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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【秋刀魚漁を終えて…】!

2012年12月29日 | ブログ

内航船への1年間の乗船を経て、今期は秋刀魚漁に従事。

解禁後の漁の前半は極端な不漁でしたが、

時期的な「9月10日頃からの盛漁期」に入ると、

漁は持ち直し、大群操業となり、各船共に満船が続き

道東各港への水揚げが集中し、魚価が一気に暴落した!

東日本大震災からの復興を急ぐ三陸各港は、

まだまだ復興が遅れていて、秋刀魚の受け入れ態勢が整っておらず、

水揚げ量の制限、数百t (各港1日の水揚げ数隻分)で、

しのいできました。

さすがに今年はTAC(漁獲可能量)の話題は出ませんでした、

当然、漁獲可能量よりも処理可能量を優先しなければならないのが

歴然…!

来期、どこまで三陸各港の第二次産業が復活するかはわかりませんが

漁場の推移と処理能力、水揚げの課題は多かったように感じました!

盛漁期を過ぎてからは、全般に少なかった大サンマは、ほぼ姿を消して

サンマの割合が極端に悪くなった…。

終盤には中サンマの割合も弱まった…

それでも、漁を続けなければならない我々には、

トップからの規制が必要である  とも感じた…!

尚、今期は若い頃に共に乗船してから家族ぐるみの付き合いを

していた機関長と20年振りに共に乗船したのであるが、

漁期間中に体調を崩し、離脱してしまい、

私にとっては試練の漁期となった!

いつかはこういう時が来る という事は頭の片隅にはありましたが…

漁の途中、以前お世話になった機関長から電話をもらい、

「多くの機関士は、みんな ここから始まるんだから、頑張れ」と

激励されました、勇気をもらった気がした…。

無事、漁を終えた今だからこそ云えるのは、

以前に長く務めたサンマ漁船を辞めた後、

機関部員だった当時、漠然と過ごしてきた機関部内の作業、

資格取得後は職員として作業にあたる…!

数年先を見据えると、もっともっと勉強したく、

遠洋トロール漁船、内航船と乗船し、その中での経験は

大きなプラスとなって今期に生きた気がする。

良い回り道だったし、今後も回り道して行きたいと思う!

昨年進水した新しい船でもあり、解禁から良い漁をしているという

プレッシャーがあり、エンジントラブルで船を休めると云う事だけは

何としても防がなければ、と頑張ってきました。

とりあえず今は、漁を終えた事よりも、無事に各機械が期待に応えてくれ、

順調に動き続けてくれた事に安堵感!

来期の事は今は考えず、しばしの間だけでも自分也の達成感に

浸りたいです。

…第18三笠丸、今期の秋刀魚漁は、延130日間39航海

燃料消費量は、

651.970k?積み込み量に対し 598.644k? 消費

メインエンジン総運転時間 2321 h 55 m、Lo補給量 1030 ?

補機・発電機総運転時間 3189 h 50 m、Lo補給量 344.5 ?

でした…!


【24年・漁期終了】!

2012年12月28日 | ブログ

21日・10時、母港大船渡着。

甲板部は網揚げ、機関部はLED漁灯の結線部コネクタ外し作業…

22日・早朝より最終水揚げ、漁灯を外し・漁具や電気系への雪囲いなど

本格的な切り揚げ作業…!

そして、18時からは会社の忘年会!

兄弟船3隻の乗組員合同である…。

しかし、その忘年会中に悪寒を感じ、

早めに船に戻り、休みました!

翌23日・朝目覚めると、頭痛が酷く悪寒も凄い…

忘年会の次の日と云う事でS/Bが9時、作業は午前中の船洗いだけだったので、

午後から県立大船渡病院の救急外来へ…

そこでの検温で40.3…。

インフルエンザ抗体検査も、ノロウイルス抗体検査も大丈夫でしたが、

船に戻り、厚着して悪寒に耐えながら寝台に入って安静につとめ、

水分補給に処方薬服用、何度もシャツを替えながら、寒く長い夜を過ごした…

24日・早朝より水抜き開始!

酷い頭痛に耐えながら、その頃は高熱でフラフラ…

9時より、船を会社のある浜の漁礁に係留させ、凍結防止最終チェック…!

切り揚げ時にドック入りせず、冬期を過ぎてからのドックになるので

水抜き作業は確実にしておかねば…

メインエンジン、補機発電機を停めて、船底弁・船外弁も確実に閉めて、

25日・今期の秋刀魚漁を無事終わり    「漁期終了」!

帰宅しても頭痛と悪寒が激しく、いろいろ纏めなければならない多くの事を保留

28日になってやっと悪寒も熱も頭痛もおさまった。

やれやれである…!


【秋刀魚漁・39 ・最終航海】!

2012年12月20日 | モバイル
18日・朝7時30分、銚子入港。

水揚げ後、時化休みとなった!

19日・14時30分、銚子出港、15時20分漂泊。

16時S/B、付近には僚船2隻と兄弟船2隻が漂泊中、他船団の船は見えない…

いよいよ今期の秋刀魚漁最終航海である!

機関長が休んだ10月8日に替わった新しい機関日誌が12月19日で最終ページ…

読み返すと、いろいろあったなぁ としみじみ思う…。

20日から、また新しい機関日誌になるが、あと数日…

最後まで気を抜かず、気を引き締め直して、最終航海!

