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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【8航海目】!

2018年09月28日 | モバイル
9月23日・13時、女川港への入港予定時間が早まった事で、
急遽 母港気仙沼寄港となった…

1時間程で用事が済み、その後女川向け。

女川向け廻航中の南三陸沿岸沿いから望む山蔭、
澄んだ青空に鰯雲
暑かった平成最後の夏も秋へと確実にシフトしている…

サンマ漁大型船の解禁から1ヶ月が過ぎ、気が付けば9月も下旬…

サンマが美味い季節の到来だ…!

女川入港後、廻船問屋さんから
前航海のお祝いの縁起物が今年も届いた…
ありがたい事である…。



9月24日、水揚げ・氷の積み込みを終え9時女川出港。

漁灯を拡げ、凪良く沖へ…!

夕刻より漁撈長による水温調査…
我々機関部は冷水造り、
本船は漁に冷水・氷共に約50tを準備している!

漁獲した艙の上氷は水揚げ前に、冷水艙に入れて再利用するが
それでも全ての冷水を造り終えたのは23時…

市場で取水した清水に出港して海水を取水、
割合は船によって微妙に異なるが
循環混合後、水温20℃台からだと12時間以上を要する!
滅菌装置を通しながらキリリと冷えた滅菌冷水を造り、
甲板長にバトンを繋ぎます。

漁獲したサンマに対する氷と冷水の使用バランスが
サンマの鮮度に大きく関わる!

氷と冷水は豊富に準備しておく事は必須で、
その保冷も仕事の一部である。

25日朝7時、操業ポイント着、漂泊。

15時30分S/B。
空模様が冴えない…
小雨がパラつき、日没から本降りとなった…

降り続く雨と微妙な風の中、灯付きの悪いサンマに悪戦苦闘…!

操業・調査を繰り返し、時間が過ぎて行く…

1時過ぎ、風が止み雨があがると夜空には朧月

次第にサンマの灯付きが良くなって、漁灯を点すと
沸き上がるような白波が銀色に変わる海面…
漁灯の明かりに向かって跳ねてくるサンマの群れ…

時にサンマの群れは、こういう動きを魅せる!

このシーンを動画や画像に残せないのが残念である…!

このような動きを魅せるサンマ…
サンマ漁師達はこれに連鎖して作業のピッチも上がる…!

乗組員皆も、船に慣れて操業の流れがスムーズになり
操業に要する時間もかなり短縮…
真空ポンプが回復すれば、かなりスピーディーになる…!

纏まった漁獲で夜明けとなり、漂泊。

26日・15時30分S/B。

日没後、付近に船は見えない

西側の水平線にかすかにライトの光が動くのが見える…

1隻で調査・操業を繰り返し南東側へ…

イワシの反応が強まり、北側へ…

調査中各船が次第に近くなった頃にやや纏まった群れを操業!

付近に船が集まったが、水平線から月が顔を覗かさせた頃から
灯付きが悪くなった…。

西側へ調査…
群れによって、漁灯の明かりへの集まり方が異なるが
夜明けが近づいた頃に
また海面から沸き上がるサンマの群れ…

船脚が重くなり、漁撈長の声がスピーカー越しに響く…

船首側の残油を船尾側に全てシフト。
汗だくである…。

低気圧の前線の影響が懸念され、荒天準備!

夜明けより帰途航走!

昼過ぎから風・うねりが共に強まった!

陸よりの針路、陸中沖からコースを変え、沿岸沿いを微速で南下。

横からのうねりで船は大きなローリングを繰り返しながら…

船は作業場に衣食住区間が同居しているある意味特殊な職場である…。

特に漁船は漁を行うので、操業以外にもコミュニケーションをとる必要がある!

そのコミュニケーションのとりかたが、本船の漁撈長は上手いのだ…

十数人の大人の男達の集まりで構成されている船内でも
笑顔で働ける場がここにはある…!

今年は時化が多い…
漁場が沖よりだけにそう感じるのか…

サンマ漁大型船も今年の漁は前半戦から中盤戦へ…

船は微速で女川向け中、28日昼前の入港予定。

【7航海目】!

2018年09月23日 | モバイル
18日・20時、女川魚市場接岸。
まずは船首側の喫水を目視確認
積み荷に対して使用してきた船底Foタンク状況と喫水線を把握しておく…!
船のトリムは重要事項だ…!

停泊の時間を利用して、数件のサブメンテナンス作業の後、
久しぶりに買い物する時間が出来、コンビニへ…。
女川もだいぶ復興が進んでいるようだ…!

19日朝5時より水揚げ開始。

この日の水揚げで、一つ目の目標はクリア…
漁場が遠いのがネックかな…

水揚げ・氷の積み込みを終え9時30分、女川出港
沖よりの針路、公海向け。



凪良く、潮にも乗って船速も良好だ!

女川出港から23℃台の海水温が続く…
紫外線海水滅菌装置を通水しながら冷水冷却作業。

滅菌装置を通す事で冷却に要する時間は長くなるが
遠い漁場までの航走時間をフルに利用できる!

20日・11時、公海のポイント着。

15時30分S/B。

外国籍船団の船映なし、日本のサンマ漁船のみである…!

