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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【2021'11航海目】!

2021年10月31日 | モバイル
10月27日の花咲水揚げ後、時化休みが決まり、生活清水関連のメンテナンス作業。

船の清水滅菌装置や浴室シャワー用給湯器・混合栓サーモの各フィルターは意外と汚れが付く…
定期的な洗浄は欠かせない。

28日10時30分・花咲出港、チェックポイント経由公海向け!
雨を伴う南風とうねりで、大きなローリングを繰り返しながら…

サンマの南下回遊が活性化せず、不漁に海況悪が続く公海の
北緯43°東経154°付近の海区が未だに主漁場…
漁場が遠く、時化によって操業も阻まれる事から
航海もサンマ漁にしては長くなり、なかなか内地若しくは母港にも運べない想定外が続く…

備品の調達に課題を残した…!

予備品としてより多くの物を揃える程サンマ漁は長航海にはならない事を前提としていて
遠洋鮪漁船のようには揃えていない。
想定外が続き、道東の港での調達が難しく
託送のタイミングも難しい…。

自身の認識の甘さを痛感している…

以前に新造船から4年乗船した船をベースにやってきたが同じ4年でも違いは少なくない…。
懸念の減速機が、今期は現在まで順調に機能しているのがさいわいだが…

29日・15時S/B。
風はないがうねりが高い…

10月下旬、外国籍船団もまだ頑張っている。

日没から風がやや強まったものの、調査航走中に跳ねるサンマが目視できるようになってきた。

17時過ぎから操業開始!
魚体組成が良い!

10月下旬、北緯43°
この時期のサンマとは思えない見事なサンマが混じる…!

操業中に右舷側の探照灯が点灯しなくなった…
…今度は安定器の不具合だ…

時間の経過と共に少しずつ凪が良くなり
操業・調査航走を繰り返しながら、やや纏まった漁獲で夜明けを迎えた!

荒天準備し帰途航、花咲向け…!

空が明るくなるにつれ北西の風が強まった…!

右舷前方から受ける大波を時に Stop&Go でしのぎながら…

夕刻から風は北に変わり次第に良くはなってきたが、船は大きなローリングを繰り返す…。

漁船が仕事場の沖乗り漁師と云う職に時化は付き物だが
同じ作業をするにも、時化と凪では天地の差だ…

個人的に時化海への耐性が無くなってきた気がする…。

31日・10時30分、チェックポイントにて臨検。
11時・臨検終わり航走。




午後1時頃の入港予定…。

【2021'10航海目】!

2021年10月26日 | モバイル
初雪の声が聞こえ始めた10月20日
今期のサンマ漁大型船解禁から2ヶ月が経過
花咲港での水揚げ後、時化休みとなった。

機関Lo系統のメンテナンス・その他不調箇所のメンテナンス作業を経て
7冊目の機関日誌の最後の頁は書き込みが増した…。

午後から家族LINEに溜まっていた孫の動画を保存しながら一喜一憂し
早めに寝台に入って休んだ…

日付けが変わる頃、警報で起こされる…。
最近は警報が目覚まし代わりとなっている…
燃料油清浄機がどうも直らない…

いよいよ清浄機を通さずにやっていく事にした…!

船の心臓部、機関室内にはいろんな機械があり、
全てが普通に機能しているのが当たり前と捉えられているが
いつも順調とはなかなかいかない…
機関に携わる者達の葛藤は尽きない…

21日朝6時 花咲出港 チェックポイント経由公海向け。

まだ時化後のうねりが高く、微速航走であっても船首側に当たる波の衝撃は小さくない…!

22日・15時S/B。
通り雨で船のすぐ傍らにダブルレインボー…。


10月下旬、北緯43° 東経153°の公海、16時前には日没となる…

沖よりに、そして北へ…!

サンマは見えない…。

薄群れを1回操業した後、調査航走は日付けが変わるまで…
夜明け前に薄群れを3回程操業、僅かな漁獲で夜明けから北東へ…

7時過ぎ頃から、北東の風が吹き始め 向かい風で船は大きなピッチングを繰り返す…

23日・15時S/B。
北東の風がうねりを伴って更に強まった…
冷たい雨も降り出して
また時化海の公海…!

一雨毎に冬が近付く時期になった…。
不漁に海況悪が拍車をかける…
対象魚あっての漁・海況も含め自然界の力には逆らえない…

21時・調査断念…。
各船と共に漂泊…。

雨と強風に高いうねり、雪に変わるのではと思える程 冷たい雨…!

24日・15時S/B。
北風に変わり、外気温が下がって寒い日暮れとなった…

昨夜より良くはなったが、操業条件は厳しい…!

