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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【サンマ漁・10 航海目】!

2013年09月29日 | モバイル
…25日・14時20分、女川入港。

接岸中、女川港には最新鋭の「旋き網漁船」が入港中!

その船から、見覚えのある方が手を振っている…

以前共に働いた事がある司厨長が乗船していたんですね…

私と漁撈長が、乗船しているのを風の噂で知っていたらしい…

久々の再会…

募る話で当時を懐かしみ、お互いの健闘を称えあいました。

その後、本船の前に建造された新造船が入港して来た!

「第88盛勝丸」

造船所建造番号が前後する2隻が女川港に並んだ。

その船のベテラン機関長と船の状態を話し合い、

アドバイスももらいました。

26日朝、台風の影響で雨の水揚げ…

氷を積み込み、11時30分、女川出港。

時化模様の南三陸沿岸を北上!

気仙沼沖までは、かなりうねりが高かったのですが

その後の山伝いは比較的、うねりが落ち着いており、

台風の進むコースが東よりにそれた事で、

三陸・陸中沿岸沿いを北上し、そして海峡越え…!

さすがに、うねりが高く、船は揺れに揺れる…!

北海道道東各港に避難していた船は出港し、操業中らしい…

道東沖航走は北からのうねりが高く、ピッチング(縦揺れ)が激しい…!

日没前の18時・S/B。

面舵側の漁灯を拡げ、取舵側の漁灯を拡げる前、

トラブルがあり、漁灯出しを中断、皆でなんとか凌いだ!

ほどなく、サンマの大群…!

残りの漁灯を拡げ、間髪入れずに操業開始…。

甲板のS/Bも 儘ならない大忙しで網を入れ、

網を揚げるまでに準備の帳尻を合わせた…!

風は無いが、高いうねりが残る道東沖…

体を支えるのも必死である…。

トラブルにより、ポンプ2台が使えず…

いつもの冷水ラインを変えて、入魚に間に合わせ、

その傍ら、なんとか1台のポンプは復旧させましたが、

メインのポンプは無理だった…。

めまぐるしく多忙で10航海目の操業はスタートした…!

漁撈長に使用出来なくなったポンプの状態を伝え、

早急に手配を依頼する事に…!

サンマ漁は夜間の操業なので、連絡もなかなか付かないが

夜遅くの電話にも対応してくれる方々には頭が下がります…。

大群操業から息をついたのは、4時間程してから…

暫しの調査航走、付近には外国船十数隻と日本船十隻程…

後手に回っていた作業を経て、遅い夜食の握り飯を…

日付けが変わった頃、薄群れを2回操業し、東よりに調査航走。

3時頃から再度、大群操業!

夜明け前に操業終わり。

帰途航走となってからは、

業者さん方々と手配の概要を打ち合わせ、

電話を待つ間、若干の仮眠…。

その仮眠中、燃料油が揚がらなくなったとの報…

…無事燃料油も揚油、そして当直。

と 慌ただしい時間が過ぎ、

15時過ぎ・やっと寝台にたどり着く…

やれやれ… である…。

船は南下帰途航走、気仙沼向け中!


【サンマ漁・9 航海目】!

2013年09月25日 | モバイル
20日・気仙沼港での水揚げ後、

甲板の都合により 造船所に上架する事になった…!

それに伴い、船体を浮かせる為、船底のFoタンクから

燃料油 総積み込み量の約半分をパージ船に移送した…。

Fo移送終了後、吉田造船所に上架。

…上架中を利用して機関室内海水ラインのメンテナンス…!

甲板不具合箇所の補修・点検後、21日・17時過ぎ 下架、

燃料油・氷・冷水用の清水・飲料用の清水を積み込み

20時・気仙沼出港。

上架によって全ての機関を停止した為、

再度起動させた各機関を診廻りながら

船は三陸沿岸を北上、漁場向け!