…日没の頃、船の漁灯の下で何かがポンと浮いた…!

オットセイだった…。

房総沿岸である…

ここまで来るんだ?

私が海で働いていてオットセイを見た最南ポイント…!

17時30分過ぎから薄群れを操業開始。

その後、サンマが見えなくなり、犬吠埼沿岸から鹿島沿岸を南北に調査、

22時過ぎに月が隠れてから、サンマが見え始めた。

しかし群れは薄く、場所によっては幼魚の群れも跳ねる…

とても北海道道東沖もしくは、三陸沿岸から回遊してきたサンマとは思えない…

房総の沖で生まれ、成長期を過ごしている…?

サンマは1年魚と云われているが…

サンマの生態に限らず魚の生態は、謎が多い…!

夜明け前の操業中にも船のすぐ傍をオットセイが泳いでいた…

僅かな漁獲に終わり、夜明けより犬吠埼南東側で漂泊。

20日・16時S/B。

房総半島に隠れていく夕陽、凪良く夕焼けがきれいである…

日没16時20分、サンマ漁船の少ない漁り火が見え始めた。

12隻が残り少ない漁期を踏ん張る!

久々に鏡のような海面、凛とした寒さの中、我々の最終操業日は最高の凪。

犬吠埼沿岸沿いから鹿島沿岸、北茨城沿岸と北上しながら調査、操業を続け、

21時30分・操業止め、切り揚げ!

今期の漁終わり、北上帰途航走、母港大船渡向け!

21日10時頃の入港予定。


【秋刀魚漁・38 航海目】!

2012年12月18日 | モバイル
17日・朝7時銚子入港、水揚げ。

昨夜明け前の操業で(投網中)平成生まれの若人が、網と一緒に海面まで落ち、

網の中でワイヤーに掴まっていてすぐ上げる事ができたのですが、

掴まった(手に絡まっていた)ワイヤーで手を傷め、水揚げ中に病院に行った…

水揚げ後、14時30分の出港予定となり、昨夜LEDのコントロールパネルに

エラー表示がでた漁灯のコネクタ部の交換と、点灯しなくなった作業灯の交換、

エンジンのクラッチ不調箇所のメンテナンスと慌ただしかった…。

出港前に病院から帰って来た若人は、痛みが酷いらしく、下船して行った…

14時30分・銚子出港、1時間程で漂泊。

16時・S/B、調査航走開始!

小雨が降り、風、うねりもある…。

小雨は18時頃には止んだが、操業開始時、サイドのローラーに網を載せると

サンマの鱗が、桜吹雪のように風にのって舞う…。

どういう訳か、寝不足気味の時の眼には簡単に入ってしまう…

そんなときは、アイボンを使うと簡単に取れる、サンマ漁の必需品である!

日暮れから21時頃までは、順調に漁獲を伸ばしていたのですが、

その後、灯付きが悪くなり、北上…

鹿島沖へ…!

風が弱まり、凪は良くなったが、うねりは残った…。

23時頃からは薄群れを連続回数操業…!

夜明け前にまたも小雨がぱらついた!

朝6時・漁灯を仕舞い帰途航走銚子向け。

18日・7時30分入港!


【秋刀魚漁・37 航海目】!

2012年12月17日 | モバイル
15日朝7時40分銚子入港も、巻き網漁船や小型船などの水揚げで

接岸できず、水揚げ順番待ち…

やっと接岸できたが水揚げ用のトラックも廻らず…

待時間中、後方で水揚げ中の船に訪船!

海技免許講習の同窓生K君が乗船している船である。

合格発表後、「サンマ漁の水揚げで一緒に入港したら会ってハイタッチ」

と云うささやかな約束があったのですが、中々一緒に入港する機会がなく、

その後時々電話があり、会話はしており、震災後の6月にも電話をもらい、

気にかけてもらっていましたが、私の方に色々あったりで、

4年越しの再会となった…!

水揚げ中でしたので僅かな会話とハイタッチで御互いの元気を感じとりました…

船に戻ると、時化休みが決定していました!

友達が指揮をとっている船も少し離れた岸壁で水揚げしていたので、

久々に居酒屋でもと思い、電話してみると、

水揚げ後切り揚げて気仙沼に廻航との事でした…。

水揚げ後、時化休み中に接岸しておく岸壁もなく、僚船に(抱かせて)並べ、

16日・12時の出港予定が組まれた!

僚船には、以前共に乗船した事のある若人や先輩、知り合いの船長が乗船中で、

久々にいろんな話をしました!

その後、早い時間に夕食を済ませ寝台へ…

16日・12時銚子出港沖へ…

16時・S/B。

日が暮れて調査開始もサンマが見えず…

東へ調査して行き、19時過ぎに薄群れを1回操業。

南、北と範囲を拡げながら調査もサンマは見えない…

北西側への調査で、23時頃から操業再開…。

灯台の灯りと町の明かりが見える犬吠埼沿岸で若干纏まった群れを1回操業。

更に北西へ…

日付けが変わる頃に、再度若干纏まった群れを操業。

その後左舷に犬吠埼灯台の灯りを見ながら北上!

昨年の今頃は、千葉~鹿島への航海が続いていたので、犬吠埼灯台は懐かしい!

付近に見えるサンマ漁船の漁り火も少ない…

夜明け前にやや纏まった漁獲があり、夜明けより帰途航走。

夜明けの操業ポイントからは約7哩…

17日・7時銚子入港。