微速で調査、冷たい雨がパラつき 風が西に変わって次第に強まり吹き荒れる…

風波で白まる海面にサンマも見えない…

22時30分・調査断念…!
漁灯を仕舞い好天準備、微速で南下
時に支えながら…

25日、昼過ぎ頃には風・うねり共におさまり良い凪となり
15時S/B。
不気味な程、一気に海面が静かになって、波立もない良い凪になったが、
すぐまた低気圧が近付いて来ている…

凪間に期待したが、サンマが見えない!

調査航走が続き、僅かな漁獲で夜明け…

結果、時化に追われての帰途航となった…

26日19時30分、各船と共にチェックポイントにて停船命令・臨検!

20時30分 臨検終わり、花咲向け…!
船は22時30分頃の入港予定。

【2021'9航海目】!

2021年10月20日 | モバイル
…正装した100人のバイオリニスト達と管弦楽団の指揮者が私の前に来て

「今一番聞きたい曲を1曲だけ奏でてあげるから、何という曲がいいか?」と聞いてきた…

…「tears」… が聞きたいと答えた…

するとフルオーケストラが始まった…
大きなホール、私一人の目の前で曲を奏で始め、そのメロディーが至極の心地好さだ…

…すると誰かが足を突つく…

…「セットリングタンクの油量が足りない」と起こされた!

……夢だったのだ……。。。
しかしリアルに覚えている夢…
何かの暗示か…?

10月15日・12時、漁灯を拡げ 花咲出港!
チェックポイント経由公海向け。

18時過ぎ頃に起こされたので2時間程寝たタイミングだったようだ…

ずっと調子が良かった燃料油清浄機が不調となり、なかなか正常にならない…
云う事を聞いてくれない…
一旦正常運転になるも、またすぐ異常をぶり返す…
様子を伺いながらあれこれ…
結果 24時間対応になった…

私が運転時間を記録している本船の機械の中で、最初に10000時間稼働を超えたのが燃料油清浄機…。
約5500時間でオーバーホール済みだったのでまだ今期は大丈夫と考えていたが…。

16日・15時30分S/B。
外国籍船団の多い海区、17時過ぎから操業開始。

魚体組成の良いやや纏まった群れを操業し、期待は高まったものの、21時頃から冷たい雨が降り出して甲板は寒くなった…

次第に南東風が強まり、また時化だ…。

日付けが変わった頃に南風に変わり、寒さは和らいだものの
サンマは見えなくなった…

夜明けと共に南風・うねりが強まり 支え…。

さすがに目が渋い…

17日・15時30分S/B。
うねりは残ったが風は弱まった。
しかし雨が降り出し、日没には豪雨、そして風が西に変わって強まった!
また時化海だ…

北よりに調査…
風波と共にうねりは更に高くなり、厳しい操業条件…

朝まで降り続いた雨に波・風で、夜明けには膝がぐらついた…。

18日・15時30分S/B。
風がおさまって、ややうねりは残ったが時間と共に凪となった…

しかし、この夜もサンマが跳ねない…


画像は、漁種は不明だが 我々と同じ海区にて操業中の外国籍船…!

せっかくの凪、懸命の調査も群れは見えない…
薄群れを回数操業…
魚体組成は良いのだが漁獲は伸びず、夜明けを迎えた。

20日の晩はまた時化予報…
帰途航走となった。

不調だった燃料油清浄機が、云う事を聞いてくれるようになった…!
と思ったのも数時間…
まただ やれやれである…。

本当に日々いろんな事があり勉強は尽きない…
神は試練を用意してくれている…

出来る限り、漁撈長の漁の足を引っ張る事がないように…
なんとか凌いで行きたいものだが…。

夢だったにもかかわらず、まだ耳には残聴、あのオーケストラのメロディー
YouTubeにないかな…?

20日・朝2時30分、チェックポイント通過
4朝30分時頃の花咲入港予定。

【2021'8航海目】!

2021年10月15日 | モバイル
10月9日・10時30分、花咲出港。
チェックポイント経由公海向け!

10日朝6時、領海ライン通過後南下…
良い凪であるが、今夜は時化の予報が出ている…。

15時30分S/B。
日没から南風が吹き始め、うねりを伴い次第に強まった…

各船と共に調査もサンマは見えず…
21時過ぎには時化海となって微速であっても
船首を叩く風波の圧力・振動が強い…!

22時過ぎ、漁灯を仕舞い微速で南下…。
日付けが変わった頃から漂泊、夜明けから支えた…。

遠い漁場に海況悪、公海での今期のサンマ漁は厳しい…!

