人達にとっては、いろんな仕事や技術を身に付けるチャンスタイムになる。
良い見本の方々が乗船しているので、見よう見まねから理解を重ねて漁師経験を積んでいく事を期待したい…。

公海の漁模様はまだまだ低調で東経156°のラインから沖よりに調査開始。
160°のライン付近の海区には外国籍船団が集中しており
前航海はその海区で調査・操業も、群れはなかった。
主だった低海水温域の分布が緩かに推移していたが
30日頃から変化の兆しが見えた…
156°~157°にかけて低海水温域が南東側に張り出しを強めた…
目視できるサンマの個体数が少しずつ群れるように跳ねるのが確認できるようになった。
低調な漁模様の中でも、ほんのやや纏まった群れを数回操業…
年々サンマの漁獲は難しくなっている…

「沖のサンマはある程度条件が揃わないと獲れない」
以前お世話になった漁撈長が語ったのを今でも憶えている…

早くも暦は9月をむかえ、例によって私のルーティン
機関室内の時計を全て揃え合わせた。

9月1日・16時S/B。
日暮れから風が強まり波も高くなった…
サンマは見えず、西よりに調査…
更に風が強くなり日付けの変わる頃、漁灯を仕舞い帰途航走
花咲向けも、9月1からロシア海区内の操業が許可されたがそれに伴い、厳しく取り締まるとの通達もある…

はたしてロシア領海内にサンマは回遊しているのか…?

サンマの不漁は我々には厳しいリアルであり、年々リスクも大きい…!

僚船のエンジントラブルが聞こえてきた…

早く明るい投稿ができるような漁模様に期待したい…。

9月3日朝5時、ロシアチェックポイント通過
7時頃の入港予定。

画像は、長崎県の最新鋭サンマ大型船
第八太喜丸