北西の風がやや強い…

22日・16時、S/B 。

風向が北に変わり、向かい風の為、漁灯を拡げる間だけは微速…

甲板準備中は漁場へ急ぐ兼ね合いがあり、FULL !

船首できった波がシャワーのように降りかかる

さすがに道東沖での北系の風は冷たくなった…!

20時・小型船と他国船が操業中の漁場着。

付近を2時間程調査も、操業できる群れがなく、沖へ…!

日付けが変わり、02時過ぎ、大型船数十隻が操業中の海区着。

風はまだ強く、うねりも若干高め…

ほどなく、群れにあたり操業開始。

群れは、やや纏まっている…!

この時間ともなれば、夜明けまで僅かという事で、

操業のスピードもいつも以上に要求されるのがサンマ漁の通例…

しかし、まだサンマ漁の新人達は理解していない部分があり、

切替(状況による次の支度)が噛み合わず、てんやわんや…。

調査航走中から群れに遭遇した時の各々の持ち場での次の行動は

不慮ではない…

各々がシュミレーションしておかねば…

そんな喧騒の夜明け前、クジラが数頭おり、

操業中の船の周りを遊泳、操業しながらのホエールウォッチングは、

上昇したテンションを和らげてくれる…。

夜明けまで数回操業し、若干纏まった漁獲…

夜明けより漂泊。

23日・16時、S/B 。

良い凪になったが、夜明け前の喧騒が嘘のように、

サンマの姿・魚映が無い…

各船、南西側に調査…。

19時過ぎから操業開始。

大主体の魚体組成で割合がいいが、群れは小さい…

数回の操業後、西へ調査移動。

外船は、台湾船10隻とロシア船5隻がおり、

日本船は小型船が多く、大型船は数隻。

群れは薄く、サンマは深い…

…日付けが変わり、月が高くなった頃

群れが固まりだしたようで、1時頃から漁模様が一変…!

各船が近くなり、操業激戦区となった…!

中層で反応が大きく繋がっているようで、漁灯の明かりの下に

サンマの群れが跳ねあがる!

波飛沫と共に躍る銀鱗に胸が高鳴り、テンションも上がる!

大群操業!

数回で一気に漁獲を伸ばしたが、夜明け近い3時頃、灯付きが悪くなった…。

船団から離れ、南東側へ…

東の空が明るみ始めた頃、

残った氷の始末を甲板長と話ていた時、

船の後進によるエンジン音に比例するように、

スクリューによる白波に向かい、船の四方から跳ねて来るサンマ!

サンマ漁師の言い方で「夜明けの一発」!

この大群により、満船となった…!

本船の乗組員は比較的若い人が多いがサンマ漁の経験が浅く、

まだ操業の連携が繋がらないところがありますが、

その分、経験を積む事によって今後の伸びしろがあり、楽しみ。

乗組員みんな元気に頑張っています!

船は24日・夜明けより南下帰途航走、女川向け。

台風の影響か、南東からのうねりが高く、船は横揺れ…

凪悪く帰途航中、25日・14時頃の入港予定!


【サンマ漁・8 航海目】!

2013年09月20日 | モバイル
16日・花咲港での水揚げ後、都合により釧路廻航。

釧路港で台風避難となった…。

サンマ漁船以外にも多くの船が避難中でした!

時間を利用して、メインエンジン以外の燃料系統をメンテナンス。

台風の避難中ですので、メインエンジンは何時でも始動できる態勢!

風はそれほど強くなかったのですが、雨はハイパー豪雨…!

朝には台風一過の良い天気、そんな朝、

僚船の漁撈長である友から電話があった…

新米初機関長を心配しての電話…

ありがたい事です…!

…17日・朝8時、釧路出港。

台風の足が速く、避難時間が少なく済みました。

まだうねりの残る道東沿岸を僚船と共に漁場向け!

17時 S/B 。

うねりが高く、船は大きなローリング(横揺れ)を繰り返す…

20時頃より操業開始。

時化後とあってサンマは群れてきたようですが、

魚体組成が悪い…!