11日・16時30分S/B。
風・うねり共にまだ残るが若干良くはなった…
漁灯を拡げ微速で調査開始。
日没後雨が降り出して豪雨となった…
サンマは見えず、北に南に東へ西へ、調査航走が続く…
雨足は弱まったり、強まったり、結果夜明けまで雨は降り続いた…

夜明けより僚船数隻と共に沖へ…

12日・15時30分S/B。
若干 波が高いが風はない…。
16時30分頃より薄群れを1回操業し、更に沖へ…

外国籍船団の多くは色を変えれるLED漁灯で、主に赤色を灯しており、
白色や緑色に赤色をランダムに灯したりもするが
この色は異例だ…


外国籍船団も調査航走中の船が多く、操業している船は少ない…

北へ…

西へ…

サンマは見えない…

日付けが変わり、2時過ぎ頃になって、やっとサンマが跳ねるようになってきた。

夜明け近く、やや纏まった群れを操業し、漂泊。

13日・15時30分S/B。
良い凪となった事で、今夜こそと期待感…!

日没過ぎ頃から、東風が吹き始め、うねりも伴ってきた…
嫌な予感がした…

サンマが跳ねない…
群れない…

航走ストップし、漁灯の下に泳ぐサンマを目視できるがサンマの行動が変だ…!
跳ねもせず、動きも遅い…

薄群れを操業するも、網にも入らない…

違う魚を相手にしているような違和感…
漁にならない…

僚船と共に西よりに調査…

夜明けまで操業できる群れはなく、時化予報の為
帰途航走となった…

南東からの風が強まり、船尾左舷後方側からのうねりで船は嫌な揺れ方だ…

15日朝04時30分、ロシアチェックポイントにて停船命令 臨検。

05時、臨検終わり 花咲向け
07時頃の入港予定。

【2021'7航海目】!

2021年10月09日 | モバイル
9月29日、女川港で水揚げ・氷と燃料を積み込み、7時30分 出港 北上!

台風を警戒しながら公海向け。

30日・15時30分S/B。
日本の領海とロシアの領海ライン付近の公海から北東よりに調査…

微妙な水温図…
北に後退した低水温域の南端がラインの南東側にあるが
サンマは見えない…
反転南西側へ…

サンマは見えず、日本の領海内航走で花咲向け台風避難…!

10月1日・11時30分、花咲入港。
雨が強い、今期の花咲入港時も雨が多い気がする…。

各船すでに錨を入れて停泊、台風に備えている…!

入港後、1航海目から不調傾向だった補機の整備…
翌朝、各部のメンテナンス作業。
各運転時間からは少し早いが繰り下げた…
解禁から早40日が過ぎている、
台風により纏まった休みの時間を貰った限り、時を有効活用だ…
次の纏まった時間が何時になるか今期は予想も出来ないので…

今回の台風休みによって、機関の方では若干だが肩の荷が降りた…
機関に携わる者には付いて回る事だが、時に「なんだかなぁ… 感」で気が滅入る……。

外国籍船団は色丹島沖と襟裳岬沖の二手に別れて台風を回避したようだ…

3日朝5時30分・花咲出港、チェックポイント経由公海向け。

23時30分・領海ライン通過後S/B。
南東側に調査…
台風一過、10月上旬の公海
北風が外気温を下げる…

サンマは見えず、外国籍船団と共に沖よりに…

4日・15時30分S/Bも、北風・うねり共に強まり、日没後は時化海となった…
台風一過の後、早速次の時化だ…。

微速での調査航走、サンマは見えない…
時間の経過と共に風は更に強まり、航走ストップ。

夜明け近くに若干風が弱まり沖よりに…

5日・15時30分S/B。
沖よりに調査、日没から北へ…

台風後の公海操業海区、海はもまれたようだが、期待した程サンマは見えない…

薄群れを操業
また魚体組成が変わり、著しく悪くなった…。
表層水温が下がり、海面に時折イワシの群れが跳ねる…

僅かな漁獲に終わり、夜明けから南下。

6日・15時30分S/B。
北緯42°の公海は、早くも季節風の洗礼だ…!

北風が吹き荒れ、波飛沫が頬を叩き、合羽越しに身体が冷える…

一足先に冬の訪れのような寒さ…
サンマ漁10月上旬、こんなに体感気温が下がるのは記憶にない…

ライト当直の方々は衣替え・冬服に防寒対策!

甲板はおろか、機関室もかなり室内温度が下がった…。

今期の公海は季節風に追われるのが早いのかもしれない…

夜明け前の寒さは冬のそれ…
寒さ厳しい中、僅かな漁獲に終わり夜明けより漂泊。

7日・15時30分S/B。
若干うねりは残ったが北風は弱まり、日没後は幾分寒さが和んだ…。

時間と共に少しずつうねりも弱まって良い凪になったが
この夜はサンマが深く、跳ねない…

冴えない漁模様に跳ねないサンマ…
サンマ漁師達は跳ねるサンマに躍らされるように呼応して躍動するのだが
船上は静かで活気がない........…。

00時・漁灯を仕舞い帰途航走となった…
船は花咲向け。

プロッターのモニター、航跡が時にマンガを描く…。

9日朝03時・チェックポイントにて停船命令!
各船と共に臨検。



04時20分、臨検終わり花咲向け
06時頃の入港予定。