凪良く、日没後も暑いくらい。

数隻の僚船と共に17時30分頃から操業開始も灯付きが悪く
薄群れを数回操業し調査航走…

日付けが変わるまでは薄漁であったが、少しずつ群れがかたまり始め
夜明けまで若干纏まった漁獲で漂泊。

夜明け前の操業時、アイスキャッターが詰まった際に
マグネットスイッチが焼損…

マグネットスイッチ…
予備品として常備しておらず、漁撈長から大目玉である…!

1年目は大丈夫と油断していた私のミス、準備不足だった…

22日・15時30分S/B。

日没から纏まった漁獲!
早く終わりそうな勢いの操業だったが
次第に灯付きが悪くなり、薄群れ操業を余儀なく…

公海の操業海区、気象のポイント予報では22日晩が大時化に…

帰途航走のコースも影響があり、一旦襟裳岬に方位をたてての帰途航走。



夕刻から南東の風とうねりが強まり、船は大きなローリングを繰り返す…。

22時頃より本土の陸よりへの針路。
夜明けから陸中沿岸沿いを南下。

都合により気仙沼経由での女川向けになった…

23日夕刻、女川入港予定!

【6航海目・初 準満船】!

2018年09月18日 | モバイル
…「9月14日・セプテンバー バレンタイン」は
ちょっとラッキーだった…!

16時・花咲入港後
エンジンのメンテナンス作業と
不調な湯沸器への配管ラインの再点検…

メーカーに送った湯沸器は「異常なし」で、
「給湯ヒーターまでの給水不足」が原因らしいとの事…

清水系統の一部に詰まりがある可能性を指摘された!

新造船、配管も新しい…
詰まりは考えにくいが…

まだいろいろと掌握しきっていない事が多く
試行錯誤は続く…

最悪清水ライン一系統を外す事も覚悟、
メインエンジン上部と云う箇所だけに
その準備をし、清水系統各バルブをひとつずつ
あたってみる事にした…

そのかいがあって、湯沸器への微妙な水勢の変化が確認できたバルブがあった!

試すと、給湯ヒーターが稼働した…!
結果、清水ライン1本を追加する宿題ができたが
ホッとした感で目尻が弛んだ…。

大袈裟に云えば「海の家」が「温泉」に代わった…!

この10日間程は、乗組員皆に申し訳なくて
滅入っていただけに、ひとつ肩の荷が落ちた…!

15日朝3時、水揚げS/B。
道東各港の市場の朝は早い…。
給油のバンカー船も朝早くから稼働、ここにも漁に携わる方々がいるのだ!

我々漁師は、各業者・多くの方々が携わって
漁が出来ている事を忘れてはならない!

水揚げはトラックが廻らず、予想外に時間を要したが
その合間に船をシフトせず氷を積み込む事が出来るのは
花咲港の良いところである…

ここはサンマ水揚げ数量連続日本一の港なのだ。

11時・花咲出港、チェックポイント向け!

その後、再度「公海」に漁場を求めた。

9月も中旬だがまだ漁場は遠い…!

それでもロシア海区の主漁場よりは近い公海のポイント…

経済速力での航走、16日朝5時30分、ロシアの領海ライン通過。

9時30分、前夜操業した船団が、
纏まった漁獲だったらしい公海のポイント着、漂泊。

霧もなく良い凪…
僚船を含め9隻程の他船が確認できた。

エンジン始動後、調査航走数分で航走ストップ…

船の周囲海面にゆらゆら游ぐサンマが目視できた…





15時30分S/B。

大群操業を想定、備えた!

日没後の黄昏時より操業開始!





黄昏の時間帯からの連続操業

久しぶりに網を持ち上げるサンマ!

銀色の輝きを魅せるサンマが海面を波だたせる…!

それでも、LED漁灯の光になってから、
サンマは網の中での暴れが少なくなったのだ…。

早め早めと準備に抜かりなく操業・漁獲は推移するも

次第にサンマの灯付きが悪くなり、調査航走となった…

高めの海水温特有の広くまばらに跳ねるサンマ…

日付けが変わる頃、薄群れを数回操業し、再度調査航走…

2時・僚船が操業を終えたようだ…。

夜明けが近くなり、まばらだったサンマが群れ始め、灯付きが良くなった…!

夜明けまでに、現時点での満船に近い漁獲となり帰途航走!

浴室に快適さが戻り、作業後の汗を流し、空調の行き届いた寝室に入る皆…

この船内環境を維持するのも機関部が担当なのだ…!

実はホッとしたのは、私以上に乗組員皆かもしれない…

航走中の17日午後から雨が降りだし、時折物凄い豪雨に…

18日に日付けが変わった頃からは
うねりが高くなって南風が強まった…!

積み荷が多く、船首足の航海中、全てに要注意・要警戒。
漁撈長は寝ずの番である…。

夜が明けてからは次第にうねりは収まり、
だいぶ本土に近くなった昼過ぎには良い凪となった…

18日・17時45分、夕陽が隠れる気仙沼沿岸…





船は女川向け中、19時30分頃の入港予定。

【5航海目】!