不調だったバラストは、おかげさまでその機能を取り戻したようです。

夜明け前になり、やっとうねりはおさまった…

夜明けまでの操業でやや纏まった漁獲。

高いうねりの中での操業で傷んだ網を甲板の方々が補修、

機関部はエンジンを停め、

メインエンジンの燃料・潤滑油系統をメンテナンス。

18日・16時S/B 。

忙しく過ぎる夕方の準備作業(機関部)の合間に

水平線に隠れる夕日を観ながら、

もうすぐ解禁から1ヵ月、時期的には盛漁期なのに… と思った。

18時・まだ黄昏が残る海上で各船の漁灯や探照灯が動きをみせた!

我々も操業開始!

日没と同時に大群操業…!

魚体組成は昨夜と変わった!

サンマはいよいよ大群となり、南下回遊を活発化させる予感、

盛漁期入りとなるかもしれない。

大群操業を数回、20時・新造船初の満船となり、南下帰途航走!

予想していた以上の船脚を感じる。

各部、慎重に見回しながらの帰途航である!

満船の状態はこの船初なので、港迄凪良く… と

そう思わずにはいられない…!

…凪に恵まれて、20日・00時、気仙沼入港。


【サンマ漁・7 航海目】!

2013年09月16日 | モバイル
14日・朝6時 女川港に入港し、水揚げ。

水揚げ中の女川魚市場ではテレビロケが2本行われていました…!

不調だったバラストを診に、造船所の方々4人が

朝早くから駆けつけてくれ、

水揚げ中の短時間で原因調査と調整を一生懸命行って下さり、

あまりにも過負荷だったエンジンも、

エンジンメーカーから担当者が訪船し、調整と説明を

漁撈機械担当の業者さんも訪船、

エラー表示になる燃料デジタル油量計を交換、

助けられました。。。!

ありがたくて…

ありがたくて…。

船は水揚げ後、氷を積み込み10時50分出港!

15日・14時、漁場着。

なにやら、台風が来ていると聞いたのはこの時…

18時頃より調査開始。

20時過ぎから操業…

濃霧に時折雨が降る天候でむし暑い…。

付近には台湾のサンマ漁船、ロシアのサンマ漁船

そして日本船は僚船2隻と本船のみ…

結局台風の影響を感じないまま朝迄、凪良く操業。

夜明けより僚船と共に花咲港向け!

8時過ぎの入港予定。


【サンマ漁・6 航海目】!

2013年09月14日 | モバイル
水揚げを終え、9時15分・花咲出港!

10日・18時 S /B 。

凪よく、付近には小型船が多い。

1回目の操業が19時過ぎ、

そこから日付けがか変わる頃まで連続操業…。

まだ薄いがサンマは群れを形成し始めた!

船の漁灯の明かりとライトの探照先では跳ね、動きは活発だが

網への入りが悪い…。

それを連続操業で少しずつ漁獲を伸ばした。

夜明け近くの操業前、網を入れる前の合図を待ってる時、

我々のすぐ目の前に雄大な海の生き物が浮上し、サンマを補食…

稀に見る巨大なザトウクジラ…!

付近で操業中の船を渡っているようで、他船の漁灯の明かりの傍に

クジラが吹く潮が確認できた。

クジラ達のサンマを追っての回遊は、サンマの南下に沿って…

我々もまたしかり…。

夜明けより東へ3時間程航走し、漂泊。

11日・16時30分S /B 。

今期も同じ海区で2晩続けては獲れないようで、サンマが見えず…

南西側に調査航走…

21時頃より操業開始、夜明けまでの操業で漁獲を少し伸ばし、

夜明け過ぎに若干航走して漂泊…

12日・16時30分 S /B 。

陸よりに調査航走

23時頃より操業開始。

魚体組成が前夜に比べると若干悪くなったが、

纏まった群れを数回操業…!

13日、3時・操業止め、帰途航走。

14日・朝6時、女川入港。