2018年09月14日 | モバイル
9月10日・11時45分、花咲出港。
チェックポイント経由、ロシア海区内の漁場向け!

日暮れから吹きはじめた北風が、
夜になって うねりを伴い猛烈に吹き荒れ北の海は嵐となった…!

時折支えながら北上…。
夜が明けても嵐は続いた…

船首にあたる波の威力はハンパないが船は力強い!

少しずつうねりは低くはなってはいるが、
風はまだ強い日暮れからS/B待ち…

先に漁場に付いた僚船の漁模様が良いようだ…

9月11日・21時30分S/B。

嵐の北の海、冷たい波しぶきと低い外気温が9月を忘れさせる…

日付けが変わる頃に各船操業中の漁場着。

サンマは見えるものの灯付きが悪い…

夜明け前にやや纏まった群れを操業し、漂泊…

12日、良い凪となった…。
14時より漁撈長による水温調査開始!

日暮れ前に航走ストップ。
日没前に船の周囲でサンマの群れが目視できた!

日没後、操業開始。

付近を調査・操業で漁獲を纏め、多忙な甲板上…

前夜と一変、汗だくになっての操業中
自身の中に演歌が流れた…

8月17日・気仙沼出港時、スピーカー越しに流れた歌だ…!

「男の火祭り」by坂本冬美

サンマ漁、忙しく働くこの甲板上

この日この時の為に、造船所で汗を流したのだ!
忙しい中でも働きやすい甲板・そして船上!

多くの方々に、汗だくになりながら携わっていただき来上がった船…

作業の合間に甲板長と交わす会話の中に
凝縮されたものがある…!

纏まった漁獲で、夜明けより南下帰途航走。

回復しないシャワーがもどかしいが
沖出し時とは一変、良い凪のロシア領海内を進む船…



14日16時頃、花咲入港予定。

【4航海目】!

2018年09月10日 | モバイル
建造時、会社にお願いして取り付けてもらった
浴室シャワー用の瞬間湯沸器2台…

万全の浴室に仕上がった筈だったが…

給湯しなくなってしまった…

長い眼でみて、吟味して取り付けた筈であるが…

説明書にも記載されていない症状にて苦戦…

申し訳ないが乗組員皆に、水でのシャワー使用と云う
我慢をしいらせることになってしまった…

一度に同機種2台が悪くなるのは考えられず、
悪戦苦闘も原因は解らず、滅入った…

…台風21号の進路が道東からは遠ざかったものの
強い風雨だった花咲港を9月5日・15時に出港。

まだうねりの残る道東沿岸をロシアのチェックポイント向け…

しかし、数隻の僚船と共に、漁撈長が選択した漁場は公海…。

一時期好調だったロシア海区の漁模様が
海況の悪化もあり、低調に推移し始めた事から
ロシアの領海を横切るコースで「公海」に漁場を求めた…


この場合、ロシアの領海のラインを越えなければ操業はおろか、
漁灯も出す事は出来ない!

9月6日、14時・領海ライン通過、公海である…。

16時・S/B。
調査しながら沖へ…

夕刻の調査開始時からしばし、低海水温の分布はあったものの
次第に海水温は上昇、サンマは見えない…

霧が濃くなり始め、ライトの探照先も目視出来なくなった…
かなりの濃霧である…!

調査航走中、自船の漁灯のグリーンが幻想的に霧に揺れる…。

夜明けより更に沖へ…

7日16時・S/B。
さすがに東沖、日暮れが早い…

日没後も更に東へ…

濃霧の中の調査航走中、赤い光が見えはじめた…

レーダーのモニターに多数映るのは
赤の漁灯を点す外国籍大型船 赤の船団!

付近を調査。
しかし漁模様は良くないようだ…

ややうねりが高い東沖、薄群れを数回操業し、南東側へ調査。

日付けが変わった頃から東からの風が強まって、
若干霧が薄くなった際

外国籍船にかなり近くなり、間近で見る外国籍船…



燃料が違うのだろう、エンジンの排気の匂いは日本船とは異なる…!

夜明け前から反転西へ…
公海向けの後続船団の数隻が、
我々が通過して来た領海ラインの南側で漁獲を纏めたらしい…

…ロシア海区操業中、9℃~10℃台だった海水温、
公海に来ての操業では16℃~17℃台に…

夜が明けて、操業後の汗を流すシャワー。
お湯は全く出なくなり、水だけで、
「海の家」のようになってしまっている本船にとって
海水温・室温が少し高くなったのが救いではある…

我々が船に乗船して暫くはシャワーは無かったので
それに比べれば だが
今は船も当時とは比べ物にならない程の環境となっただけに
釈然としないものがある…!

8日・16時S/B。
良い凪となったが、連日の濃霧である…。

多くの僚船が集まり、調査もサンマは見えない…

濃霧の中、範囲を拡げての調査も操業できる群れにはあたらず

どうやら、各海区共に漁模様が低調、一旦漁が切れたようだ…

夜半より西へ、ロシアのチェックポイント向け…



チェックポイントまでは遠い…
結果、帰途航走となった…!

船は10日・10時頃花咲入港予定。